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忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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PSPサードパーティの冷めた視線

2004年11月16日 | 業界四方山話
12月12日の発売日まで1ヶ月を切ったというのに、
PSPが全くといって良いほど盛り上がっていない。
12月2日のDS発売に向け、テレビCMからユーザー向けの体験会まで、
売れるかどうかはさておき、PR活動は万全の体制を敷いている任天堂に対し、
バイヤー向けの説明会場ですら実機を用意出来なかったSCEは
スタートの段階からもう躓いていると言えよう。
初回配分数も出たようだが、バリューパックの比率が単体の約3倍になっており、
単体はなるべく売りたくないというSCEの本音が見え隠れする。
先日発売された新型PS2の初期不良問題からPSPの初期ロットへの不安も増大している今、
諸々のマイナスイメージを一気に払拭するような「奥の手」を使わない限り、
PSPの立ち上げは非常に困難を伴うものになるだろう。

見切り発車のPSPにソフトを投入するサードパーティは現状をどう受け止めているのだろうか。
そこで、予定通りにPSPが年内50万台出荷されたとして、
貴社から発売されるタイトルの装着率(販売本数)はどれぐらいだと思うか?
という質問を知り合いの何名かにしてみたところ、予想以上にシビアな意見が多かった。
社名を伏せて紹介すると

「5万もいけば上出来かなと。」
「立ち上げに参加することに意義があるので(笑)」
「装着率は10%~15%ですかね。本音は20%ぐらいいって欲しいんですが・・・」

など、どこも非常に慎ましい。
最も印象的だったのは、

「最大で20%、何とか二桁(10万本)に乗せたいですけど、難しいでしょうね。
 ソニーさんなんかは、本体を50万台出荷するので『みんGOL』も50万本いくとか言ってますけど、
 あり得ない話でしょう。あんな楽観的な予想してるとこはどこもないと思いますよ。」

というものだった。

あくまでも私見だが、「みんなのGOLF」というソフトは
「みんなが持っているハードに供給して初めて売れるソフト」であって、
ハードを牽引するようなタイトルではないと思う。
例えば今「みんGOL」がGCに移植されたからと言って
GCのシェアが爆発的に伸びるようなことは無いはずである。
ベスト版の販売比率が高いことや「みんGOLオンライン」の惨敗から見ても、
「みんGOL」人気の大半を支えているのがライトユーザーであることは間違いない。
何かと物入りな年末に、3万円近くも払って掌サイズの「みんGOL」をやりたがる
ライトユーザーがどれほどいるかと言われると・・・かなり難しいのではないか。
少なくとも50万人はいないと思う。

もちろん、中には熱狂的な「みんGOL」ファン、ゴルフゲームファンはいるだろう。
「みんGOL」目的でPSPに興味が湧いたユーザーもいるはずである。
その中の一人が私だ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:みんなのGOLFポータブル
    機種:PSP
  メーカー:SCE 
   発売日:2004年12月12日
    価格:5040円(税込)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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フライング販売は専門店の最後の砦

2004年11月14日 | 業界四方山話
ファミコン全盛期には「抱き合わせ商法」は当たり前だった。
大人気の「ドラゴンクエスト」を1本仕入れるために、
ゴミ箱行き確実のC級ソフト2~3本をセットで購入しなければならないというのは
さほど珍しい光景ではなかった。
当時はまだ販路が限られていたこともあり、1店舗あたりの売り上げ本数も半端ではなく、
掛け率も今のPS2などよりはずっと低めだったために、
多少の抱き合わせ分はチャラに出来たのだが、今では到底無理な話である。
未だに元気に営業を続けている古いおもちゃ屋に眠る在庫の大半は
この頃の名残りと見てほぼ間違いない。

そこまでして仕入れた「ドラクエ」も瞬時に店頭から姿を消し、
市場の飢餓感が限界に達した頃、露天商を営む親父の店先(ゴザの上)では
輪ゴムでC級ソフトと2本パックにされた「ドラクエ」が無造作に並べられていた。
赤の油性マジックで大きく
「ドラクエあります。2万円ポッキリ!」
と書かれたプライスカードの不必要なまでの大きさや字の汚さまで未だによく覚えている。
ほんの15年ほど前まで、ゲーム業界は「何でもあり」だったのだ。

