ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ

2009-01-23 | 本 海外作家


  わたしを離さないで

  カズオ・イシグロ 著     早川書房 / 2008.8



  優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。
  生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。
  キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。
  図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。
  彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。




あの~、ミステリーってほどでもないのですが、キャシーが語るヘールシャムでの回想等が緻密で、そこに引き込まれるものがあったように思います。

回想もそうなのですが、キャシーとルース、トミーとのやり取りもとても緻密なものでした。
例えば、ケンカになりそうな時の自分(キャシー)の気持ちはもちろん、相手のルースやトミーの気持ち、その間にある空気感など、お話から一歩外に出て、著者であるイシグロさんに感心してしまうほどでした(笑)。

そして、徐々に徐々に明かされるキャシーたちヘールシャム出身者の行く末に、ミステリーという感覚を失いただ気落ちしてしまいました。
じわりじわりと彼女たちの闇を、しかもキャシーの口から淡々と語られる様子に、私は彼女たちの表情を想像することができませんでした。




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