きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

11月25日の日本民話 右源太とばけネコ

2007-11-25 07:28:47 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 11月の日本民話

11月25日の日本民話

右源太とばけネコ

右源太とばけネコ
熊本県の民話熊本県情報

 むかしむかし、根子岳(ねこだけ→熊本県の阿蘇市)のふもとの村に、右源太(うげんた)という鉄砲(てっぽう)の上手な男がいました。
 右源太はこれまで九百九十九頭のイノシシをいとめていて、今度いとめれば千頭です。
 ある年の冬の寒い夜、村はずれの野でたき火をしながら獲物(えもの)をまっていると、やみの中から目も口も鼻もない、のっぺらぼうのバケモノがやってきて、たき火にあたりはじめました。
(こいつは、へんなものがやってきよったな)
 右源太が目を合わさないように下をむいていると、のっぺらぼうが右源太を下からのぞき込み、
「右源太よ、おめえは声がでかいときくが、今日はおめえと、さけびくらべをしたいと思ってな」
 のっぺらぼうですから、どこに口があるのかわかりませんが、つるつるの顔をしわくちゃにしながら言ったのです。
 逆らうと、何をされるかわかりません。
 右源太は、しぶしぶ承知(しょうち)しました。
 まずバケモノが、根子岳のほうをむいてさけびました。
「ウォオオオオオオオーー!!」
 その声の大きさに、山のてっぺんの岩がガラガラとくずれおちたほどです。
「ほれ。今度はおめえの番じゃ。やってみろ」
 このままでは、負けは決まっています。
 右源太は、ちょっと考えてから、
「おれは、このつつからさけぶからな」
と、いうと、玉がこめてある鉄砲をバケモノにむけました。
「なんじゃ、これは?」
 バケモノが鉄砲の先に顔を近づけたとき、右源太は鉄砲の引き金をひきました。
 ズドーン!
 ものすごい音がして、ビックリしたバケモノはどこかへすっとんでしまいました。
 夜が明けてから、バケモノはどこへいったのだろうとさがしにいくと、根子岳の岩の下で手ぬぐいをかぶったおばあさんが、横になっているおじいさんと話しをしていました。
「おばあよ、洗濯ばあさんに化けて、あいつをかみ殺してくれ。おらはもう命はねえ」
 横になっているおじいさんがいうと、おばあさんは、
「わかった、わかった。約束する。きっとかたきはとってやる」
と、こたえていました。
 それを聞いた右源太は、二人に見つからないように、そっと家へ帰ってきました。
 さてしばらくすると、一人のおばあさんが右源太の家にやってきました。
 そして、
「洗濯物があったら、おらに洗わしてくれろ」
と、いうのです。
(ははん。さっそくきやがったな)
 おばあさんの正体に気づいた右源太は、
「ああ、それは助かる。たくさんあるから洗ってくれろ。だがな、うちはむかしから、三べん戸口をいったりきたりしなけりゃ、家の中に人を入れんことにしておるんじゃ」
 それを聞いたおばあさんは、戸口の前を行ったり来たりしました。
 そのあいだに右源太はおばあさんにねらいをさだめて、鉄砲の引き金をひきました。
 ズドーン!
 するととたんにあたりがまっ暗になり、おばあさんの姿はどこかへ消えてしまいました。
 右源太が根子岳の岩の下へいってみると、岩穴の中で大きなネコが二匹、頭をならべて死んでいたのです。
 この二匹はむかしから根子岳にすんでいた化けネコで、今までに何人もの人が殺されていたのです。
 根子岳はこのときから、猫岳になったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ハイビジョンの日
きょうの誕生花 → パンパスグラス
きょうの誕生日 → 1962年 寺門ジモン (芸人)

きょうの日本昔話 → ネコ岳のばけネコ
きょうの世界昔話 → オンドリと風
きょうの日本民話 → 右源太とばけネコ
きょうのイソップ童話 → ワシとキツネ
きょうの江戸小話 → よく見るがいい