様々な規制が敷かれるようになり、「何でもあり」が通用しなくなった業界に
未だに根強く残っているのがフライング販売である。
「発売日前日」という響きは、発売日を心待ちにしているユーザーにとっては
一撃必殺の殺し文句になる。
しかし、「ドラクエ」を擁するスクウェア・エニックスを始め、
一部メーカーはこのフライング販売がお嫌いのようだ。
超大作や新型ハードの発売前ともなると、
「厳守せなお宅の仕入れ先を突き止めて商品供給を絶ちまっせ」
という脅迫めいたFAXが届くこともある。
先日も「キングダムハーツ・チェインオブメモリーズ」の発売日前に
スクウェア・エニックスから上記内容のFAXが流された。
一応名目は「全国の皆様に同じタイミングで楽しんでいただきたい」ということだとは思うが、
いくら何でも「チクリ情報も大歓迎」というのはあんまりではないか。
「万引きしてる所を発見していただいたお客様にはお礼をいたします」
と貼り紙している本屋は、お礼をするだけまだマシである。
スクウェア・エニックスも、同業者同士で潰し合いをさせたいならお礼を用意してはどうか。
1件チクるごとにソフト1本とか、1件チクることに掛け率を1%引き下げるとか。
実現すればあっという間に数千件のデータが集まるはずだ。

私ぐらいの年になると、発売日にそれほどのこだわりは無くなってくるので
フライングしてまで購入したいと思うことは少ないが、
発売日前に入荷するかどうかを決め手にするユーザーも少なくない。
この「1日も早く入手したいユーザー」こそ、街のゲームショップを支える貴重なお客様だ。
価格面では大手量販と勝負出来ず、特典物では大型専門店と勝負出来ず、
利便性では通販サイトと勝負出来ない小規模店にとって、
フライング販売は最後の切り札とも言える。
FAX攻撃をものともせず、前日に「キングダムハーツ」を並べていたショップの何と多いことか。
今日も「『ドラクエ』26日に入荷いたします!」という貼り紙を見つけた。
スクウェア・エニックスの言うことも理解は出来るが、所詮倫理観で飯は食えないわけで、
今後もゲーム専門店の灯が消えるまでフライング販売は続いていくのだろう。

「そうだそうだ」と思ったそこのショップ関係者、バレないように気を付けてね。


******************************
【おまけデータ】

■ドラゴンクエスト
 1986年5月27日発売/ファミコン
 150万本
■ドラゴンクエストII 悪霊の神々
 1987年1月26日発売/ファミコン
 240万本
■ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
 1988年2月10日発売/ファミコン
 380万
■ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
 1990年2月11日発売/ファミコン
 310万本
■ドラゴンクエストV 天空の花嫁
 1992年9月27日発売/スーパーファミコン
 280万本
■ドラゴンクエストVI 幻の大地
 1995年12月9日発売/スーパーファミコン
 320万本
■ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
 2000年8月26日発売/プレイステーション
 410万本
■ドラゴンクエストV 天空の花嫁
 2004年3月25日発売/プレイステーション2
 170万本
******************************
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金勘定>プライドの裏側を邪推してみる

2004年11月01日 | 業界四方山話
一流の板前が一流の料亭を経営出来るわけではない。
一流の選手が一流の監督になれるわけでもない。
プライドと金勘定のどちらを優先するのかは、どこの世界でも頭の痛い問題だと思う。
今日(11月1日)、カプコンの代表作「バイオハザード」シリーズ最新作、
「バイオハザード4」のマルチプラットフォーム展開が発表された。
GC版は予定通り2005年1月27日発売、PS2版を2005年末に発売予定とのこと。

