建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

シリーズ共同住宅をつくる 第14回 「住まい」としてのマンションの平面計画(11)

2012年12月22日 | 共同住宅をつくる

コーポラティブ方式で事業主責任をできるだけ少なくする建設する方法についての提案です。

分譲マンションはデベロッパーが建物を建設後、各戸別に分譲することで、建設時の事業主責任を負っておりますし、分譲後も一定期間瑕疵担保責任を負うことが法律で規定されているため、区分所有者が建設時の事業主責任を負う必要はありません。
しかし、コーディネーターが建設希望者を募集して組合を作って事業を行う場合、コーディネーターは事業者とならないため、事業責任について組合が責任を負うことになることを承知していることが必要です。
不動産業者は宅地建物取引業法によって規制されていますが、コーディネーターを規制する法律はありませんので、事業の経過によっては事業主責任を追及された場合、組合が責任を取らざるを得なくなります。

このようなリスクを回避する方法として、スケルトンインフィルのスケルトン部分をコーディネーター会社が建設することで建物の初期段階での近隣に対する事業責任や開発行為・建築確認等の建物建設のための必様な事業責任がコーディネーター企業が受け持つことになり、スケルトン部分が出来上がったところで、組合に引き渡すことで、事業責任のリスクが大幅に軽減されることになり、基本的な事業責任をコーディネーター会社が負うことになる。

責任を負うことで、コーディネーター手数料が通常のコーポラティブ方式より高くなるが、責任のリスクを回避できることができる状況であれば、インフィル部分が自由設計ができることで、分譲マンションとは比較できない省力化が実現できる事となり、コーポラティブ方式を1歩すすめる方法として実現が可能となります。

コーポラティブ方式でスケルトンインフィル方式を活用することで組合参加者がリスクを最小限にして自由設計のマンションを手に入れるための方法として大変有効となります。


シリーズ共同住宅をつくる 第13回 「住まい」としてのマンションの平面計画(10)

2012年12月20日 | コンセプト

前回までにコーポラティブ方式の長所と短所について説明しましたが、今回は短所の中でも最も建築主にとって問題となる点を取り上げて解決方法について考えてみます。

コーポラティブ方式は建築主にとって非常に有利な建設方式ですが、建築主の集まりが組織的な組合を作って運営していくとき、中心となる人の建築に対する知識の程度によって、時間がかかったり、業者管理ができなかったり、完成後の責任の執らせ方が分からずにメンテナンスができず、工事の瑕疵を修正することもできずに泣き寝入りをしてしまうか、裁判を起こすほかないような無残な状態になっているコーポラティブ方式のマンションが都市近郊にはあるとのことです。

コーポラティブ方式ではコーディネーターが中心となって事業の企画、土地探し、開発行為、業者発注、建物引渡し等にわたって事業主である組合の代理となって交渉や管理を行いますが、代理者のため、法的責任については全て事業主である建設組合が負わなければなりません。

例えば交渉事が始まって近隣説明会を行なった時点で、近隣から「階数を減らすか、迷惑料を支払え」等の苦情があれば、コーディネーターはそのことを組合に報告するだけで、その対応は組合で考えて対応しなければならず、対応を間違えれば莫大な迷惑料を支払うような結果になるか、夢に見ていた「住まい」を建設できないような状況になってしまいます。

このことはコーポラティブ方式の隠れたリスクであり、本来コーデネーターが対応について組合と協議して組合に有利な方法で解決していくことではありますが、コーディネーターがコーポラティブ方式を悪用して分譲マンションの「青田売」を仕掛けているような人であれば、組合が土地を買った状態で問題を察知して体良く理由を付けて逃げ出してしまい、土地を買った組合にすべての責任を押し付けて、責任逃れをしてしまいます。
現在日本の法律ではコーディネーターの業務を規制する法律がないため、コーディネーターが行う法律行為は全て組合が負うことで成立しており、コーポラティブ方式の難しい点でもあります。

では、この責任をできるだけ負わずに自由設計のできる集合住宅を建設する方法はないのでしょうか?
その方法については次回で説明します。


シリーズ共同住宅をつくる 第12回 「住まい」としてのマンションの平面計画(9)

