建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

マンション購入のチェック項目シリーズ 第6回 悪臭について

2013年02月27日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ6回は悪臭について考えてみます。

住宅で起きる悪臭のほとんどのものは下水の臭いが室内に出る場合です。
原因はそれぞれの水を扱う機器にある排水管や臭い止め装置(トラップという)の接続不良や施工不良によっておきます。

新築マンションでは内覧会で室内に入った時に異臭を感じなければ問題はないと思いますが、便器の設置の時にパッキン等が正常に設置されていなくて微小な穴があいている場合には内覧会では気がつかない場合もありますので、1年以内に悪臭がしてきた場合は分譲会社に云って見てもらう必要があります。

流し台・洗面化粧台は器具にs字トラップという匂い止めの器具が設置されていますが、建物との接続部分の施工がきちんとできていないとその接続部分から悪臭が上がってきます。内覧会の時には臭わなくても器具の排水管と建物の排水管との接続部分の状況を確認しておく必要があります。

建材から出る臭いは時間経過とともになくなっていきますが、入居までの間24時間換気装置を機能させておくように分譲会社に要望してください。
建築基準法で24時間換気装置の設置が指定されており、入居後もこの装置は使っていかなくてはいけませんから、十分に機能するかどうかも含めて
稼働させておくことが重要です。

悪臭については誰でも不愉快な思いをする事象ですから、自宅を購入するためのチェック事項としての必須項目です。
分譲会社に任せずに自分で確認することが大事なことです。

次回は機器の機能不全についてお伝えします。

 


マンション購入のチェック項目シリーズ 第5回漏水について

2013年02月23日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ5回は各種の漏水について考えてみます。

漏水が起きた場合、下階の住戸に大きな迷惑を掛け、大きな損害賠償を余儀なくされてしまいます。
不注意で起きてしまった場合は仕方ありませんが、工事のミスによって起きた場合は大不変愉快な思いをしてしまいますので、
引き渡しを受ける前には十分チェックしておく必要があります。

特に給水管からの漏水は少量の漏水が長年かかって床下や壁内で起きて、溜ってきてある日突然表面化します。
表面化は階下の住民から苦情という形でもたらされてきますので、問題が起きた時は直ちに修復する必要が出てしまいます。
このようなことのないように給水管の漏水チェックは必ず行っておく必要があります。

工事中に給水管・給湯管・ガス管等の配管の漏水検査が行われているはずですからその結果報告書を確認する必要があります。
検査は配管に水や窒素ガスを充填して規定の圧力をかけ、24時間放置して、24時間後に圧力が低下していないことで確認します。

特に温水パネルの床暖房を使った場合は、床仕上げの釘によって穴をあけられて漏水するケースが多く見られますから、
検査報告書は床仕上げ施工後のものをチェックする必要があります。
検査がされていない場合は、購入者が立ち会って実施させ、直接確認することが重要です。

排水管は前出の新聞記事にも記載されている満水試験によってチェックする必要がありますが、満水試験報告書を確認しておく必要があります。
検査が実施されていないときには、購入者が立ち会って実施させ、直接確認することが重要です。

次回は悪臭についてお伝えします。


マンション購入のチェック項目シリーズ 第4回結露について

2013年02月20日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ4回目は各種の結露について考えてみます。

結露は内覧会の時期が冬期出なければチェックできませんが、断熱地域区分に合わせた断熱材やサッシュの仕様が合っているかどうかの
確認が必要になります。
特に区域1・2・3地域では住宅性能評価や長期優良住宅・住宅金融支援機構仕様で建設していない建物についてはチェックが必要です。

断熱材はその性能によって厚さが大きく違いますから、仕上げの上から見てもその性能について確認することは不可能です。
事前に施工状況を確認するか、それができない場合は内覧会の時に断熱材の施工写真を見せて頂き、断熱地域区分に合った性能の断熱材が使用されているかどうかチェックしてください。

見えないところの施工については比較的見落としがあって、わずかな断熱材の隙間から結露水が滴り落ちるような現象が起きてトラブルのもととなります。
換気扇の排気管の外壁から1m程度の範囲でも断熱がされていないため入浴中に背中に冷たい水滴が落ちてくるような事例もあります。
また、所定の性能が発揮されていない断熱施工がされていた場合、仕上げの下地の部分で内部結露が生じてカビ発生や建材の老朽化が促進されてしまいます。