「バイオハザード」というタイトルに特別な思い入れのない私にとって
今回のニュースはさほど衝撃的ではなかったが、
「『バイオハザード』シリーズは今後はGCで独占供給します」と高らかに宣言し、
任天堂の宮本氏ともがっちりと固い握手を交わした同シリーズのプロデューサー、
三上氏に対して今後巻き起こるであろう、各方面からの強烈なバッシングを思うと
他人事ながら同情を禁じ得ない。
特定の機種に肩入れする、いわゆる「信者」の方々からA級戦犯扱いされることは必至だ。

カプコンの「独占です」→「嘘でした」のオオカミ商法は何も今に始まったことではない。
PSでリリースされた初代「バイオ」も、当初はPSのみの独占供給だと言われていた。
当時のライバルマシンであったSSとはハードの能力に差があり過ぎて移植は不可能と言われていたのだ。
が、結局あっさり移植されてしまった。
「コードベロニカ」もやはりDC独占と言われていたが、完全版はPS2にも移植された。
そして、GCでの独占供給を発表、
多数のPSユーザーががっくりと肩を落としかけたが、「アウトブレイク」がPS2で発売。
「バイオ」とは直接関係ないが、「ビューティフルジョー」や「Killer7」なども
当初はGCオリジナルとして発表され、後になってPS2版の発売が決まった。
繰り返される狼少年・カプコンの発表に一喜一憂するシリーズファンからすれば
最早呆れて物が言えない状態だとは思うが、この前言撤回劇が
ほぼ毎回「カプコンがいよいよヤバいらしい」という噂が流れた後であることを思うと、
1本の売り上げが最低でも数十万を見込める稼ぎ頭故の「縛り」を感じる。

クリエイターからすれば、産み落とす作品は我が子同然であろうし、
だとすれば少しでも環境の良い産院を選ぶのは道理である。
(あくまでも親の目から見た、という意味であり、GC>PS2という意味ではない)
GCへの独占供給を発表した当時の三上氏のインタビュー記事からは、
社内から相当の反発を受けたことと、それでも自分はこうしたいのだ、という強い信念を感じた。
あれだけの発言を翻すのは、三上氏が相当なタマか、相当のお家事情かのどちらかしかあるまい。
最近のカプコンは、夏に不良在庫を数百円で大量に吐き出したかと思ったら、
コーエーのお家芸でもあるセット販売を「鬼武者」や「バイオ」を使って作ってみたりと
会社全体が逼迫した事態であることは容易に想像がつく。
産院を選ぶ前に、帰る家が無くなってしまっては元も子もない。
三上氏なりに悩んだ末の決断であったと思う。

カプコンは、シリーズ物や版権物が幅を利かせる中、
未だにオリジナルの新作をそこそこのレベルで発表し続ける希有なメーカーである。
孝行息子の使い回しでどこまで巻き返せるか分からないが、頑張ってほしい。

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意味のないコラボ

2004年10月04日 | 業界四方山話
METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE(初回生産版)

コナミ

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いよいよ12月16日に発売も決まった「METAL GEAR SOLID 3」。
手掛ける作品はどれも3~4年の製作期間をかけて作り込まれるという
ゲーム職人・小島秀夫監督の最新作だ。
先日、発売元のコナミから衝撃的な発表があった。

「MGS3にあのピポサルが登場!」

発表されたスクリーンショットでは、確かにピポサルが駆け回っていた。
このコラボ、誰の発案で、誰をターゲットにしたものなのだろうか。
私は、このニュースを読んで「嘘っ!?マジ?やったぁ!!」と喜んだユーザーは
この世に2、3人しかいないんじゃないかと推察する。
「サルゲッチュ」のメインユーザー層は「MGS」など遊ばないだろうし、
「MGS」に惚れ込んでいるユーザーからすれば、この手のおまけは邪魔でしかないと思う。
以前、PCエンジン版の「悪魔城ドラキュラ・血の輪廻」に追加キャラクターとして
女の子が登場したことがあったが、その時も「ドラキュラ」の熱烈なファンから非難が集中した。
コナミは自社の人気ソフトの世界観を自ら破壊するのが好きなのだろうか。

