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自燈明・法燈明の考察

「ウォーマシーン 戦争は話術だ」を観ました

 この二月の連休、私の職場では年休消化が推奨されているので四連休にしました。

 でもこう寒くては家を出る事もままならず、昨日は家に閉じこもって動画三昧をしていましたが、NETFLEXを検索すると、ブラッドピット主演の「ウォーマシン 戦争は話術だ」という映画を見つけて、それを見てみました。

 この映画は2017年のアメリカ合衆国の風刺戦争映画で、ここではアメリカ陸軍大将のスタンリー・マクリスタルの実話をもとにした、アメリカがアフガニスタン撤退する時期の架空の物語です。

ブラッド・ピット主演最新作『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』予告編

 ブラッドピットが演じるアフガニスタン駐留軍司令官(グレン・マクマーン陸軍大将:これがマクリスタルの投影)が、前任の司令官が果たせなかった任務を果たすために、意気揚々とアフガニスタン現地に降りたち孤軍奮闘するのですが、当時のアメリカ大統領(バラク・オバマ大統領)を始め、政府首脳もアフガニスタンからの撤退を考えており、またアフガニスタン政府も全くやる気がない。そしてそのアフガニスタンの「敵」であるタリバンは軍服を着用した国家の軍隊ではなく、民兵であった事から民衆の中に潜り込んでおり見わけも突かず、多くのアフガニスタンの民衆も、アメリカには正直出て行ってほしいという状況の中、軍官僚のトップとしてマクマーン陸軍大将は、空回りに近い孤軍奮闘を続けていきます。
 そして最後にはローリングストーン誌(発行部数が多い大衆紙)に批判記事を掲載され失脚する。しかしアメリカ人は反省せず、彼の後任の陸軍大将が現地司令官として着任して来て話は終わります。

 この映画はNETFLEX制作の映画で、ネットの中の批評ではかなり酷評されていましたが、戦時の軍官僚トップである陸軍大将の目線からの映画としては、なかなか面白いと感じました。(これはあくまでも個人的な感想ですが)

 でもあれですよね。。。この映画でも紹介されていましたが、アフガニスタンのカンダハルとは、昔の名前ではガンダーラと呼ばれ、紀元100年頃には仏教美術で栄えた地域でもあったのですが、現在では荒廃激しい地域になっている事に、とても残念な気がします。

 さて、この映画を観て感じた事なのですが、二十世紀から二十一世紀の前半にかけて、アメリカとは「世界の警察」とも呼ばれ覇を唱えていた国家なのですが、現在はかなりその国家威信も凋落をしていますね。しかしそうは言っても、いまだに世界でトップの軍事大国には何も変わりはないのですが。

 このアメリカという国は第二次世界大戦後、まるで「民主主義の伝道師」の様に振舞いながら、世界の随所で戦争を起こしてきました。朝鮮戦争からベトナム戦争、ユーゴスラビア戦争にも関与してきましたし、イラクのクウェート侵攻によるイラク戦争、またこの映画の題材にもなったアフガニスタン戦争もそうです。これらの地域では「民主主義」の御旗を掲げ、戦争を起こしてはそこにアメリカ的な民主政権の樹立をしようと進めてきましたが悉く失敗してきました。

 太平洋戦争においてアメリカは、日本帝国という国家をつぶし、そこにアメリカの考える理想的な平和な民主国家を作る事に成功しました。これが今の日本国ですね。しかしこの成功の裏には日本人の精神構造があったからこそ成功という形を作りえた訳であって、そこで得たひな形は世界的に普遍に使える考え方ではなかったのですが、アメリカという国はそれには気付かなかったのでしょうか。

 まあ裏では既に気づいていたかもしれませんが、傍からこれらアメリカの戦争の歴史を見ていると、どうも気づいていない様に見えたりするのです。

 この映画の題材であったアフガニスタン戦争についても、アメリカは財政と国民感情が許容する範囲で、このアフガニスタンに関与しただけであった、真にアフガニスタンの人々の事を考えての戦争ではありません。その裏には「産軍複合体」の思惑が強くあったのかもしれませんが、結果としてはアフガニスタンの人々を引っ搔き回して終わっただけだったのではありませんかね。

 またアフガニスタンでは、アメリカ撤退後にタリバンが実権を掌握しましたが、そのタリバンは極めてイスラム原理主義に近い政権です。もともとアフガニスタンの地域では部族長社会であり、それぞれの部族ではイスラム教を中心とした社会構成にもなっていますので、そう一筋縄ではいかないでしょう。もしその地域にアメリカが描く民主主義の社会を構築するのであれば、アメリカとして人材や財政に対して、アメリカに大きな負担を強いる事にもなりますので、それは現実的ではないのでしょう。アメリカ人もそこまでは耐えられません。

 アフガニスタン戦争の発端は、映画の中でも語られていましたが、9.11同時多発テロを起こしたアルカイダを壊滅するという事でした。アフガニスタンにアルカイダの拠点があるという事で戦争の発端は切られましたが、実はアルカイダの拠点はアフガニスタンではなく、その近隣国であるパキスタンにあったわけです。オサマ・ビン・ラディン氏が潜伏していたのはパキスタンでしたからね。

 ではこのアフガニスタン戦争とは、一体なんだったのでしょうか。。。また二十一世紀における戦争とはどんな形となるのか。

 そんな事にふと思いを巡らせるような映画でした。


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