先月、松屋銀座で開かれていた「川喜田半泥子のすべて」展(12/30~1/18)に行ってきました。
図録や映像で見たり、企画展があっても数点しか見られなかったりという状況だったので、
こんなにどーんと一気に半泥子さんの作品を直接見たのは初めてです。
半泥子さんは、裕福な家に生まれ、実業家であり政治家。
陶芸だけでなく禅や書など芸術や文学といった文化に幅広く精通されていて、
近代の陶芸界に新風を吹き込み、
「昭和の光悦」とも呼ばれていたそうです。
正直、私は「金持ちの道楽でしょー」と思っていました。
それまで、断片的に拝見する半泥子さんの作品は、
どれも個性が強くて使いにくそうだったから(図々しくも)。
けれど!けれど!
たくさんの作品を見て、びっくりしました!
半泥子さんに会いたかった!
すごく素敵な人だったんだろうなと思わずにいられません。
どの作品も、
堂々として、のびやかで、おおらかで、自由で、茶目っ気があって、
でもストイックさもあって、人の心を揺さぶる芯の強さがある。
陶芸も書も茶道具も、見ると笑みがこぼれます。
ほっこり温かくなるんですよね。
年齢・キャリア・出自を超えた、半泥子さんのもつ人間味そのものが伝わってくる。
いつまでも作品のそばに居たくなって、作品と会話ができる雰囲気があります。
刷毛目茶碗「一声」
粉挽茶碗「雪の曙」
なんてテキトーな龍虎図・・・なんて思わないでください。
実際に目の前にあるとすごいんですから。すごいです、この勇気。
圧倒されて、3時間は会場にいたかなあ。
ずっと半泥子さんの作品とおしゃべりして、心地よい疲労感さえありました。
美しいだけでない「存在感」を感じることができたことは貴重。
見ごたえのある企画展でした。