CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

12月のおススメ盤(工藤)

2013年12月20日 | 音楽
このアルバムはキャッチーなフレーズこそないにしても、なぜか何度も聴きたくなるような情景的なソロ・ピアノです。アーロン・パークスの別な一面を見たような気もしてます。ちょっと地味かなという気もするけれども、ECMだったらこのぐらいがちょうどいい塩梅の演奏なのかな、と思います。韓国人プロデューサーの今後にも期待してます(このアルバムで2枚目。1枚目は「Lua Ya/Yeahwon Shin(Voice)(ECM 2337)」)。あと何枚か彼のプロデュースで(レーベルの今後を占う意味でも)聴いてみたいですね。

Sun Chung氏のいい面は、低い温度感や静けさなどがECMらしく、時にやや暖かい面を見せているところです。ただ、今後、別なアルバムで鋭いインプロヴィゼーションのやり取りとか、そちら方面がアイヒャー譲りなのかどうか、そういうのを聴いてみたいです。


Arborescence/Aaron Parks(P)(ECM 2338)(輸入盤) - Recorded November 2011. - 1. Asleep In The Forest 2. Toward Awakening 3. Past Presence 4. Elsewhere 5. In Pursuit 6. Squirrels 7. Branchings 8. River Ways 9. A Curious Bloom 10. Reverie 11. Homestead

(13/12/08)全曲アーロン・パークスの作曲。タイトルを直訳すると「樹木状」となりました。各曲のタイトルも木とか森とか、風景とか、あるいはもっと抽象的なものだったり。そのサウンドも情景描写的に進んで、あるいは自然に広がって行く感じで、まさにECMらしいソロ・ピアノの演奏がそこにあります。今回はプロデューサーがSun Chungという韓国の人で、マンフレート・アイヒャーの文字はありません。一説によればアイヒャーを引き継ぐ人との噂もありますが、まさにその承継にふさわしいようなサウンドです。自然と寄り添って歩くようなサウンドは、小難しいところが少ないかわり、どこか静けさや温度感の低さがあって、アルバム全体が物語を構成しているような雰囲気になります。即興の部分が大きいだろうけど、クラシック的でもあり。

ジャズCDの個人ページ(工藤)

12月のappleJamお宝盤

2013年12月01日 | 音楽
ジャズが最もジャズらしかった時代の名手達による名演をしぶとくキャッチ、幻のレーベルDOOTONEで聴くデクスター
Dexter Gordon / Dexter Blows Hot and Cool
輸入盤 2013 UK BOPLICTY

1950年代、全部で僅か四作品を残しただけで活動が潰えてしまった謎多きレーベル DOOTONE の、そのジャズ史上に燦然と輝く同社の四大名盤が今般また復刻になりました。
当シリーズを今回発掘したのが英国ACE傘下のBOPLICTYということもあって、パッケージも愛情溢れるデジパック特製仕様なのに加えて最新技術による高音質リマスターが売りとなっています。
中でもデクスター・ゴードンのこの1955年カリフォルニア録音は特にその四作品の中でも代表的な位置づけにあると感じます。
特筆としてこの時期のデクスターは薬物の過剰摂取によってほとんどまとまった活動をしていなかったと言われている中、復帰後の60年代ブルーノート盤にそのまま繋がる感じの気合いも心もこもった演奏なのが凄いです。
どちらかというと50年代の西海岸ジャズには独特のカラッとしたテイストがつきものですが、豪快ながらもウエット感の強いデクスターのテナーがそういう感じに聞こえるのも共演の名手カール・パーキンスのピアノとのマッチングが影響しているのかも知れません。
そのカール・パーキンスの客演がまたシビれる要素のひとつで、#2.Cry Me a River は特に改めてパーキンスのピアノにも惚れ直す素晴らしい演奏です。
カウント1分20秒辺りからの両者の短いソロの応酬部分は私をしてジャズが好きで良かった、生きてて良かった状態の至福の境地に誘ってくれます。
一転してアグレッシヴなスピード感溢れる曲ではチャック・トンプソンのドラムが本領発揮、本作は真正面から聴いてもBGMに延々と流しておいて飽きるということがまずないジャズ盤。
まさにジャズが最もジャズらしかった時代の名作を心から堪能出来る素晴らしい演奏ばかりです。

bb白岩(appleJam)