建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

ブログを休んでいましたが、再開しました。

2013年02月12日 | 建物雑感

昨年の暮れから忙しい仕事があり、しばらくブログの更新に手が回らず
閲覧していただいている方には失礼しました。

今年から新たに気持ちを入れ替えて発信していく予定です。
建物の設計や、建設に関して興味のある方はコメントや質問をください。

早速2月11日の読売新聞朝刊の記事について私の疑問点を提示します。

この記事はマンションの内覧会に関する注意事項を記述した記事ですが、
建物を設計している立場からみると記事に示されているようなチェックをしても
実際に起きる状況とは全く別な問題が生活に大きく影響する問題として表れてきて、
その問題の解決ができないことで紛争が起きていることが多々あります。

内覧会で表面的な傷や機能不備が見つかって直すことはもちろんですが、
もっと根本的な問題についてきちんと見ておく必要があります。

マンションを購入する方はその辺の建物の建設時の問題点を確実にチェックして購入しなければ
後悔することになってしまいます。

次回から、この問題点を1つ1つ明らかにしていきたいと思います。

 


旧家の茶室を作りました!

2012年07月20日 | 建物雑感

建築後200年以上経った旧家のご主人から「茶室を作ってくれ!」との
依頼を受けて建設した茶室です。幸い学生時代に数寄屋の研究をしており、
茶室についてもいろいろ勉強してあったことが役立って何とか作り上げることができました。

                                          

現代で茶室の材料となるような草木を見つけることは至難の業とも思いましたが、建築主様のご理解もあって、現代の建材でも良いとの承諾を頂きながらも、できるだけ本来の侘び寂びの空間を作り出せるように努力した結果写真のような茶室が完成しました。
手を掛けてくれた大工さんも大変苦労をしていただき、出来上がりも大変良い仕上がりとなりました。

松本地方の伝統的な庄屋作りである本棟作りの母屋の広縁の先端に創ったもので面積にして、2.5坪程度の大きさですが、母屋の軒下に創りこむことで違和感のない落ち着いた雰囲気が作り出せたと思っています。
裏千家の茶道作法を教えていただきながら細かなディテールに気を使い、できるだけ往時の茶室に近つけようと試みましたが、勉強不足が足を引っ張って必ずしも建築主の思い通りの茶室になったのかはわかりませんが、私自身は満足しています。

 

 

 

 

 


消費税が上がったら!

2012年07月17日 | 建物雑感

今、参議院で消費税増税法案が審議されています。
小沢一郎議員がこの議案に対して反対を表明して民主党から離れて「国民生活が第一」という名称の党を作りましたが、かつての勢いはなく、むしろ野田首相のぶれずに信念を貫いたとの評価が高くなってきて、このままいけば小沢新党が多少抵抗しても消費税の増税は確実に実施されると思います。

消費税の増税は建設関係の人々にとっても大きな影響が出ますが、建築主にとっても大変重大な問題となってきます。
今までは請負契約時に消費税分くらい値引きしてよと言って値引きできていたものが、8%、10%の消費税となると請負業者の経費の圧縮だけでは賄いきれない状況となり、デフレ状況の経済状態での消費税値上げは建築主にとっても大きな痛手となってしまいます。まだ、実施時期までには多少の時間はありますから、住宅をつくろうと思っている方は駆け込みで創ることをお勧めします。
考慮中の方は決断の時期です。ハウスメーカーの住宅であれば契約までの時間はそれほど必要としませんが、独自の「住まい」として考えている方は計画から図面作製、請負契約まで時間が掛りますから、早めに決断して、設計事務所や工務店に依頼することが必要です。

建設工事費2000万円の住宅では、現在の消費税率では100万円、増税後8%では160万円、10%では200万円となってしまい建物の質にも影響が出てくる状況となってしまいます。

日本の高齢化社会に対する福祉行政の見直しということでの増税ではありますが、もう少し経済状況が好転してからでも遅くはないと思います。今の状況で増税すれば、返って民間の建設投資が少なくなって、経済が冷え込むことになってしまいます。政府には経済が冷え込むことがないように各種の景気刺激策を講じていただくように願っています。


建物メンテナンスについて

2012年07月02日 | 建物雑感

半年以上も更新せずに失礼しました。

最近起こったメンテナンスの件で参考になるような事例となりましたので、今後住まいを建築しようとお考えの方の参考になると思い半年ぶりに筆を執りました。

昨年11月に完成し前回ブログで紹介した住宅でとんでもないメンテナンスが発生してしまいました。

玄関の「片引き込み千本格子ガラス框戸」が突然開閉不能となってしまい、玄関が使えなくなってしまったという件です。この建具は木製建具で材料はナラ材で3ミリ透明のペアガラス入りで作成されており、重量が46kg程度になってしまうため、吊方式の金物を使って設置したものです。当事務所で工事監理をしていましたが、建具吊金物の仕様確認ができず、工務店任せにしてしまった為に、調査の結果、実際に取り付けられていた建具吊金物は30kg対応品で取り付けられていたことが分かり、重量に耐えきれず金物が壊れてしまい開閉ができなくなったことが明確になりました。

建設した工務店に現場を確認してほしいとお願いしたところ、「設計が悪いために壊れても修理もできないから、直す責任はない。」と言い放って、現場も確認せずに放置してしまった為、建築主が大変困ってしまい私どもに相談してきたものです。

設計では金物の仕様は具体的に特定しておらず、通常の範囲で機能する金物で取り付けることが工務店の常識であり、承認図も提出されなかった為我々も工務店を信頼して金物の仕様について特に問題が起きる状況ではないと思っていましたが、建具職人が建具重量と吊金物の関係を十分に考慮せずに選択してしまい、工務店の棟梁もそのことを全く注意しなかったことが原因で起こってしまった事故です。

建築主は故障については全く責任がなく、玄関が開閉できないことで大変ご迷惑をおかけすることになってしまいましたので、当事務所で現地調査の結果に基づいて修理をして、原因究明もせずに修理もせずに設計事務所に責任を押し付けた工務店には調査費と工事費を請求する手続きを取ることにしました。

今回の件の根底にある原因は、請負契約時の見積もり合わせにおいて仕事を受注しようとした工務店が、設計図から詳細に見積をせず、下請け見積もりを合計して坪単価に換算した金額で請負金額を算出しており、厳しい予算の中で賄いきれない状況となり、また、設計事務所の工事監理によって図面通りの仕様を要求されたことで工事費が赤字になって利益が出なかったことがメンテナンス費用まで賄いきれないとの状況を作ってしまったもので、新築工事の減少によって無理に工事を受注しようとしたための問題であり、予算不足が工務店としてのあるまじき行為に走ってしまったことによるものと思います。発注時や工事中の注意散漫がこのような事態を引き起こしたことについては反省していますが、工務店の責任についてはしっかり追求しなければなりません。曖昧にできる問題ではありません。

住まい作りは建築主の1世1代の大仕事です。予算が十分に取れなくても大きな夢を叶えたいと思うのは人情です。我々はそのお手伝いをすることを仕事にしており、工務店の見方をする必要はありません。人間のやることで多少のミスはありますが、最後まで、自分の子供のように可愛がって行くつもりで設計した建物を愛しんでいます。