○印がPS(パイプスペース)の位置
上の平面計画図は一般的な分譲マンションの良く見られる計画です。この計画図より今回は水回り(キッチン・浴室・洗面所・トイレ)について自由な位置に配置したいと考えたときの問題点を見ていきます。
どちらの計画もトイレあるいは浴室の位置は区画内のほぼ中央に配置され、窓をつけることのできない外気に触れることのない位置になっており、キッチンはLDKに隣接して対面キッチンとなっており、両計画ともほとんど同じ形になっています。全く違う設計者が計画した全く違うマンションであるにもかかわらず、前回記述したように同じ計画になってしまうということは条件(法規・建物形状・開発会社の意向等)が同じであれば仕方のないことのようです。また、完成後リフォームでトイレや浴室・キッチンの位置を変えようとしたとき、全く移動できないことが分かりますが、その理由を説明します。
通常の分譲マンションでは敷地の容積率を十分に活用しようとする開発会社が階高を低く抑えることで階数を多く取るために高さ方向でも余裕がなくなり、水回りの排水管の位置を上下の階で合わせて通すために必然的にキッチン・浴室・トイレの位置が決まった時にその近くにPS(排水管スペース)を設置せざるを得ず、そこを通す排水管は曲げることが難しく、水回りの位置が変わってしまえば排水ができなくなってしまうため、一般的な分譲住宅では水回りの配置の移動ができなくなってしまい、設計時でも各階で違う平面計画とすることはできないことになってしまいます。
水回りの位置は平面計画を自由に計画しようとしたときに上記の理由で大きな支障となり、上下階で平面計画を変えることはできないということで個人のライフスタイルに合わせた計画ができないことになり、鳥小屋とか兎小屋とか揶揄されてしまっていることは仕方のないことかと思います。この問題を解決しなければオリジナルな「住まい」としてのマンションを手に入れることは難しくなってしまいます。
次回からはこれまでに既述した分譲住宅の平面計画を自由設計できるようにするための方法について説明します。