CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

9月のおススメ盤(工藤)

2017年09月15日 | 音楽
今回はヴィジェイ・アイヤーのセクステット。今まではECMだと割と静かなアルバムだったのが、ここでは本来(?)の姿に近くなり、元気なアルバムになっています。管のフロントも、グレアム・ヘインズ(懐かしい名前)、スティーヴ・レーマン、マーク・シムと、濃いメンバーが集まっていますし、ややM-BASE的でもあります。これでプロデューサーがマンフレート・アイヒャー(裏ジャケにはAn ECM Productionとのみ記載あり)なので、やはりECMらしい音というのは存在しない、と彼が言っていることは本当なのかと思ってしまいます。アイヤーのファンなら手が出るアルバムですが、ECMだけのファンは少々要注意といったところでしょうか。


Far From Over/Vijay Iyer(P. Key) Sextet(ECM 2581)(輸入盤) - Recorded April 2017. Graham Haynes(Cor, Flh, Electronics), Steve Lehman(As), Mark Shim(Ts), Stephan Crump(B), Tyshawn Sorey(Ds) - 1. Poles 2. Far From Over 3. Nope 4. End Of The Tunnel 5. Down To The Waire 6. For Amri Baraka 7. Into Action 8. Wake 9. Good On The Ground 10. Threnody

(17/08/19)全曲ヴィジェイ・アイヤーの作曲。ECMにしては元気な曲が多く、ACT時代の感触も少しあり。けっこう複雑な曲で、おそらく変拍子が多いと思われます。リズムがパルス的に来るため、何拍子か考えるのは、少々難しい。ただ、そういう点を除けば、通常のジャズから大きくはみ出たところは少ないと思います。聴くのに体力がいりますが、智に勝った部分も。プロデューサーはマンフレート・アイヒャー。メンバーがメンバーだからか、インド的要素は影を潜め、むしろM-BASE的なサウンドを感じるのは一部メンバーのせいか。とにかく、ECMにしては賑やかな演奏が多いです。3曲目のようにシンプルなファンクビートの曲もあるけど、一筋縄ではいかない現代ジャズ的なイメージ。時に静かな場面もあり。少し野性的か。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

appleJam 9月のお宝盤

2017年09月01日 | 音楽
Ruthie Foster / Joy Comes Back
2017 輸入盤国内仕様 BSMF

日本人でも持ってるアメリカンルーツ系音楽に感じる心のふるさと。
15年前に、ロイド・メインズがプロデュースしたルーシーのアルバム「Runaway Soul」を初めて聴いたときに似た感動がよみがえります。
ロイドは娘さんがディキシー・チックスのメンバーということと、当時当店がルーシー同様に力を入れていたテキサスのSSW テリ・ヘンドリックスの作品もプロデュースしていたことでとても馴染みある人でした。
そんなルーシーが今作ではなんとブラックサバスのヒット曲「War Pigs」のカバーも披露。
ハードロックやヘヴィーメタル・チューンだけが持つ独特の妖しい破壊力を残したままとてもスピリチュアルなタッチに仕上げているのが凄いです。
こんなの聴かされたら次は孤独の叫び~Inside Looking Outをルーシー・テイストで仕上げたカバーを聴きたくなってしまいます。
テキサスのシンガーらしい大きな包容力と哀愁を同時に感じる次第。
一方、ところどころでグエン・マクレェを思わせる70年代ソウル風のコブシというかビブラートが印象的です。

bb白岩(appleJam)