2012年12月19日 | 共同住宅をつくる

コーポラティブ方式の欠点

1.納期に時間が掛かります。
組合への参加を決定してから、組織を運営していく際に、外観・共用部の意見やルール作り等の意見を全員での協議を重ねて集約しながら工程を進捗させていくため、竣工・引渡しまでの期間を要します。

2.事業者となるため、手間が掛かります。
分譲マンションや建売住宅といった既製品を購入するのに比べると、事業運営において組合の会合に参加し、専有部分の内装設計の打ち合わせを重ねるといった手間隙が掛かります。

3.事業者責任が生ずることがあります。
建設組合が事業主体となるため、建設に際して近隣問題や地中障害物等が発生した場合、事業者責任が発生し金銭的負担を強いられる場合があります。

4.個性的物件の転売の不利。
物件を転売する際に、仲介業者によっては個性的な内装で買い手がないとして、割安の査定価格がつけられることがある。

5.コーディネーターの法律規制がありません。
共用部で工事瑕疵が発見されてもコーディネーターの法的立場が確立していないため、責任追及ができない
特に建設会社とコーディネーターとの関係が系列関係にあるときは瑕疵担保以外の生活上の瑕疵責任の問題は
追求が難しい。

上記欠点を解決することでコーポラティ部方式で共同住宅の自由空間化がより活用しやすくなる方法について次回から説明します。


シリーズ共同住宅をつくる 第11回 「住まい」としてのマンションの平面計画(8)

2012年12月18日 | 共同住宅をつくる

コーポラティブ方式の利点

1.自由設計・自由仕様で、ライフスタイルを反映した住宅が実現します。

組合が直接に設計者を選んで依頼できるため、先々を見通して構造躯体や設備配管も設計され、ライフステージやライフスタイルが代わっても暮らしを支えられるような質の高い空間を生むことができます。
通常の分譲マンションは、デベロッパーが決めた間取りや仕様を選んで買うだけですが、コーポラティブハウスは、戸建ての注文住宅のように、ライフスタイルにあった理想の家を設計者とともに創り上げていきます。共同住宅でありながら、生活空間(間取り、設備、仕上げなど)を、自分の趣味嗜好を反映させながらご家族が快適に生活するための空間を作り上げることが出来ます。これが分譲マンションでは実現できないコーポラティブハウスならではの利点といえます。

2.コストの中身がすべてオープンで、合理的な納得のいく価格です。

土地費、建築費、設計・監理料、コーディネート料、調査・予備費などの予算額がすべてオープンにされますので、事業費の透明性が保たれ、より納得価格で取得が可能です。

3.程良いコミュニティが形成されます

  土地取得から設計、施工と組合事業を進める過程で、居住者相互の理解とコミュニケーションが促され、入居後のほどよい近隣関係が築かれやすい。分譲マンションと違って数戸から数十戸の規模なので管理組合でも合意形成がしやすいため、将来の大規模修繕等にも対応しやすい。お互いが顔見知りという関係は、下見に来た泥棒を注視・注意できるため、防犯上でも最も有効とされる。
建物完成前からの組合総会を通じて、居住者同士の自然な交流を生み、程良いコミュニティが形成されていきます。建物が完成して入居する時には、お互いの顔がわかっている状態で新生活がスタートしますので、隣人の顔さえ知らないほど人間関係が希薄になりがちな現代の都市生活でも、適度な距離を保ちながら安心で安全なコミュニティが保てます。

4.情報開示と安心感と、分譲にはない愛着感が得られますコーディネーターが関与することで、進捗状況定期的な工事報告が届くことで、工事の進行状態が確認できるとともに、現場見学会を通じて工事の過程をしっかり把握でき、図面との付き合せもできて、建物の安心安全な施工状況を把握でき、又、組合メンバーには事業推進上必要な情報(会計・経過・スケジュール等)が適時開示されます。完成したライフスペースには、設計に参加したことでそれぞれの家族の思いが形になっている為、建売や分譲の住宅とは違った愛着感を得ることができます。
 

 


