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令和2年6月8日(月) 毎日新聞朝刊
幻の石橋 地図に掲載 一人きりの部活 ゼンリンを動かす
県立朝倉高校の史学部が研究テーマにしている嘉麻市の「幻の石橋」がゼンリン住宅地図に記載された。部の働き掛けにゼンリンが応えた。たった一人の部員、2年の中原透也さんは「部活動の成果が表れた」と喜んでいる。
中原さんは昨夏から嘉麻市桑野掛橋の遠賀川に架かる、使われていない石橋を調査。昨年12月、石橋が石材を縦方向に組む全国でも数少ないリブアーチ型であることなどを研究発表会で報告し動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介した。石橋は嘉麻市議会の一般質問で取り上げられるなど話題になった。
現地調査をする際の必需品のゼンリン住宅地図に、この石橋は記されていなかった。中原さんは貴重な土木遺産である石橋の存在を広く知ってほしいと考え、顧問の泉信至教諭と共にメールや電話で住宅地図への記載をゼンリンに掛け合った。
ゼンリン北九州営業所の大谷和弘さんは、石橋が必ずしも住宅地図に必要な情報とはいえず、国土地理院の基盤地図情報にもないことから、初めは戸惑ったという。しかし、何度かのやり取りで「熱意がひしひしと伝わってきた」ため、スタッフが現地で石橋を確認し、住宅地図「嘉麻市2020年4月版」に記載した。名称は確証が得られず、書き込んでいない。
要望が実現したことに中原さんは「大企業のゼンリンに対応してもらい『すごい』と驚きと感動だった」と話す。大谷さんは「たった2本の線を地図に描いただけともいえるが、先生や部員の石橋への思いや努力が報われる結果につながればと微力ながら協力した」と振り返る。
泉教諭は「生徒の自信になり、石橋の文化財指定を目指す部の活動にもプラスになる」と話している。
中原さんは「部員の勧誘もしながら調査を再開し、新たな研究成果を発表したい」と張り切る。史学部は今回の経過をまとめた動画をユーチューブにアップし、8月に審査がある全国高校郷土研究発表大会に石橋の研究論文を提出する予定。
これからの活動がますます楽しみです!