源氏物語 浮舟
薫大将
宇治橋の
長き契りは
朽ちせじを
危ぶ
む方に
心
騒ぐな
よみ:うぢばしのながきちぎりはくちせじをあやぶむかたにこころさわぐな
意味:宇治橋のような長き契りは朽ちないものなので、危ぶむ恋の行方に心騒がないで。
備考:危ぶむと踏むの掛詞。朽ちる、踏むは橋の縁語。
※橋の契りと言う意味が不明で、榺、千切、杠を掛詞として考えてみたが、橋の部位で建築用語としては無かった。なお、宇治橋のを長きを導く枕詞と言う解説も有ったが、他に用例は無い。
浮舟
絶え間の
み
世には危ふき
宇治橋を
朽ちせぬ物と
なほ頼め
と
や
よみ:たえまのみよにはあやふきうぢばしをくちせぬものとなほたのめとや
意味:板敷きの絶え間ばかりの危うい宇治橋の様にしか訪れてくれない貴方様の約束を、朽ちない物と頼めと言うのですか?
備考:本歌 忘らるる身を宇治橋の中絶えて人も通はぬ年ぞへにける(古今集 恋歌五 よみ人しらず)