CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

1月のおススメ盤(工藤)

2017年01月15日 | 音楽
実はHMVには昨年中に入荷していたんだけど、分割出荷できなかったので。ジョン・アバークロンビーとマーク・コープランドのフロントっていうのは自分にとっては理想です。まあ、ECMっぽいサウンドという意味ではなんですけど。そこのこのベースとドラムスっていうのは最強なんじゃないかと。これ以上叙情的にはならないところで、静かに、時に盛り上がって(でも温度感は低い)せまってきます。マーク・コープランドもそのうちリーダー作をECMから出すかもね、と期待をしているんですけど。最近の私の考えるECMではこんな音、ってのを出してくれてます。


Up And Coming/John Abercrombie(G) Quartet(ECM 2528)(輸入盤) - Recorded April and May, 2016. Marc Copland(P), Drew Gress(B), Joey Baron(Ds) - 1. Joy 2. Flipside 3. Sunday School 4. Up And Coming 5. Tears 6. Silver Circle 7. Nardis 8. Jumbles

(17/01/10)ジョン・アバークロンビー作が5曲(1-4、8曲目)、マーク・コープランド作が2曲(5-6曲目)、マイルス・デイヴィス作が7曲目。同じメンバーではECM2作目。まさに温度感が低く、しっとり感とゆったり感が強いアルバムで、これ以上耽美的に演奏できるか、というぐらいの叙情感も強いです。収録時間が47分台と短いのは、LPの併売との関係か。そんな中でも2曲目はややアップテンポの4ビートで、それでも全体の雰囲気がほぼ同じなのはマンフレート・アイヒャーの裁量によるものでしょう。アルバムジャケットの淡い、そしてほの暗い絵のように、浮かび上がっては消えていくサウンド。これは他のメンバーでは出せないと思う。4曲目もけっこう入り組んでいるような気もするけど、「あの」サウンドでせまってきます。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

appleJam1月のお宝盤

2017年01月01日 | 音楽
67才の現在のロリーと1970年のカクタスと、ブッカ・ホワイトとモーズ・アリソンが横一列になる瞬間
Rory Block / Keepin'tarouble
輸入盤国内仕様 BSMF2535

気がつけばロリーも67才になっていた。
オーロラ・ブロックを名乗っていた頃からのファンには感慨深いくらいの時が流れた訳ですが、本作はこのところの連作となっているブルースの巨匠達へトリビュートしたシリーズの続編でブッカ・ホワイトがテーマになっています。
前作までと少し趣が異なるのはカバーチューンだけでなく自己のオリジナルも半分収録したこと。
個人的には#6.Parchman Farm Bluesがとても印象的で、ここでバックに響く低音の打楽器はこの曲のためにプロデューサーがあり合わせの材料で作った特製の箱を叩いているらしい。
パーチマン・ファームと聞くと私の場合即カーマイン・アピスとティム・ボガートの居たカクタスの超豪快な音が先に脳内に鳴り響いてしまう人間なのですが、ロリーの本トラックもアコギ弾き語りの割には意外と腹に響く迫力があります。
オレの残りの人生をここ(刑務所)で過ごすのはまったく気が滅入る話だゼ、と言ったニュアンスだったと思うのですが、ネットで拾った記事によれば必ずしもまんま受刑者という受け止め方以外にも、圧倒的な権力を持つ支配者層にコントロールされたこの世界に暮らす私たち普通の市民を受刑者と見立てたという角度の受け止め方もあるらしい。
帝国主義的な米政府の内政・外政に対する米国市民からのアンチテーゼかと思えば、まさに今現政権の強引な国会運営に腹を立てている日本人の私と全く同じニュアンスになることに気がつきました。
昔はそういう気持ちをストレートに歌や詩にして活動するアーティストが多かった時代、ボブ・ディランはまさにその象徴の頂点にある人ですよね。
今や反戦や反原発等のテーマを歌にして聴衆の前に立つアーティストは少なくともここ日本では皆無になってしまいました。
話はカクタスの話題に戻りますが、パーチマン・ファームを収録したカクタスの1stアルバムもマジに素晴らしい作品だと改めて思い9ます。
LPジャケットの太陽を背にしたサボテンのなんと雄々しい姿、今も目に焼き付いている次第です。
もしやロリーもアタシもそれが愛聴盤よ♪なんて言ってたりして。
ヴァニラファッジを解散したカーマイン・アピスとティム・ボガートの二人がそのまま計画通りジェフ・ベックと新しいバンドを作っていたら生まれ得なかったアルバムですが、たまたまベックがバイク事故を起こし活動休止、やむなくジム・マッカーティと組んだことで誕生したのがカクタスでした。
後のベック復帰後にカクタスを解散して改めてベック・ポガート・アピスという念願のバンドを組んだ彼らですが、個人的には私はカクタスが今も大好きで何かというとそのパーチマンファームを収録した1stアルバムを聴く人間です。

bb白岩(appleJam)