CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

5月のおススメ盤(工藤)

2012年05月22日 | 音楽
今回はECMでのサックス・トリオなんで好き嫌いは分かれるかもしれませんけど、自分は気に入りましたです。

Fly3作目でECMでは2作目。そうそうたるメンバーでのトリオですけど、やはりECM色が強く、割と静かで内省的な、温度感の低いサウンドなので、聴く人を選ぶかもしれないなあ、と思いつつ。それでも3枚目が出ているということは、一定数の支持するファン層がいるってことでしょうね。実際には音数も多めだったり、そんなに静かってわけじゃないんだけど、それでもイメージ的に静かなイメージがつきまとうのはECMだからなんだろうと思います。このメンバーで何作目までいけるか、楽しみではありますけど、もう一人ぐらい加わってもいいんじゃないか、とも思います。


Year Of The Snake/Fly(ECM 2235)(輸入盤) - Recorded January 2011. Mark Turner(Ts), Larry Grenadier(B), Jeff Ballard(Ds) - 1. The Western Lands 1 2. Festival Tune 3. The Western Lands 2 4. Brothersister 5. Diorite 6. Kingston 7. Salt And Pepper 8. The Western Lands 3 9. Benj 10. Year Of The Snake 11. The Western Land 4 12. The Western Land 5

(12/05/06)3人のフリー・インプロヴィゼーションが4曲(3、7、11、12曲目)、他はメンバーそれぞれの曲ないしは2人の合作。タイトル曲や4曲提供しているところをみると、マーク・ターナー中心と考えていいか。2、6曲目にやや激しめの曲がありますが、基本的にはECMらしい静かな部分の多い、サックス・トリオ。まあ、メンバーがメンバーなので、飽きさせるということはないとは思いますが、やはり空間的な部分の大きさから聴く人を選ぶアルバムかもしれない、と思います。温度感は、ターナーの個性でもあるのですが、けっこう低めです。ベースとドラムスもブラッド・メルドー・トリオの時とは性格を異にしますけど、こういう静かめのバランスでうまくトリオとして入り込んでいく音のタイミングの良さはなかなか。かなり内省的なアルバム。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

appleJam 5月のお宝盤

2012年05月01日 | 音楽
右脳がゴキゲンに踊り出す極上R&Bジャズ、チコ85歳のアニバーサリー盤
Chico Hamilton 6th Avenue Romp
輸入盤 2006 USA Independent

新譜ではないのですが、リリースされた2006年当時でチコ・ハミルトン85歳のアニバーサリー企画で出た連作のうちの一枚です。本作は2005年5月~2006年5月にかけてのスタジオワーク集で、もう一枚がボサノバ系のジャズなのに対してこちらはいたって濃厚なR&Bテイストをしているのが特徴です。ベテランのR&Bファンほど喜びそうな選曲 #1.Cleo's Mood で幕開けですが、その軽いジャブに続いて#3.Topsy のスモーキーにファンキーなギターには文句なし仰け反ります。さらに#4.Ain't No Sunshine のセクシーなサックスで一度マットに沈むという展開。全編がブルーノート・リキュールをベースにCTIやKUDUサウンドでシェイクしたカクテルのようなファンキーな展開で、熟年ファン程思わず目が遠くを偲んでしまうに違いない1枚。ジャズとリズム&ブルースが長屋作りだった時代の大御所だけに、ここでもそのブレンド具合には天然の配合がなされている感じが素晴らしいです。改めて黒っぽくファンキーなジャズに惚れ直す人も多発しそうなそんな作品です。

bb白岩(appleJam)