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11月24日の日本民話 蛇の天上のぼり

2007-11-24 07:22:12 | Weblog

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11月24日の日本民話

蛇の天上のぼり

蛇の天上のぼり
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、あるところに、それはそれは大きなカキの木がありました。
 そのカキの木には、カキの実がすずなりになっています。
 村人たちは、ここを通るたびに見あげては
「たくさんのカキの実がなっているなあ」
と、いっていました。
 ある日の事、急にあらしになって空が暗くなり、バラバラと大つぶの雨が降って来ました。
 ところが鈴なりになっているカキが、一つとして落ちません。
 村人たちが不思議に思っていると、急にザァーザァーと、草の上をはうような音が聞えてきました。
 しばらくすると天から大蛇(だいじゃ)が下りて来て、すずなりになっていた柿の実を一つ、また一つと食べて、とうとうみんな食べてしまったのです。
 そこで村人たちは、
「大蛇が、柿の実をみんな食ってしもうた」
と、口ぐちにいっていました。
 しかし、さすがの大蛇もあまりにも食いすぎたのか、おなかをゴロゴロならしながら天へとのぼっていきました。
 やがて、ふたたび大つぶの雨が降って来ると、村人たちは、
「くんくん。おや、この雨は、どうも柿くさいぞ」
と、いって逃げだしました。
 大蛇が天にのぼって行くときに、おしっこをしていったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → オペラの日
きょうの誕生花 → がまずみ
きょうの誕生日 → 1974年 山本太郎 (俳優)

きょうの日本昔話 → 打たぬのに、鳴るたいこ
きょうの世界昔話 → 逃げ出したパンケーキ
きょうの日本民話 → 蛇の天上のぼり
きょうのイソップ童話 → 気がくるったライオンとシカ
きょうの江戸小話 → よいお手本

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11月23日の日本民話 もんじゃの吉

2007-11-23 07:00:45 | Weblog

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11月23日の日本民話

もんじゃの吉

もんじゃの吉
岩手県の民話岩手県情報

 むかしむかし、南部の国(なんぶのくに→岩手県)のあるいなかに、「もんじゃの吉(きち)」と、いう、とんちのきく男がいました。
 ある日の事、吉が山を歩いていると、キツネたちがあつまって化け比べをしながら話しをしていました。
長者(ちょうじゃ)のせがれが嫁を探しておるそうだが、なかなか見つからんらしい」
 それをきいた吉は、いいことを思いついてキツネたちにいいました。
「やあやあ、キツネどん。うまく化けるもんだなあ。実は長者のせがれが嫁をさがしとるんじゃが、お前たち、花嫁と嫁入りの行列(ぎょうれつ)に化けてくれないか。長者にはあぶらあげでもあずきのごはんでも、たくさん用意させるから」
 それを聞いたキツネは大喜びで、吉の話しに賛成しました。
 それから吉は、長者の屋敷へ飛んでいって、
「いい嫁さんが見つかったから、おれが世話をします。あぶらあげやあずきごはんを用意しておいてくれ。今夜にも、さっそく嫁入りさせるでな」
 喜んだ長者は、さっそく準備にとりかかりました。
 さてその夜、吉は仲人(なこうど→結婚の仲介をする人)になって、嫁入り行列の先頭にたちました。
 花嫁道具を運ぶ男たちや花嫁の親戚(しんせき)の人たちが、ちょうちんを手に長者の家にむかいました。
「大した花嫁行列だ。ごくろうだった。さあさあ、あがってくれ」
 長者の家の座敷には、ごちそうやお酒も用意しており、大変にぎやかな結婚式になりました。
 吉はさんざんごちそうになって、おみやげもたくさんもらってかえることにしました。
 行列の人たちも、ひきあげました。
 次の朝、長者の屋敷は大さわぎになりました。
 家中がキツネの足あとだらけで、花嫁も見あたりません。
「さては、キツネにだまされたか。もんじゃの吉め、キツネをそそのかして、よくもこのわしにはじをかかせたな!」
 長者は、吉の家へ飛んでいって、
「やい、インチキ仲人! ごちそうと酒のお金をかえせ!」
と、カンカンに怒りました。
 ところが吉は、すました顔で、
「へっ? 何の事か、身におぼえがありません。おそらくキツネのやつが、わしにばけてイタズラしたんでしょう。近ごろのキツネは、悪知恵がはたらきますからね」
「ぐぐぐっ・・・」
 吉は見事、長者をおいかえしてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 勤労感謝の日
きょうの誕生花 → みかん
きょうの誕生日 → 1976年 三瓶 (芸人)

きょうの日本昔話 → 上と下
きょうの世界昔話 → 悪魔のすすだらけきょうだい
きょうの日本民話 → もんじゃの吉
きょうのイソップ童話 → モミの木とイバラ
きょうの江戸小話 → 風穴

