おもしろ医療解説

最新医療情報、使える知識、あまり知られていないようなお話まで、子供でもわかる優しい医療解説ブログです。

床ずれ

2012-05-26 09:43:39 | 病気の仕組み
床ずれはなぜできるのか…

その前に、人はなぜ寝返りをうつのかを考えてみましょう(^^)

寝ている時でも、実は筋肉は少し緊張しています。

そして、脳は完全に動きが止まっているわけではなく、少しは働いています。

例えば仰向けで寝ると、お尻や背中が体重で圧迫されます。

そうなると、十分な栄養や酸素がもらえないため細胞だって苦しいのです。

お尻や背中の細胞が限界を感じた時、その情報は脳へ送られ、無意識のうちに体の向きをカエルのです。

こうして、寝ている間みんなで交代しながら体を支えています。

ところが病気や怪我で体が動かせなくなると、この寝返り動作が難しくなります。すると細胞が圧迫されても体が動かないため、その部分の細胞は壊れてしまいます。

床ずれの正体はこれだったのです。

壊れた皮膚の細胞は赤くなり、やがてお粥のようにグジュグジュになります。場合によっては穴があいたりして、そこからバイキンが入ってしまい、感染症を起こして命を落とす危険もあります。

なので、床ずれの予防は非常に大事です。

予防法としては、2~3時間起きくらいに、体の向きを変えてあげ、皮膚を清潔に保つことです。

うつ病の人は…

2012-05-25 09:42:51 | 病気の仕組み
実はクソ真面目な人が多いのです。

うつ病はよく、精神的に未熟で弱い人とされがちですが実は違います。

うつ病の人は生真面目な人が多いのです。

でも実際、生真面目なだけでは生きていけません。

多少のずる賢さや要領の良さも必要ですし、社会の変化に常に対応できなければなりません。うつ病の人はそうした変化や考え方に対応できずに行き詰まってしまう人が多いのです。

前に紹介したうつ病の親子もそうでした。

刻一刻と変わりゆく社会に対応できず、

自分は他人に迷惑をかけているんじゃないか?

自分なんかいないほうがいいんじゃないか?

と、どんどんドツボにはまってしまい、うつ病となりました。

仕事にいかなければならない…

でも行けない。もうこれ以上頑張れない…

というのがうつ病患者の気持ちです。

しかし社会はそういつまでも待ってはくれません。

ウジウジ悩んでいる間にも、刻々と情勢は変わっていきます。

そして気がついた時にはもう遅く、辞めなきゃいけなくなっているのが実状です。

するとまた自分を責めて、自殺にまで追い込まれる人もいます。

だからうつ病人を「頑張れ」と励ましても逆効果です。

quality of life

2012-05-24 09:40:30 | 医療と社会
quality of life

通称 QOL

日本語にすると、「人生の質」となります。

現代の医療は、様々な治療法があります。どの治療法にも良いところと悪いところがあり、時には患者の体への浸襲が大きく、その後の人生に大きな影響を与えるものもあります。

そんな時、このQOLが治療法を決める一つの根拠ともなります。

医療は病気を治すだけでなく、患者の人生の質を落とさないことにも、大きな役割を果たしているのです。

例えばヘルニアの場合、薬剤や神経ブロック、マッサージ、鍼治療を行っても治らない場合、手術という選択肢があります。しかしこの手術は術後直後は良いのですが、数年たつと、手術しなかった人と比較しても予後はそんなに変わりません。

手術をすれば金はかかるし、痛いし、体への影響も多いのです。今が苦しくて、どうしても我慢できないということでなければ、しなくても良かったりします。

このように、その人のQOLを考えると、同じ病気でも治療法は大きく変わってきます。

インフォームドコンセント

2012-05-23 10:39:35 | 医療と社会
インフォームドコンセント

日本語にすると、「説明と同意」になります。

多くの医療現場で医師や看護士などの医療職員が、これから行う治療を患者に十分説明することです。

かつての医師たちは、自分たちの社会的ステータスが高いのを理由に、患者や家族を軽んじて見ていました。

俺の言うとおりにすれば治る……

とにかく黙って従えばいいんだ…

こんな具合ですから、患者は何も知らされることなく治療され、失敗されても適当に誤魔化されて終わっていました。

また、手術中なども予定になかったことをされて、事後報告ということもよくあったのです。

しかし、それでは患者の人権を侵害しかねません。

そこで、最近の医療従事者には、患者が納得するまで説明し、どの治療を行いたいかは、患者自身に決めてもらい、治療に同意してもらうという義務と責任を作りました。

捻挫と脱臼

2012-05-22 07:38:31 | 病気の仕組み
似ているようで、実はちょっと違います。

前にお話しましたが、それぞれの関節は動く範囲(可動域)が決まっています。

その範囲を逸脱して、本来の可動域を超えて動いてしまうのが脱臼です。

関節の動きは靱帯によって、ある程度制限されています。もし靱帯による制限がなかったら、骨がぶつかるまでいくらでも動いてしまいます。しかしそれでは安定感に欠け、股関節や膝関節のような体重を支える関節の場合、色々な弊害がでてきます。

そんな関節を取り巻く靱帯が引き伸ばされたり、ちぎれたりするのが捻挫です。

脱臼も捻挫も、関節が可動域を超えて動きますが、関節を作る骨同士が離れてしまったものが脱臼、骨は離れていなくて周りの組織が損傷するのが捻挫です。

脱臼は肩関節の脱臼が有名です。肩関節は肩甲骨のくぼみに上腕骨がはまっていますが、このくぼみが浅く平皿のような形なので、簡単に脱臼しやすいのです。

捻挫は足関節で起こりやすいです。足関節はいわゆる足首のことですが、この足首は体重を支え、歩くときによく使います。そんなわけで、バランスを崩し転倒すると、関節が変な方向に曲がった上に体重が乗ってしまうので非常にやっかいです。