サッシュも断熱地域区分に合わせた仕様のものが採用されているか確認してください。
区分1・2地域ではかなり仕様条件が厳しく設定されていますので、設計図の段階で地域仕様に合っているかどうかの確認をする必要があります。
サッシュは工事に掛った直後に建設会社からサッシュ製造業者に発注され仕様が決定してしまう為、変更をすることは難しく、事前に長期優良住宅仕様等の仕様で設計されている建物を選ぶこと、または、その仕様に準じて設計されている建物を選択することが必要です。

結露については建物断熱仕様に大きくかかわってきますので、購入者は居住地の断熱地域区分を調べて断熱材の仕様や施工状態をしっかり確認しなければなりません。施工会社が大手の建設会社であるとか大きな分譲会社であるとかは関係なく自身の目で見て確認してください。

次回は漏水についてお伝えします。

 

 


マンション購入のチェック項目シリーズ 第3回騒音について(2)

2013年02月18日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ2回目は各種の騒音について考えてみます。
マンションの内覧会で購入者が音についてチェックできるようにしている販売業者は少ないと思います。
施工技術が向上して販売業者は音については問題ありませんと説明すると思いますが、通常鉄筋コンクリートの建物で隣家や上下階の家の音は気にならない程度かと思っている方がいらっしゃるかと思いますが、建物の建設方法によっては隣家のしゃべり声やTVの音なども聞こえてくることがおあります。
マンションの騒音の主なものは次のようなものがあります。

上階の足音等の振動音
隣家のTVや話し声等の共鳴音
排水管の排水音
空調機器屋外機の振動音

前回に引き続いて騒音の問題についてお伝えします。

排水管の排水音
マンションでは上階の水回りの排水を流すための排水管が建物の中のパイプシャフト(PS)に設置されています。
PSは建物を縦方向に貫通しているために建築基準法では防火上の防災措置として厳しい規制がありますが、
音については以前よりは環境基準が厳しくなってきて技術上も性能がアップしてきていますので、通常の施工をした場合はあまり問題はありませんが、
内覧会ではチェックしておく必要があります。

上階の排水管が購入した部屋のどの場所にあるかを図面で確認し、実際の部屋内の位置を確認して、
上階の部屋から通常使う範囲の水より多めの水を流して、その部屋内で排水音が聞こえるか確認します。
聞こえた場合は聞こえないように処理をお願いしてください。

排水管の排水音は施工上はほとんど聞こえないようにする施工技術が出来上がっていますから、
普通に施工した場合は問題は起きませんが、念のため確認しておく必要があります。

空調機屋外機の振動音
空調機の屋外機はコンプレッサーのモーターを回すことで、熱の発生等の機能を発揮させています。
このモーターが回転するときに振動が起きて、その振動がコンクリートの壁を伝わって騒音となって響いてきます。
この振動音は最初のうちは分かりにくいのですが、夜寝ているときなど回りが静かな時に聞こえてきて精神的な不安感を与える厄介な音です。

内覧会の時にはこの振動音は確認できないでしょうが、騒音を確認して1年以内であれば瑕疵担保期間で無償修復は可能ですので、
確認できたらできるだけ早く施工者なり分譲業者に連絡することが必要です。

この機械振動音は建物のどこかで機器の防振施工がされていない機器があり振動が発生している場合、建物全体に伝わってしまうので、
戸の振動音が出た場合には管理組合で対処する必要が出てきます。

設備関係の騒音は施工上の問題が大きくかかわっていますので、発見後は速やかに分譲業者や施工者に連絡して対処していただく必要があります。
「我慢できるし、面倒だから放っておく!」ようなことは避けてください。


マンション購入のチェック項目シリーズ 第2回騒音について

2013年02月15日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

シリーズ2回目は各種の騒音について考えてみます。
マンションの内覧会で購入者が音についてチェックできるようにしている販売業者は少ないと思います。
施工技術が向上して販売業者は音については問題ありませんと説明すると思いますが、通常鉄筋コンクリートの建物で隣家や上下階の家の音は気にならない程度かと思っている方がいらっしゃるかと思いますが、建物の建設方法によっては隣家のしゃべり声やTVの音なども聞こえてくることがおあります。
マンションの騒音の主なものは次のようなものがあります。

上階の足音等の振動音
隣家のTVや話し声等の共鳴音
排水管の排水音
空調機器屋外機の振動音

上階の振動音について
上階の入居者の家族構成によってもTがいますが、上階にどんな家族が入居してもよいように上階の振動音についてはチェックする必要があります。
販売会社の担当者に言えば上階の床の騒音レベルの試験データーがありはずですから、その資料を確認したうえで、上階の部屋で誰かに飛び跳ねていただいた時に
購入した部屋でどのように聞こえるか確認することが必要です。

