惜しくかなしき。いづれをもおもふやうな
らん御世にはさま/"\につけて、御こゝろ
とゞめておぼしたづねよ。そのなかに後見
などあるはさるかにもおもひゆづりはべり、
三の宮なんいはけなきよはひ
※画面では、手で見えない所もあるが、想像で記載。
33:00
(まひろナレーション)
三の宮は、未だ幼く、ただ、私のみを頼りとして來たので、
靫負と小兵部 きゃ~!
(藤式部、外の樣子を窺う)
靫負と小兵部 きゃ~!
藤式部 中宮樣。
源氏物語 若菜上 3 東宮、朱雀院を見舞う
「この世に恨み遺ることも侍らず、女宮たちの数多残り留まる行く先を思ひ遣るなむ、さらぬ別れにも、絆なりぬべかりける。先々人の上に見聞きしにも、女は心より外に、あは/\しく人に貶めらるゝ宿世あるなん、いと口惜しく悲しき。いづれをも、思ふやうならん御世には、樣々に付けて、御心留めて思し尋ねよ。その中に、後見など有るは、さる方にも思ひ譲り侍り。三の宮なん、いはけなき齢にて、ただ一人を頼もしき者とならひて、うち棄てゝん後の世に漂ひ流離へむ事、いと/\後ろめたく悲しく侍る」と、御目押し拭ひつゝ聞こえ知らせさせ給ふ。女御にも、心美しき樣に聞こえつけさせ給ふ。されど、母女御の、人よりは勝りて、時めき給ひしに、みないどみかはし給ひしほど、御仲らひ共、え麗しからざりしかば、その名残にて、げに、今はわざと憎しなどは無くとも、真に心留めて、思ひ後見むとまでは思さずもやとぞ推しはからるゝかし。
※会話の主は、朱雀院で、三の宮は女三宮。