シリーズ共同住宅をつくる 第10回 「住まい」としてのマンションの平面計画(7)

2012年12月16日 | コンセプト

コーポラティブ方式の考え方

マンションの住戸を個人のライフスタイルに合わせて創るためのコーポラティブ方式について説明します。

住宅需要者が集まって組合を結成して、その組合が事業主となって、土地取得から設計者や建設業者を決めて、建物の建設を行う集合住宅建設方式です。一般的には、コーディネーターや設計者が企画して住宅需要者を募集し、建設組合を結成して共同で土地を購入(あらかじめ決まっていることも多い)を行い、設計事務所等に依頼して各組合員の希望を取り入れながらプランを練り、建築会社に発注して、建設を行い、完成後も共同で管理するという仕組みです。事業主が個人の集団ということで事業の進捗が難しい為、コーディネーターがサポートしますが、完成までに時間が掛ることが普通です。

コーポラティブハウスは、デベロッパーが分譲する一般的な“レディメイド”のマンションの対極にあるもので、設計の自由度という点では戸建ての注文住宅に近く、居住者の趣味趣向を反映させられる“オーダーメイド”の集合住宅といえます。建設スタートの時点でほとんどの入居者が決まっているわけですから、通常マンションの販売価格に含まれているモデルルームの運営費用や過度の広告宣伝費用も省け、その費用分を住戸設計の質的なグレードアップに充てることもできます。

● 愛犬と一緒に暮らしたいならペットにも居心地の良い空間を・・・
● 心置きなく趣味に没頭できる空間が必要なら趣味の趣向に合わせた空間を・・・
● お年寄りやお体の不自由な方が同居されるのなら完全バリアフリーの空間を・・・
● アレルギー体質のお子様がいらっしゃるのなら新建材を使用しない天然素材の快適空間を・・・
● 書院作りや数寄屋作りの和風が好きな人には本格的な和風空間を・・・

といった具合に、“ご家族のライフスタイルを反映させ、なおかつ納得できる価格で手に入れたい”という
「合理的なわがまま」を実現させてくれるのが、「コーポラティブハウス」ならではの魅力だと思います

 


シリーズ共同住宅をつくる 第9回 「住まい」としてのマンションの平面計画(6)

2012年12月14日 | 共同住宅をつくる

自由設計をできないもう1つの理由

既存のマンションはマンション販売会社が建築基準法に沿って、自社の都合で、いかにも購入者が生活しやすいかのような平面計画を作って、宣伝広告をする為、購入者は選択の余地がない分譲建物を多少のオプションと称するクロスの変更等をする事で満足して購入していますが、実際には区分所有の登記が出来たところで、その住戸の価値は支払った金額の1/5程度となり、大きな住宅ローンが残るだけとなってしまい、中古マンションとしてはほとんど転売できない状況になってしまうことなります。

既存マンションの実例平面計画

平面計画が自由に変えることができないもう1つの理由が無関係な第3者と法律規制によって選択の余地のない形になってしまっていることが、大きな障害となっており、この仕組みを変えることで自由設計の平面計画が可能になります。

以上の問題を解決するもう1つの方法がコーポラティブ方式です。
通常の分譲マンションでは建築主(デベロッパー)が不動産販売業者となって宅地建物取引業法に従って販売する必要がありますが、コーポラティブ方式は建築主個人が集まって組合を作り、組合が土地購入から建物建設まで行なうことで組合が事業主になって行うため、宅地建物取引業法の規制を受けず、組合員の意見で建物が建設できる方式です。

マンションの自由設計をするための基本要件は
 1.スケルトンインフィル方式
 2.水回りの配置が区画内であれば位置を選ばない
 3.区画の外気接触面積が多きい
 4.コーポラティブ方式
以上4つの項目が整えば区画内でいつでも自由に平面計画をしてリフォームができますので、資産価値も維持できる状況になると考えています。

コーポラティブ方式の長所と短所について、次回から具体的に説明をします。


シリーズ共同住宅をつくる 第8回 「住まい」としてのマンションの平面計画(5)