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11月22日の日本民話 だんだらぼっち

2007-11-22 05:40:55 | Weblog

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11月22日の日本民話

だんだらぼっち

だんだらぼっち
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、志摩半島(しまはんとう)おきの大王島(だいおうじま)には、だんだらぼっちという一つ目の大男がすんでいました。
 その大男はものすごい力持ちで、漁師たちのとった魚を船ごと持っていってしまうほどです。
 だから、だんだらぼっちが来ると村は大変なさわぎになります。
「だんだらぼっちだー! はやく逃げろ!」
 だんだらぽっちはお腹がすくと村へやってきては、逃げ回る村人たちや家をふみつぶしながら食べ物を探して村中をあらしまわします。
 こまった村人たちは、村の代表の網元(あみもと)の家に集まって相談しました。
「いったいどうしたら、だんだらぼっちが村に来なくなるだろう? このままでは、村はほろんでしまうぞ!」
 網元(あみもと)が言うと、集まった村人の一人が言いました。
「そうじゃ、大きな落とし穴をつくったらどうじゃ?」
「うーん、だんだらぼっちが落ちる穴となると、そうとう大きな穴をほらなくてはならんぞ。それに、どうやってその穴に落とすんだ?」
「それはだな、・・・まだ考えとらん」
 また、みんなはこまってしまいました。
「そうだ。ええ方法があるぞ! 酒をたらふく飲ますんじゃ」
「おおっ、それでどうするんじゃ?」
「わしらが穴の方へ逃げるんじゃ。すると、だんだらぼっちが追っかけてきて、穴の中にストーンと」
「で、その後はどうするんじゃ?」
「えーと、・・・そうじゃ、魚のアミをぐるぐるまきにかぶせりゃええ」
と、いうわけで、村人たちはその夜のうちに大きなあなをほりました。
 そして、酒だるを五つも用意して、夜の明けるのを待ちました。
 夜が明けると、だんだらぼっちが酒のにおいにつられてやってきました。
「おーい、だんだらぼっちがくるぞ」
 木の上の見はりが酒だるの番に言ったときには、だんだらぼっちは、もう酒だるの近くまで来ていました。
「くんくん。いいにおいじゃ。おい、これは酒でねえか?」
 だいだらぼっちにたずねられて、網元がいいました。
「へい、今日はめでてえ日なんで、だんだらぼっちさまに、これを飲んでもらおうと」
「で、きょうはなんの日だ?」
「へえ、それがその、じつは、あっしの生まれた日なんで」
「ふーん」
 だんだらぼっちは、すぐに酒に手をのばしました。
「まあとにかく、それはめでてえな。うーん、これはうめえ、うめえ酒だ」
 だんだらぼっちは、あっというまにたるを空っぽにすると、
「うーい、もっと飲ませろーい」
 よっぱらっただいだらぼっちは、もっともっとと酒をさいそくします。
「へいへい、ただいま。さあ、酒はこっちで。どうぞ、どうぞ」
 案内する村人たちに、だいだらぼっちがついていきました。
「酒はどこじゃー!」
「あっちです」
 網元が指さした方向ヘ、だんだらぼっちが足を出したとたん、
 ドデーン!
「やったーっ!」
 だんだらぼっちが穴に落っこちたので、村人たちは大喜び。
 ところが、
「ういーっ、酒はどこじゃあー」
と、だいだらぼっちは穴から立ちあがったのです。
「だめじゃ、穴が小さすぎた。逃げろ!」
 その日だんだらぼっちは、さんざんあばれまわって帰っていきました。
 村人たちはその夜、また網元のところへ集まって相談しました。
「落とし穴くれえじゃ、とてもだめじゃ。ほかに何かええ方法はねえか?」
 そこへ網元の子どもが顔を出して、こんな事を言いました。
「お父ちゃん、おらにいい考えがあるよ」
「なんじゃ。子どもが口をはさむ事ではないが。まあ、とにかく言ってみろ」
 子どもは網元の耳に口をよせて、小声でひそひそといいました。
「どう?」
「うーん、子どもの考えとしては、まあまあじゃな」
と、いうわけで、村人たちはさっそく準備をはじめました。
 それから何日かたって、また、だんだらぼっちがやってきました。
「はらへったぞーっ、なにかうめえものないかー」
 そういいながらやってきただんだらぼっちは、大きなかごを見つけて村人にたずねました。
「おい、こりゃあ、なんだ?」
「はい、これは考えるだけでもおそろしい、千人力の男が使うタバコ入れでごぜえます。二、三日前からこの村にやってきました。その大男はあなたなど、そばへもよれないほどの強いやつでございます」
 それを聞いて、だんだらぼっちはビックリです。
「そんなやつが、この村にいるのか?」
 だんだらぼっちがおそるおそる歩いていくと、こませぶくろという、太さが一かかえ半もある、大きな魚のえさぶくろがほしてありました。
「これは、なんじゃ?」
「へい、千人力の男がはく、ももひきでごぜえます。その男のでっけえことといったら、あなたさまなんぞ、まるで子どもみてえなもんでごぜえます」
「このおれが、子どもみたえだと・・・」
 だんだらぼっちは、だんだんこわくなってきました。
 そして今度は、大きなアミがほしてあるのが目に入りました。
「こ、これは、なんじゃあ?」
「これは、千人力の男がきる着物です。ですが、これでも短くて、足が半分ほど出てしまうのです」
「そ、そんなにでっけえのかっ!」
「でけえのなんのって。なんにしろあなたさまが、子どもみてえなものですから。それから千人力の男は、こんなこと言っていました。『おめえたちは小さすぎてたよりない。もっと大きいやつがいたら、マリのようにほうりなげて遊んでやる』と」
 だんだらぼっちは、ブルブルとふるえ出しました。
「お、おれ、もう帰るわ」
と、言って、ふと足もとを見ました。
「こ、これは、なんだ?」
 大きなむしろのようなものの上に、だんだらぼっちと村人たちは立っていたのです。
 網元がこたえました。
「ごらんのとおり、わらじでごぜえます」
「わわ、わ、ら、じ?」
「千人力の男がはくわらじでごぜえます。もうすぐ、ここへはきかえにくるとおもいますよ」
「ここへ、くるじゃと!」
 こんな大きなわらじをはく男につかまったらたいへんと、だんだらぼっちはあわてて逃げて行きました。
 そして、二度と村へはやってこなかったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ボタンの日
きょうの誕生花 → さんしょう
きょうの誕生日 → 1975年 aiko (歌手)