そもそも、SCEは低年齢ユーザーの獲得に必死なんじゃなかったのか。
ようやく少しずつ認知されてきたピポサルを、
話題作りのためとはいえ年齢制限のかかった作品に登場させるというのはどういう了見なのか。
例えミニゲームとはいえ、「ポケモン」や「マリオ」は暴力的な表現を使用した作品や
血を連想させるような作品には絶対に出ない。
SCEは11月発売の「爆風スラッシュKIZNA~嵐」(後日紹介予定)で
「任天堂ががっちり掴んでいるマーケットを狙う」と豪語していたが、
こういった中途半端なイメージ戦略をしている限り絶対無理だと思う。

ドリームミックスTV ワールドファイターズ ハドソン・ザ・ベスト

ハドソン

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この手の意味なしコラボで最強なのが、
ハドソンから発売になった「ドリームミックスTV」だろう。
タカラ・コナミ・ハドソンの人気キャラクターが大集合!のアクションなのだが、
何のことはない、コナミの傘下に入ったメーカーのキャラクターを寄せ集めただけだ。
高橋名人、ツインビー、リカちゃん、パワプロくん、桃太郎、コンボイ、、、
「コナミの傘下のメーカーだから」という以外、全く説明がつかない。
リカちゃんとボンバーマンが同一画面内で戦っている姿はシュールですらある。

遊び手のこともキャラクターの持つ世界観も無視したコラボレーションは止めるべきだ。
そこからは何も生まれない。
生まれるのは失笑だけだ。
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もっと弾けろ、16万人

2004年09月28日 | 業界四方山話
24日から幕張で開催されていた東京ゲームショウが終わった。
3日間の入場者数は16万人(ビジネスデー3万人含む)に及び、昨年を1万人ほど上回ったという。
CESAが流し続ける「ゲーム市場は好調な伸び」という報告を鵜呑みにしているような
お気楽な業界人はおそらく1人もいないと思うが、入場者が伸びたのもまた事実である。
この数字から読み取れるものは、本当に「好調」なのだろうか。

ゲーム業界からすれば「お隣りさん」という感覚の音楽業界では、
CDの売り上げが前年割れを続け、シングル盤のミリオンセラーは今年はついに1枚も出ていない。
売れているアルバムと言えば、人気のアーティストのベストアルバムか洋楽のオムニバスばかり。
アイドル系のCDは、初回盤2種類、通常盤1種類の合計3種類で発売など、
同じ楽曲を何枚も買わせることで数字を稼いでいる状態だ。
この辺の構造は、ゲーム業界とほぼ同じだと思う。

一方、フジロックやサマーソニックなどの野外イベントの入場者数は毎年伸び続けており、
携帯端末を使った着うたサービスでは、大塚愛の「さくらんぼ」が100万回のダウンロードを達成した。
例え着うた(1曲105円)とはいえ大塚愛がミリオンというのも信じ難いが、
「え?こんなチープなページが月額315円?会員50万人突破?」
というゲームメーカー製作の携帯サイトも確かにある。(どことは言わない&言えない)
お祭りなら人は集まり、数百円ならホイホイ金を落とすが、
いざ購入するとなると安全パイにしか手を出さないということか。

ゲームの未来を垣間見れるはずのゲームショウ会場で最も人が集まったブースは
スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト8」コーナーだったと聞いた。
いいのかそれで。何しに幕張まで行ったのだ。
「ドラクエ」など、どうせ遊ばなくても買うだろうに。
PSPブースを素通りして幕張くんだりまで石橋を叩きに行った人々が
増加した1万人だったのではないかと私は思う。
ここ3年間のソフト売り上げの年間ランキングを見てみると、

2004年ベスト4:1位「ポケモン赤緑」2位「ドラゴンクエスト5」3位「戦国無双」4位「ウイイレ8」
2003年ベスト4:1位「FFX-2」2位「ポケモンルビーサファイア」3位「三國無双3」4位「ウイイレ7」
2002年ベスト3:1位「ポケモンルビーサファイア」2位「ウイイレ6」3位「鬼武者2」

