新古今和歌集の部屋

新古今集聞書他古注書写本 秋歌上 通光 蔵書

月に心すむとかげりけにもておそ/\てこゝろ

はづかしく侍り。

             左衞門督通光

○むさし野や行ども秋のはてぞなきいかなる風のすゑに
                              ふくらん

此哥ありのまゝに聞ゑ侍り。されどもいかなる風と

いへる作者の辛労し侍所なり。昔よりはても

なきむさしのと讀つたへたり。後亰殿御哥にも


行末は空もひとつのむさし野に草の原より出る月かげ

などよみ給へり。此哥むさし野のはてもなきと

いふを秋のはてもなきといへるきどくなり。たとへ

ば秋の茂中むさしのゝ草花のさかりを分行

に更に心もことばもをよはす分行とも/\

つきせぬおもしろさに又この末にはいかなる

おもしろき事ぞあらんとなり。いかなる風とは

いかやうなる風流の事か侍らんといふ事なり。

 

※出典 常縁新古今聞書だが、以下の通りで若干違う。
此哥ありのまゝにきこえ侍り。されどもいかなる風といへる作者の辛労し侍る所なり。後亰殿御哥に行末は空もひとつのむさし野に草の原より出る月かげどよみ給へり。はてもなきむさし野と昔より讀みつたへたり。此哥むさし野ゝはてもなきといふを秋のはてもなしといへるきどく也。たとへば秋のも中むさし野ゝ草花の盛を分行にさらにこゝろも詞もをよばす分行ども/\尽きせぬ面白さに又この末にはいかなる面白き事かあらんとなり。いかなる風とはいかやうなる風流の事か侍らんと云事也。

 

※行末は空もひとつの~

新古今和歌集巻第四秋歌上
 五十首歌奉りし時 野徑月
               攝政太政大臣
行くすゑは空もひとつのむさし野に草の原より出づる月かげ

よみ:ゆくすえはそらもひとつのむさしのにくさのはらよりいずるつきかげ 隠

意味:行けども行けどもこの広々たる武蔵野では空も野も一つになって、草原の中から月が出てきます。

備考:仙洞句題五十首歌。歌枕名寄、定家十体 有心体。


九条良経歌 行く末は

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