11月発売の中で一番良かったのは、本当のことを言うと「ウィズ・オール・マイ・ハート/ハーヴィー・メイソン(Ds)・トリオズ」(Videoarts)だったのですけれど、SJ誌のゴールドディスクにもなっているし、誰もが良いって言うだろうアルバム(何たって12曲を12人の豪華なピアニストが交代で弾いているのだから)です。だから、うんと渋めに(地味めに)今回は攻めてみたいと思います。
カーリン・クローグはだいぶ前に「ブルース・アンド・バラード」(’70年録音)というデクスター・ゴードン(Ts)との共演作でその渋さにまいってしまい、それから追いかけています。最近出た1枚はギターとのデュオ作。
Where Flamingos Fly/Karin Krog(Vo), Jacob Young(G)(Fab) - Recorded December, 2001. Arild Andersen(B) - 1. Where Flamingos Fly 2. Prelude To A Kiss 3. Once I Loved 4. Last Night When We Were Young 5. I'm Shadowing You 6. I'll Be Seing You 7. Caravan 8. Everything Happens To Me 9. Northern Sun 10. Cry Me A River 11. K.C. Blues 12. Everything We Say Goodbye
基本的にギターとのデュオアルバム。アリルド・アンデルセン(B)は3曲(9-11曲目)のみに参加。でも彼の参加も必然性ありで、9曲目など曲のテンポも良く、うまいスパイスに。カーリン・クローグのオリジナルは9曲目のみで、主にスタンダード、時にボッサやブルースを歌っています。彼女の、ある意味ではストレートな表現の、またある意味では独特のうねりを持ったフレーズのヴォーカルが心に残ります。北欧出身が見え隠れする旋律の場面も少々。また、ヤコブ・ヤングの音数の少なく、音符の要所要所を押さえ込んだギターが、その繊細さとともにデュオの渋みを増しています。ゆったりした曲が多いので、このしっとり感がなかなか。そんな中で5曲目がギターの多重録音も使用してテンポの良い曲に仕上がっています。(03年11月21日発売)
ジャズCDの個人ページ 工藤