建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

建築主とのトラブルと解決シリーズ 第6回

2012年07月29日 | 工事監理

「町つくり」修景工事で工事監理をしている中で建築主とのあいだでトラブルになった問題をシリーズで掲載します。
(工事完了時の報告書の1部を抜粋して掲載しております。)

第6回    店舗内部の柱の耐火被覆のALC版の高さの違いについて

  • 耐火被覆のALC版の高さの違いについて御社に指摘された折、当事務所の見解として、階段の上り口であり1段(約30cm)上がっている為、「荷物の上げ下ろし等で触ってもトムレックス(吹付け耐火被覆)が欠落しないように高くしてあります。」と説明して、監理建築士は切断に対して同意しませんでした。
  • 御社は当事務所の説明を聞き入れず、請負会社の専務に直接指示を行ってALC版の切断を行わせ、吹き付け耐火被覆材を脱落せしめた為、急遽ボンドを混入して貼り付けを行いましたが、この部分については欠落する可能性が高く、耐火被覆の機能を損なうことになってしまいました。
  • 切断当日監理建築士が現場に到着する前に処理が終わってしまっていたので、対策の方法がなくなってしまいましたが、設計事務所としては低いほうの柱のALC版を高くすれば問題が解決できると思い対処するつもりでおりましたが、素人の指示によって欠陥が生じてしまいました。
  • 先日、監理建築士が御社に呼び止められて叱責を頂いたときに、ALC版の切断は当事務所の監理建築士の指示で当事務所が勝手に行ったとのご指摘がありましたが、請負会社の専務さんや現場担当者に伺ったところ、御社の指示によって切断したとの証言を頂いております。

鉄骨造の耐火被覆は建物の耐久性や防災上大変重要な要素です。建築主の勝手な思い込みで処理を直接指示してしまったことで、建物の防災上の欠陥を作ってしまったことは誠に残念なことです。目に見えている範囲についてその建築部材の役割を理解していない方は見た目だけで安易に作業を実行してしまうところに問題が有り、設計事務所が関わっている事を理解して、十分にコミュニケーションを取る必要があります。追加工事金が出せない状況の中では問題の起きた部分の耐火被覆の剥がれを補修することしかできない状況でした。


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