建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

マンション購入のチェック項目シリーズ 第9回 購入時の建物チェックのまとめ

2013年03月07日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ9回はすでにお伝えしたことを踏まえて、総合的にまとめて考えてみます。

建物の建設は自動車や家電製品のように工場で作った完成品を選んで買えるわけではなく、要望をもとにして作成した図面をもとで物理的な実態のないものを
契約という法律行為で分譲業者や建設業者との約束の下に建設していくことが前提となっています。

ところが、一般的な分譲マンションでは設計や建設に当たっては建築主は分譲業者であって、設計者や建設業者は分譲業者の意見や要望だけで設計や建設をしてしまい
購入者はモデルハウスをみて実際に建てる建物とは違う内装を見せられて、同じように完成するものと思い込んで契約してしまいます。
しかし、設計条件は分譲業者の考え方で購入者の意見が取り入れられない状況で法律に違反していなければ問題ないという形で設計図が出来上がってしまい、購入者が要望をすれば一方的な追加予算を要求されてあまり変更ができない状況がほとんどです。

分譲業者も分譲価格を先に決めて売り出しを行うために、十分な利益を売るために土地価格や、建設価格を相場以下の安値で価格を決めており、建設工事は原価割れで契約せざるを得ず、その設計図によって見積した建設業者は分譲業者の予算に合わせて、仕事を獲得するために大きくダンピングをするため、利益を確保のための方策として素人が目で見て見えないようなところで、勝手な仕様変更をしてコストを抑えて建設する状況になってしまいます。

今まで8回にわたってお伝えしてきた内覧会でのチェック項目は見えないところで仕様変更をした結果が建物に現れてくるような箇所で、後で修復がほとんどできないか、多額の費用がかかってしまうような問題です。

建設工事は大変複雑で難しい要素がたくさん含まれており、形のないものに対してお金を払うと約束して、作り上げていくものですから、設計者や建設会社と直に打ち合わせができて、自身の目で見て確認できるような建設方式をお勧めします。

この建設方式はコーポラティブ方式で、実際に購入者が建築主として設計から建設までかかわって実行する建設方式なので、1戸建ての住宅を作る方式と同じように建築主の意思が十分に反映されます。

下記に参考書等も購入できるようにしてありますので、コーポラティブについて研究してみてください。

自分たちでマンションを建ててみた。―下北沢コーポラティブハウス物語
大平 一枝
河出書房新社
コーポラティブハウスのつくり方―知りたい・住みたい・つくりたい
クリエーター情報なし
清文社
コーポラティブハウス―21世紀型の住まいづくり
高田 昇

学芸出版社


マンション購入のチェック項目シリーズ 第8回 仕上げの状況について

2013年03月05日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ8回は仕上げの状況について考えてみます。

住宅の内装仕上げについて考えてみます。
内覧会でもっとも目につくものが内装仕上げの状況です。
仕上げ材の良否から損傷やはがれ、隙間等の問題点が目で見てわかりますので、慎重に目で見てチェックしてください。

特に棚の下とか陰に隠れて一見して見えにくいところを重点的にチェックすることで、大きな欠陥を見つけることができます。
また、仕上げ材を購入者自身で選択していない場合はその仕上げ材の性能や機能についても確認しておく必要があります。

例えば床暖房設備を設備してある部屋の床材にヒノキ無垢材のフローリングで仕上げてあるような床の時に、そのフローリングが床暖房仕様になっていなければ、
自然の木材は床暖房の熱によって収縮や膨張をして隙間があいたり、盛り上がったりしてしまいます。
また、水回りの壁に使うクロスなども「防カビ対策」がされているものを使っていないとカビが発生してしまうことがあります。

傷や隙間についてはその場で簡単に修繕できますが、機能や性能の違う建材が使われていた場合は入居後に大きな問題が発生してしまい、そっくり張りかえなければならないようなことにも成りかねません。入居後に取り換えが起きないように内覧会で確認する内装状況については建材の機能や性能について確認してください。

建設時に仕上げ材が選択できるシステムになっている分譲マンションが多くなっていますので、選択できる場合は業者のコーディネーターの意見をよく聞いて自身でメーカーのカタログ等で確認したうえで、慎重に選択することが必要です。

次回は内覧会でのチェック項目についてのまとめをお伝えします。

 

コーポラティブハウス―21世紀型の住まいづくり
高田 昇
学芸出版社
コーポラティブハウスのつくり方―知りたい・住みたい・つくりたい
クリエーター情報なし
清文社
自分たちでマンションを建ててみた。―下北沢コーポラティブハウス物語
大平 一枝
河出書房新社

マンション購入のチェック項目シリーズ 第7回 機器の機能不全について

2013年03月02日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ7回は機器の機能不全にについて考えてみます。

住宅に設置される機器の主なものは冷暖房機・給湯機・換気扇・水洗便器・通信機器・インターネット接続・自動水栓等の生活に直接関係する機器であり、
本来の機能が発揮されなければ生活に支障が出てしまいます。

内覧会ではすべての機器に対して通常の仕様で機能することを実際に稼働させて確認することが必要です。

機器は通常メーカーの1年間の保証が付いており、分譲会社が保管しており、各機器についているシリアル番号の保証書を内覧時に確認しておき、
引き渡し時に鍵と一緒に引き渡しを受けておく必要があります。
管理上、管理会社に預けるといわれることがあると思いますが、管理会社へはコピーを渡して正本を手元に保管しておくことが重要です。

機器が機能不全を起こすと修理までには数日間を要することがあり、大変不便な状況になってしまいますので、
保証所があっても、実際に機能するかどうかの確認は面倒でも確実にしておくことが必要です。

次回は仕上げ状況についてお伝えします。

現役・三井不動産グループ社員が書いた! 「ダメマンション」を買ってはいけない
藤沢 侑

ダイヤモンド社

 

自分たちでマンションを建ててみた。―下北沢コーポラティブハウス物語
大平 一枝
河出書房新社