2012年12月13日 | 共同住宅をつくる

水回りの配置による制限の問題

既存マンションの水周り設備室は1度建設されてしまうと、リフォーム時に移動できなくなってしまうことはシリーズ第3回の「既存マンションの平面計画の水周り」で説明していますが、水回り室の変更ができなければ、住まいとしての機能が時間経過によって対応ができなくなり、新しい設備機器に入れ替えて場所も移動することが簡単にできず、大変無駄な事態になってしまいます。

             

  

 

上側の2種類の計画のパイプシャフトの位置は赤丸の位置に有り、トイレ・浴室・キッチンの位置に関係なく。このPS内には排水縦管が収容されており排水管の位置が平面計画の変更に影響はありませんし、管が老朽化して交換しなくてはならなくなった時も住まい内部で直接配管交換することはありません。

それに引き換え下側の従来のマンションでは部屋の中央部に排水管PSが有り、上下の階ともつながっており、このPSが邪魔をして平面計画の変更は全くできない状況です。

マンション内の「住戸」を「住まい」として愛着を持つ意味でも空間の自由な使い勝手を確保するために、余裕を持った建物構成にする必要性を欠くことはできません。            

 


シリーズ共同住宅をつくる 第7回 「住まい」としてのマンションの平面計画(4)

2012年12月11日 | 共同住宅をつくる

今回計画している実験住宅の建設場所は長野県松本市の中心市街地からちょっと外れた場所ですが、
松本駅からは徒歩で6分、長野道松本インターから車で6分、松本空港迄は車で20分のところです。
この場所は西側に北アルプスの雄大な眺めを一望できるところですが、西側にあるために西側に大きな窓を設置
するような平面計画はあまり芳しくない状況です。又、松本の冬の寒さを少しでも和らげる意味では午後の西日は
誠にありがたい暖かさです。

又、各部屋の採光や換気状況を考慮した場合、外気に接する面を大きくすることで、価格は多少上がりますが、「すまい」としての機能が確保されて明るく健康的な形となりますので、第6回の平面計画を参考例として提示しております。

単純な南向きの配置であれば北アルプスの眺望は見えなくなってしまい、単に南向きの風通し良い、外気接触面の多い住宅となってしまいますが
西に約45度降ることによって北アルプスの眺望も望みつつ、冬場の暖かな午後の光に燦々と照らされて、暖かな住宅としてエコ化できます。夏場の西日についてご心配の向きはあろうかと思いますが、太陽高度が高くなるため、バルコニーが庇空間を作り出すことと隣接住戸が迫り出しますので、西日が気になる状況ではありません。

因みに私の居住している住まいもこの様に作っており、地域によって気候風土に合わせることは大事なことで、今回の実験住宅では松本地方の住宅の作り方の1つとして考えて頂ければ思っています。

 

 


シリーズ共同住宅をつくる 第6回 「住まい」としてのマンションの平面計画(3)

2012年12月08日 | 共同住宅をつくる

スケルトンインフィルについて概要を説明します。詳しくはこちらへ

鉄筋コンクリート造の建物の柱・梁・壁・床版等の躯体部分の耐用年数は内装材、造り付け家具、キッチン、水周り等の内装と比較して著しく長いのですが、実際には内装材の耐用年数によってその建物の寿命が決まってしまい、大きな無駄が発生してしまっています。

 欧米では数百年の耐用年数を誇る資産価値の高い石積みや煉瓦積みの強固な外郭に、時代に即応した内装をして、古い街並みを残したまま、ライフスタイルに合ったあった内装を施した住まいを造って、建物の文化価値と進歩した生活文化を共有できる建物を残しています。この考え方を基本に考え出された建設方式がスケルトン・インフィル方式(以後 SI方式という)です。

SI方式の基本概念は、躯体はそのままで外装内装を何度でも入れ替えられる建造物という点にあります。

時代が変わり成熟期に入った日本では今までのような「直すより立て替えた方が良い」という考え方より、「あるものを有効に利用して無駄な浪費はしない。」という方向に考え方が変わってきていますし、政府の住宅政策も200年住宅を目指す方向に変わってきています。

