明月記 元久二年四月 廿五日。天晴る。参上す。新古今を取り出さる。按察公通卿の歌、七首を切り入る。今日、鞠の懸木を切らる。御覧じ廻して之を切られ、数本引き入る。未の時許りに京を出で、九条に入る。…略。 按察使公通 夏歌 206 撰者名ナシ 二声と聞かずは出でじ郭公いく夜あかしのとまりなりとも 哀傷歌 826 撰者名ナシ 書きとむる言の葉のみぞみづぐきの流れてとまる形見なりける 神祇歌 1890 撰者名ナシ ゆふしでの風に乱るる音さえて庭しろたへに雪ぞつもれる