となっている。
どうだろう、この変わり映えのなさ。
有名シリーズと大手メーカーで埋め尽くされたランキングから一抹の寂しさを感じるのは私だけか。
残り3ヶ月で年間ランキングに変動があるとしても、
「ドラクエ8」が1位になるか、「ポケモンエメラルド」が3位あたりに来るぐらいだろう。
ここ数年、大化けしたソフトは出ていないのである。

より安全で確実な商品を求めて極力無駄を省こうとするのは悪いことではない。
だが、誤解を恐れずに言うなら、ゲームはもともと「無駄なもの」なのだ。
「無駄」だからこそ面白いのだ。
せっかく幕張まで足を伸ばしたのなら、
約束された楽しさを確認するより、まだ見ぬ楽しさを探して欲しかった。

もちろん、新しい楽しさを提供する作品があってこその話なのだが。

ちなみに、会場でPSPを触ってきたという●●様からのメール、
「大きさは『GENESIS NOMAD』ぐらい」というのには笑った。
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優良企業ランキング

2004年09月21日 | 業界四方山話
今日の日経新聞紙上で、今年の優良企業ベスト500が発表になった。
日本を代表する500社ということで、
聞いたことのある名前がズラリと並んでいる。
ゲーム関連企業でランクインした主な会社は以下の通り。
評価については、
「規模」「収益性」「安全性」「成長力」の4つの項目で採点し、
それらを総合して導き出されている。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

             規模 収益性 安全性 成長力
  6位:任天堂     81  61 100  39
 11位:サミー     59  74  49  94
 48位:スクエニ    54  70  92  43
 56位:コーエー    48  81  73  51
 83位:ソニー     97  38  50  49
103位:コナミ     62  71  53  54
124位:バンダイ    60  66  62  51
150位:テクモ     43  68  80  56
252位:ナムコ     58  62  59  50

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

2002年には1位、昨年は19位までランクを落としていた任天堂は今年は6位。
成長力は39と低いが、安全性が100、つまり満点というのが圧巻だ。
再躍進の大きな理由は携帯用マシンの好調と言われており、
折しも今日「ニンテンドーDS」の発売日と定価が発表された。
「12月2日(木曜日)15000円(税込み)」だそうである。
ソニーがPSでゲーム市場に参入した頃の任天堂は、はっきり言って高を括っていた。
気が付けばトップシェアを追われ、携帯用機の牙城をより強固にすることで
好調を維持してきた任天堂だが、ソニーがPSPで携帯用機市場への参入が決まった今、
事実上独占状態だった勢力図にも変化が現れるはずだ。
そういう意味でも、DSに失敗は許されない。
64やGCのようなソフト不足だけは避けたいところだが・・・・

サミーは抜群の成長力を武器に11位。
安全性が低いのはパチスロをメインにしているからなのか、
セガを吸収したからなのか、日経の採点者に聞いてみたいところだ。

「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」という
2大RPGを有するスクウェア・エニックスは48位。
毎年リリースされるわけではないため投資家からは敬遠されていた2社だが、
合併したことで売り上げが安定すると思われたのか安全性が94と高い。
石橋を叩いて渡るエニックスが、ギャンブル好きなスクウェアを
どれだけコントロール出来るかが今後の課題と言えそうだ。

部門別ランキングでは収益性で8位をマークしたコーエーが56位。
ここ数年は「三國無双」シリーズに依存し過ぎている気がするが、
「信長の野望」「三國志」「提督の決断」「大航海時代」「太閤立志伝」など、
売り上げの増減が少ない人気シリーズをいくつも持っているのは強みだろう。

ソニーショックからなかなか立ち直れないソニーは83位。
規模こそ97とトップレベルながら、収益性と安全性の低さもトップレベルで、
以下のコナミ、バンダイ、テクモ、ナムコと比べても全ての項目において下回っている。
そんなソニーも今日新型のPS2を発表、噂ではPStwoだと言われていた商品名は、
SCPH-70000と極めて普通なところに落ち着いた。価格はオープンプライス。
PSPの詳細については東京ゲームショウまでお預けか。

