きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

7月25日の日本民話 産女のゆうれい

2008-07-25 05:57:53 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 7月の日本民話


7月25日の日本民話


産女のゆうれい



産女のゆうれい
長崎県の民話長崎県情報


 そのむかしむかし、麹屋町(こうじやまち)という所に、一軒のアメ屋がありました。
 ある夏の夜の事、戸をトントンたたく者があるので、アメ屋の主人が戸をあけると、青白い顔をした姿の若い女が力のない声で、
「夜ぶん、まことにすみません。アメをわけてください」
と、一文(いちもん→30円ほど)をさし出したのです。
 アメ屋の主人がアメを手わたすと、女は無言で立ちさって行きました。
 この不思議な女は、次の日もその次の日も、きまって夜おそくやってきました。
 さて、ある晩、アメ屋の主人は、このあやしげな女の後をつけて行くことにしました。
 麹屋町をぬけて、光源寺(こうげんじ)の門の前までくると、女の姿が門の中へ消えてしまいました。
 あたりはぶきみに静まりかえっています。
(おっかねえな。帰ろうかな)
と、アメ屋が思っていると、突然に暗やみから、
「オギャー、オギャー」
と、赤ん坊の泣き声がひびいてきました。
「ヒェーー! た、たすけてくれー!」
 アメ屋の主人は寺の本堂にかけこみ、和尚(おしょう)さんを起こしました。
 さっそく和尚さんは、声のする墓(はか)を掘りおこすと、先日うめたばかりの女の死体から、赤ん坊が生まれていたのです。
 赤ん坊を抱きあげてみると、アメ屋の主人が女に売ったアメをしゃぶっているではありませんか。
 あの女は、この子の母親の幽霊(ゆうれい)だったのです。
 赤ん坊は和尚さんに引きとられ、母親の供養(くよう)もすませたある晩のこと、
「ありがとうございました。子どもを助けていただいたお礼に、あなたさまの願いをなんでもかなえてあげましょう」
と、アメ屋の主人のまくらもとに、女の幽霊が現れたのです。
 麹屋町では水不足でこまっていましたので、アメ屋の主人は、
「水がほしい」
と、たのみました。
 女の幽霊は静かにうなずいて、
「女物のクシが落ちているところを、ほってください」
と、言って、消えてしまいました。
 それからしばらくたったある日、アメ屋の主人が麹屋町で、一本の赤いクシをひろいました。
 そこをほりはじめると、にわかに水がわき出したのです。
 そのわき水はつきることなく、町の人はとても喜んだという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → かき氷の日
きょうの誕生花 → かき氷の日
きょうの誕生日 → 1964年 高島礼子(俳優)


きょうの新作昔話 → 幽霊にたのまれた治療(夏の怖い話し特集)
きょうの日本昔話 → 山の中のネコの家
きょうの世界昔話 → 山の中のネコの家
きょうの日本民話 → 産女のゆうれい
きょうのイソップ童話 → 産女のゆうれい
きょうの江戸小話 → 産女のゆうれい


hukumusume.com サイト一覧