新古今和歌集の部屋

明月記 元久二年三月二十二日 新古今集竟宴準備

明月記 元久二年三月

廿二日。天晴る。巳の時許りに殿に参ず。…略。
見参の次で、竟宴の事、昨日承はる。其の心を得ざる由申す。仰せて云ふ。昨日長房を以て仰せらる。廿七日以前に、清書出で来たるか。又、仮名序、其の以前に進むべし。又件の日の題を献ずべしといへり。申して云ふ、清書の事、更に叶ふべからず。仮令廿日の間に、書き出づべきか。仮名序、又更に出で来難し。題の事、只新古今功を終へらるるの由、の歌、宜しかるべきか。題有るべからざるか。若しくは、清書の序等を待たるるか。暫く延引せらるべし(近日、灸治に依り、出仕するに能はず)。廿七日に遂げ行はれば、此の両事叶ふべからざる由、申し了んぬといへり。此の事、更に心得ず。殿下、知らしめ給はず 。誰れ人の計らひ申す事か。…略。
和歌所に参じ、書き出す巻々を校合す。総州参会し、十余巻見了んぬ。文字等少々直さしむ。暁に退出す。…略。廿七日竟宴の詠歌止み了んぬ。只、巻々の初めの歌を読み上げ了んぬる後、御遊あるべし。其の伶人、皆新衆を召すべしと。毎事凡そ心得ず。笙(家方)、笛(親兼卿)、比杷(親定)、筝(経通、旧き所作)、拍子(親能、同じ)、琴(有雅)、篳(侍従盛兼)。

持明院宮:
守貞親王。高倉天皇の第二皇子であり、母は七条院。安徳天皇は異母兄、後鳥羽天皇は同母弟に当たる。
総州:家隆
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