任天堂はDSで成長力の低さを覆すことが出来るのか、
ソニーはPSPで新たな市場開拓となるのか、
来年のランキング発表の頃にはある程度の回答が出ていることだろう。

なお、今日の発表会での久多良木社長があまりにも愛らしかったので載せてみた。
もちろん本気だ。
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単価1円

2004年09月20日 | 業界四方山話
スペースの大小こそあれ、どこの店にも必ず置いているのが特価商品だ。
同じ棚に積み上げられていても、その中の特価商品にはいくつかのパターンがある。

1■不良在庫を捌くため、赤字覚悟で値下げした特価商品。
2■問屋から安価で仕入れた、ちゃんと利益の出る特価商品。
3■決算期などにメーカーが放出するため、同時期に大量に出回る特価商品。

この中でショップ関係者の頭を悩ませているのが「1」だろう。
定価販売も出来ず、値引きすれば利益は1割取れるかどうかという薄利で20本販売しても、
ものの5本も半値で売ればチャラになってしまう。
仕入れ金額に応じた返品制度も、ベスト化に伴う廃盤・回収の制度もないゲーム業界において
新品ソフトの仕入れはハイリスク・ローリターンなのだ。

だが、大半の小売りが泣く泣く値下げをする一方、
メーカーに助け船を出してもらう大手量販店もある。
大手ともなれば仕入れる数も半端ではないため、不良在庫の数も半端ではない。
当然、特価販売によって生じる被害額も甚大だ。
これを放置すれば、以降のそのメーカーの新作の仕入れ数にも影響が出てしまう。
そこで登場するのが「1円仕入れ」である。

以前、少し前まで軽々と数十万本を売っていた人気タイトル、
「●●●」の新作が急に売れなくなったことがあった。
人気が下降気味であることは薄々感づいてはいたが、まさかここまで・・・と皆が思った。
私がたまに立ち寄っていた大手量販の特価ワゴンは、
いつもなら多種多様のソフトが並んでいるのだが、その時には「●●●」だけが山と積んであった。
ちょっと圧倒されるほどの本数に疑問を抱いた私は、販売元である▼▼▼の営業に問い合わせたところ、

「あぁ、アレですか。×××××さんの担当さんにえらい怒られまして、
 1980円で売っても損にならなくなるまで単価1円で卸したんですよ」

と教えてくれた。

定価4800円のソフトなら、通常の仕入れ値はだいたい3600円前後だ。
「●●●」の不良在庫が某店に100本あった場合、在庫金額は360000円、
これを1980円で100本販売すれば、162000円の赤字が発生してしまう。
しかし、メーカーから追加で100本、単価1円で仕入れればどうだろう。
在庫金額は360100円で本数は200本、1本あたりの仕入れ単価は1800円まで下がる。
これなら1980円で販売しても赤字は発生しない。
もちろん、この方法をとるには200本売るだけの販売力が要求されるわけで、
その辺の小売りが「うちもやってくれ」と言っても無理な話ではあるのだが、
1本2本の不良在庫で右往左往する小売り店にとっては羨ましい話だろう。

というわけで結論。
同じ値段なら小さい店で買ってあげよう。
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陽の当たる場所

2004年09月14日 | 業界四方山話
つい最近、テレビを見ていて2回ほど暗澹たる気持ちになった。
1回目は「笑っていいとも!」だった。
何年かぶりに見た「いいとも」には、
「アルタの中心で愛を叫ぶ」という便乗コーナーが出来ていた。
秘めた想いを公共の電波を使って告白するという、
実に「いいとも」らしい緩い企画である。
タモリに紹介され出てきた素人を見て私は凍り付いた。

