新古今和歌集の部屋

唐詩選 五言古詩3 寛政八年版 蔵書

 

 

 

  西山      常建

一身爲輕舟落日西山際常隨去帆
影遠接長天勢物象歸餘清林巒分
夕麗亭亭碧流暗日入孤霞繼洲渚
遠陰映湖雲尚明霽林昏楚色來岸
遠荊門閉至夜轉清逈蕭蕭北風厲
沙邉雁鷺泊宿處蒹葭蔽圓月逗前
浦孤琴又揺曳冷然夜遂深白露沾

人袂
  宋中     高適
梁王昔全盛賓客復多才悠悠一千
年陳迹惟高臺寂寞向秋艸悲風千
里來
  與高適薛據同登慈恩寺浮圖
         岑参
 
 
塔勢如湧出孤高聳天宮登臨出世
界磴道盤虚空突兀壓神州崢嶸如
鬼工四角礙白日七層摩蒼穹下窺
指高鳥俯聽聞驚風連山若波濤奔
走似朝東青松夾馳道宮觀何玲瓏
秋色從西來蒼然滿關中五陵北原
上萬古青濛濛淨理了可悟勝因夙

所宗誓將挂冠去覺道資無窮
  幽居     韋應物
貴賤雖異等出門皆有營獨無外物
牽遂此幽居情微雨夜來過不知春
草生青山忽已曙鳥雀繞舍鳴時與
道人偶或隨樵者行自當安蹇劣誰
謂薄世榮

 


 西山  常建
一身軽舟と為る。
落日西山の際(あい)だ。
常に去帆の影に随(したが)い、
遠く長天の勢いに接す。
物象、余清に帰し、
林巒(らん)、夕麗を分つ。
亭亭、碧流暗し。
日入りて孤霞継ぐ。
洲渚、遠陰映、
湖雲、尚明霽。
林昏して楚色来たり。
岸遠くして荊門閉づ。
夜に至りて転た清逈(けい)。
蕭蕭として北風厲(はげ)し。
沙辺雁鷺泊し、
宿処蒹葭蔽ふ。
円月前浦に逗し、
孤琴又揺曳。
冷然として夜遂に深し。
白露人袂(べい)を沾(うるお)す。
 
 宋中   高適
梁王昔全盛、
賓客復多才。
悠悠たり一千年。
陳迹、惟だ高台のみ。
寂寞として秋草。
悲風、千里来たる。
 
 高適、薛據と、同じく慈恩寺の浮図に登る。
        岑参
塔勢、湧出するが如し。
孤高、天宮に聳(そび)ゆ。
登臨、世界を出で、
磴道、虚空に盤(わだか)まる。
突兀(ごつ)として神州を壓(あっ)し、
崢嶸(そうこう)として鬼工の如し。
四角、白日を礙(ささ)え、
七層、蒼穹(そうきゅう)を摩す。
下だし窺ふて高鳥を指し、
俯聴し驚風を聞く。
連山、波濤若(ごと)く、
奔走、東に朝(ちょう)するに似たり。
青松、馳道を夾み、
宮観何ぞ玲瓏たる。
秋色西従り来たり、
蒼然として関中に満つ。
五陵、北原の上、
万古青濛濛(もうもう)
淨理、了に悟るべし。
勝因夙(つと)に宗とする所、
誓って、将に冠を挂(か)け去らんとす。
覚道、無窮を資(たす)く。
 
 幽居   韋應物
貴賤等(しな)異にすと雖ども、
門を出づれば皆営み有り。
独り外物の牽く無し。
此の幽居の情を遂ぐ。
微雨夜来過ぐ。
知らず春草の生ずるを。
青山忽まち已に曙くれば、
鳥雀舎を繞って鳴く。
時に道人と偶し、
或ひは樵者に随って行く。
自から当(まさ)に蹇劣に安んずべし。
誰か世栄を薄んずと謂ふ。
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