7月26日の日本民話
あやしい火の行列
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むかしむかし、琵琶湖(びわこ)のほとりの村で、不思議なさわぎがおこりました。
大雨があがった、ある夜ふけの事、琵琶湖の中から大入道(おおにゅうどう)のようなものたちがつぎつぎと現れたのです。
そして大入道たちは松明(たいまつ)のような火をつらねて、伊吹山(いぶきやま)へのぼっていくのです。
大入道たちはおしだまったままですが、その足音がものすごい地ひびきとなって、村の家々をゆすりました。
寝しずまった人たちは、
「地震だ!」
と、さけんでとびおきましたが、いち早く外へとびだした者たちが、
「これは地震ではない! 大入道の行列だ!」
と、ゆれる家の中へ逃げかえっていきました。
家の中でふるえていると、大入道たちは伊吹山の頂上までのぼりつめたのか、やがて地ひびきも消えていきました。
次の日の朝、大入道たちが歩いたあとには、三十センチをこえる大きな足跡が、五、六メートルの歩幅(ほはば)でつづいていました。
その足でふまれた草や畑の作物は、みな松明の火で焼かれたように、足跡の形にこげています。
こんな不思議な事、五、六十年に一度くらいおこるのです。
子どものころ出会って、今度が二度目という村のあるおじいさんが、
「あのときもたしか、大雨があがった夜ふけの事だった。大入道の行列だというが、あれは琵琶湖の底にある竜宮城へまねかれていた伊吹山の明神(みきょうじん)さまが、山へ帰るときの行列じゃよ」
と、言ったという事です。
おしまい
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