鉄筋コンクリートの共同住宅において建物の使い勝手が時代に合わなくなって、内装を変更したくても水周りが動かせず、   限定的な改修しかできない状況では売却しようとしても固定化された部屋構成の区画では予定した価格で売却することもできず、資産価値も下がってしまい、時間が経につれてスラム化してしまう状況が目に見えています。

このことは消費者保護を目指した宅地建物取引業法と建築基準法、不動産登記法等の法律に縛られた結果としてあらわれたもので、最近になってSI方式の良さを国も認めることになって、建築基準法の改正や登記手続きの弾力的運用によって200年住宅の建設に向けて住宅政策を変換しており、建設もし易くなってきています。

スケルトンインフィル方式の平面計画の遷移 詳しくはこちら

実際にスケルトンインフィルの作り方のポイントは3つあります。
 1.水回りの配置を自由に配置できること
 2.躯体部分と内装を分離し、躯体に影響なく内装ができること
 3.設備のパイプシャフトが区画内に存在せず、躯体に配管配線を埋め込まないこと。


シリーズ共同住宅をつくる 第5回 「住まい」としてのマンションの平面計画(2)

2012年12月07日 | 共同住宅をつくる

前回、ヨーロッパの町並み保存について見ていただきましたが、そこに住む人々の生活は現代の生活をしているはずなのに何故古い町並みの中で生活ができるのか不思議に思い内容について考えてみました。

人々の生活は周囲の環境と時代の遷移や文化に影響されて個人のライフスタイルが出来上がってきていると思います。

例えば
家電製品の高度な改良によって、以前はできなかった家事がスイッチ1つで簡単にできてしまう。
女性も結婚して子供が出来ても子育ては保育園や幼稚園に出すことで働くことが可能となっている。
夫婦と子供・高齢夫婦の核家族化が進み、それぞれの核家族の年齢差や考え方によって生活スタイルが違うことで一緒に生活しなくなっている。
個人の好みや趣味・仕事の内容によって生活スタイルが個性化している。
等の諸々の環境変化によって、住まいの作り方も変わってきており、日本では建物(住宅・共同住宅)の作り方も生活スタイルに合わせてまだ使えそうな建物でも解体して新築しているため、綺麗な田園風景の中に突然ハウスメーカーのプレファブ住宅ができて、田園風景も壊れてしまい、ちぐはぐな街並みになって景観も維持できません。

 景観を壊す住宅建設

町並み保存には強い意志を持った実行力を伴って行政と一体となって働かなくてはできないのが、実情です。

しかし、実際に古い建物をリフォームして作るためには建物の基本的な作り方から考えていかなければ本来の姿は取り戻せないことも間違いありません。

建物(住宅・共同住宅)の寿命はそこで生活している人のライフスタイルや個人の生活履歴の変遷によってある時期に使い勝手が悪くなり、経済環境が悪くなくてもリフォームや増改築ができなければその住宅を手放して、自分のライフスタイルに合った住宅を購入するという状況です。経済的に余裕がなく移転できない人は、使い勝手の悪い家に我慢して住み続けなければなりません。
日本では建築基準法上、一定規模以上の建物は防災上から耐火建築物としなければならず、狭い国土を有効に利用するためには高層または3階以上の中高層の建物にせざるを得ず、鉄骨造・鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の耐火建築物とする必要が有り、費用が掛かる割には内部の内装の寿命や、使い勝手によって充分使える建物でも解体して作り直さなければならなくなってしまっています。

ヨーロッパでもそんなライフスタイルの変化があるはずにもかかわらず、古い町並みが確保できていることは建物の構造にも起因していますが、その建設方式が内装及び内装に関わる設備が建物本体と分離されていることが大きな要因です。この方式はスケルトンインフィルと言って100年以上前からヨーロッパでは実行されており、その結果古い町並みを維持しつつ現代生活に対応できる住まいを作ることができる方式が採用されていること理解できる。

これから建設する建物は「スケルトンインフィル」方式を駆使して作っていくことで、大きなムダを省き、長く使える愛着の出る「すまい」を作っていかなければならない。

次回からは「スケルトンインフィル方式」の具体的作り方について説明します。