隣家のTVや話し声の共鳴音
この音は壁の仕上げ施工状況で変わりますので、隣戸の境壁の施工方法について確認することで確認できます。
安価に建設した建物ではボードをコンクリート壁に若干の空隙を設けて施行しますが(GL工法という)、この施工法ですとコンクリートと仕上げボードの間に空隙ができ、コンクリート壁が20cmあっても壁の空隙が音の振動に共鳴して隣家のTVや話声が聞こえてしまいます。
内覧会では戸堺壁の施工方法を確認すると同時に隣戸でラジオ等を鳴らしてもらって、音が聞けないことを確認してください。

次回は排水管の排水音・空調機器の振動音についてお知らせします。


 


マンション購入のチェック項目シリーズ 第1回構造について

2013年02月13日 | 共同住宅をつくる

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ後悔することになってしまいます。

マンション購入時の基本的なチェック項目
1.構造の問題
2.騒音の問題
3.結露の問題
4.漏水の問題
5.悪臭の問題
6.機器の機能不全の問題
7.仕上げ状況

 シリーズの1回目として構造の問題について考えてみました。

通常のマンションは鉄筋コンクリートか鉄骨鉄筋コンクリートで建設されており、一般的には購入者がチェックしようのない部分ですが、
姉歯事件ではまさしくこの見えていない構造部分の欠陥により貴重な財産を失った人が数多くいます。

構造は建物の根幹をなすものでこの部分を人任せにすることはできないはずです。
本来は工事中に現場の鉄筋や鉄骨の状況をコンクリートを打設する前に構造図面と見比べて、合っているかを確認することが大事です。

マンション購入の内覧会の時期にはこのようなチェックはできませんから、購入契約を早めに行って建設途中の自分の購入した区画の配筋を
自身の目で見て確認することが重要です。
工事中に現場チェックができない場合は、通常建設会社では隠れてしまう構造体の鉄筋や鉄骨について各部材ごとに配筋状態を写真に撮って保存していますので、内覧会の時に構造体の配筋写真と構造図を見比べてみてください。

コンクリートについても特に塩分濃度についてはチェックしておく必要があります。
塩分の入っているコンクリートは建設後5・6年で内部の鉄筋がさびてきて、その鉄筋を包んでいるコンクリートがボロボロになって、著しく強度が落ちてしまいます。
山陽新幹線の高架のコンクリートがボロボロになった件も海砂の塩分をきれいに洗って使わなかったために起きた現象です。
コンクリートの塩分濃度についてはコンクリート打設時に生コン業者と建設業者が立ち会って確認して記録を取っていますので、内覧会の時に検査記録を閲覧して説明を受けることが必要です。JISの規定では0.3kg/㎥以下となっています。

構造は1か所違うところがあればその階全体に影響が出てくる可能性がありますから、購入者代表者が階ごとにまとめてチェックするか、
第3者の信頼おける工事監理者にチェックしていただき報告をしてもらうことが必要です。

基礎についても検査結果報告書を確認する必要があります。
杭を設置している建物では杭の種類によっても検査方法は違いますが、基本的には杭が固い地盤に到達しており、設計図に示された状況に設置されていることを
ボーリング調査報告書や杭の打設報告書・現場写真を見て確認する必要があります。

上記問題は通常工事監理者が確認して建築主に報告することが義務つけられていますが、分譲マンションの建築主は分譲デベロッパーなので、購入者への報告はありません。

確実に問題のない建物を購入したい場合は、建物性能評価制度の建設評価を依頼することで確認審査機関の技術者が設計図通りにできているかどうかのチェックをして設計図通りの建物ができます。費用は若干上がりますが、そんな方法が安心です。

次回は騒音について考えてみます。

 


ブログを休んでいましたが、再開しました。

2013年02月12日 | 建物雑感

昨年の暮れから忙しい仕事があり、しばらくブログの更新に手が回らず
閲覧していただいている方には失礼しました。

今年から新たに気持ちを入れ替えて発信していく予定です。
建物の設計や、建設に関して興味のある方はコメントや質問をください。

早速2月11日の読売新聞朝刊の記事について私の疑問点を提示します。

この記事はマンションの内覧会に関する注意事項を記述した記事ですが、
建物を設計している立場からみると記事に示されているようなチェックをしても
実際に起きる状況とは全く別な問題が生活に大きく影響する問題として表れてきて、
その問題の解決ができないことで紛争が起きていることが多々あります。

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ
後悔することになってしまいます。

次回から、この問題点を1つ1つ明らかにしていきたいと思います。