きょうの日本昔話 → キツネとクマ
きょうの世界昔話 → 三匹の子ブタ
きょうの日本民話 → だんだらぼっち
きょうのイソップ童話 → 女とメンドリ
きょうの江戸小話 → 貧乏神の好物

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11月21日の日本民話 どじょうのなべ

2007-11-21 06:15:36 | Weblog

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11月21日の日本民話

どじょうのなべ

どじょうのなべ
長崎県の民話長崎県情報

 むかしむかし、あるところに、やりくりやりべえという人がいました。
 ある日、お母さんがとうふを食べたいというので、やりべえはとうふやにいって、とうふを一丁かいました。
 その帰り道、若者たちがナベをかこんで、これからドジョウ汁を作ろうとしているところに出会いました。
 ナベには、うまそうなドジョウがたくさん泳いでいます。
 名案を思いついたやりべえは、若者たちにたのみました。
「すまんが、おっかあに食わせるとうふを、ついでに煮てもいいかな」
「ああ、勝手に使うがいい」
「それは、すまんことで」
 おしゃべりに夢中な若者たちは、やりべえの悪だくみに気づきません。
 ナベのお湯があたたまってくると、ドジョウはあつくてたまらず、冷たいとうふに次々ともぐりこみました。
 やりべえは、ドジョウが一匹のこらず、とうふにもぐりこむのを見届けると、
「おおっ、そうじゃ、急ぎの用を思い出したので失礼する」
と、言って、とうふをひきあげると、急いで家に帰っていきました。
 やがて、若者たちはおしゃべりを終えて、
「さあ、もう食べ頃になったはずじゃ」
 ナベのふたをとったところが、ドジョウの姿はありません。
「ああっ、やりべえに、してやられた」
 やりべえの悪だくみに気づいた時には、もう後の祭りでした。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → フライドチキンの日
きょうの誕生花 → かりん
きょうの誕生日 → 1967年 古賀稔彦 (柔道)

きょうの日本昔話 → 石のいも
きょうの世界昔話 → ほらふき男爵 クマと火うち石
きょうの日本民話 → どじょうのなべ
きょうのイソップ童話 → キツネと大きなヘビ
きょうの江戸小話 → おカメの嫁入り

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