新古今和歌集の部屋

唐詩選画本 与盧員外象過崔処士興宗林亭 王維 蔵書

ともにろいんくはいせいとよきる
與盧員外象過
さいしよきやうそうりん
崔処士興宗林
ていに     おうい
亭   王維
りよくしゆちよういんおヽう
綠樹重陰蓋
しりんをせいたいひヽに
四鄰青苔日
あつしうておのつからなかしちりくは
厚自無塵科
とうにしてききよすちやうしやうの
頭箕踞長松
もとはくがんにして見るたの
下白眼看他
せしようのひとを
世上人

さいしよしはくわんにつかすやまや
しきなとのやうなところへとぢ
こもりているりよくしゆがいくゑ
もしけりてしりんのとなるもあ
ろふがりよくしゆがおふてあるゆへ
みへぬしつかなところじや。にわのせいたい
しばくさなどもひとのゆきゝなく
はきそうちもせねともおのづかしちりも
なくけだかき人ゆへめつたな人にはつき
あわぬ。くはとうとはちらしかみをいふ。きヽ
よとは足をふみのばしている事なり。
ふうりうなひとてよにもとめもなく
かんむりもきすちらしがみて長松の
もとにあしをなけたしているいちう
になんにもかまわぬさまをけいやう
す。世けんのものにひとりもきにいつ
たものがなけれは白眼つけて
いらるゝゆへにたれゆきゝするもの
もない。
くわしくは掌故箋住国字解
などや嵩山房にもとめ見るしへ。
○又唐詩選講釈にも
   くわしく有り。
 盧員外象と崔処士興宗の林亭を過る
         王維
緑樹重陰、四鄰を蓋(おほ)ふ。
青苔、日に厚うして自ずから塵無し。
科頭にして箕踞す長松の下。
白眼もて看る他の世上の人。

意訳
この林の中の亭は、緑樹が生い茂り、うっそうとした蔭を作って、四方を覆っている。
青い苔は、日々厚くなり、塵一つ無い。
君は、頭はぼさぼさで、足を広げて、長く枝の伸びた松の木の下にいる。
そして、他の俗世間の人には、白眼で相手にもしない。

※盧員外象 盧象(700~760?)。盛唐の詩人。員外郎に勤めていた。

※崔処士興宗 崔興宗。王維の母方のいとこ。処士は、士大夫の身分なのに官職に就いていない者。

※四鄰 四方、辺り一帯。

※科頭 当時一般的な男子の冠や頭巾を被らないぼさぼさ頭。

箕踞 両足を広げた無作法な座り方。

白眼 晋の阮籍 (げんせき) が、気にいらない人には白眼で対したという「晋書」阮籍伝の故事から、冷たい目つき。⇔青眼。

横浜中華街市場通門


唐詩選畫本 七言絶句 巻三

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