■甲高い声
■妙にハキハキと喋り、しかも早口
■髪はグシャグシャ、服も・・・

リュックこそ背負っていなかったものの、
髪の先から足の先まで、毛穴という毛穴からオタク臭を発していた。
「もうこのまま帰してやってくれ」と願う私の声がタモリに届くはずもなく、
タモリは「想いを伝えたい相手は?」とマイクを向けた。
彼は言った。

「ネットゲームで知り合った●●ちゃんです」

うなだれる私をよそに、
ブラウン管の向こうでは明らかに「珍獣」として扱われる彼と、
そのことに気付きもせず
薄ら笑いで彼女の自慢話を続ける彼とのやり取りが続いていた。
やがて告白の時を迎え、彼は一際大きな声で言い放った。

「●●ちゃん、ゲームの中では僕は戦士!君は魔法使い!
 これからはリアルの君も守りたい!」
*(記憶曖昧につき多少違う可能性あり)

「瞳をとじて/平井堅」が流れた。
出演者も会場も湧きに湧いた。
爆笑で。

2回目は「ナイナイサイズ」だった。
ナインティナインの二人があちこちを散策する深夜番組だ。
この日のテーマは「秋葉原」だった。

もうこの時点で嫌な予感はあったのだが、
案の定、矢部が向かったのはメイド喫茶だった。
メイドのコスプレをした店員が出迎えてくれる、
秋葉原では(色んな意味で)話題の店だ。
「おかえりなさいませ、ご主人様っ♪」
メイド服に身を包んだ従業員がにこやかに店内へと招き入れる。
矢部が通された席の隣りには、
どう見ても30過ぎのグループが4、5人で談笑していた。
場所が場所なだけに、一般人に成りすます必要のない彼等はエンジン全開だ。
矢部が話しかけた太り気味の男は、曇りなき眼でコスプレ喫茶を絶賛した。

「最高です。僕はメイド萌えなんで、えっへっへっ」
*(これもうろ覚え)

画面下部には

「萌え=好き過ぎて気持ちが高まる状態」

などとスーパーが入っている。
彼を見る矢部の表情は「いいとも」出演者のそれと全く同じだった。
私はいたたまれなくなってチャンネルを変えた。

うちの姉はゲームを全くやらない人なので、
「ゲームをやっている大人=オタク=気持ち悪い」
みたいな図式が未だに根強く残っている。
これは姉に限らず、世間一般の人に多い固定観念だとは思うが、
こういう男達を見るにつけ、「そうでもないんだよ」と言えなくなってしまう。
100人の「普通の人」が築き上げたイメージは、
1匹の「珍獣」で簡単に塗り替えられてしまうものなのだ。

私は彼等にネットゲームやコスプレ好きを止めろと言っているわけではない。
30過ぎてようが、太ってようが、服装のセンスが酷かろうが、
そんなのはこの際全部許そう。
ただ、マイノリティであることを自覚して、節度だけは守って欲しい。
カメラを向けられたら断るぐらいの恥じらいを残しておいて欲しいのだ。
自分を第三者の視点から見つめることが出来なくなった時、
真のオタク道が開けるのかも知れないが、
それは同時に「陽の当たる場所」からの決別を意味することを肝に銘じて欲しい。

ちなみに、私はちゃんとカメラから逃げている。
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通常版の存在意義

2004年09月01日 | 業界四方山話
「限定版」「限定生産」「初回版」「予約特典」「先着」

マニア殺しの文句を並べてみた。
ゲームに限らず、CD、DVD、コミックなど、
世の中には星の数ほどの「限定モノ」が溢れている。

そんな中、今や通常版を探すのが困難な状況になっているのがギャルゲー業界だ。
「ときめきメモリアル」の限定版が異常な高値をつけたのをきっかけに、
ギャルゲーと限定は切っても切れない関係になった。

通常版の定価に2000円~3000円上乗せするのが相場だが、
この価格設定がメーカーからすれば相当に美味しいらしい。
その昔アトラスの営業から聞いた話だが、限定版に同梱されるグッズ類は、
原価にしてだいたい200円~300円なのだそうだ。
そこに「限定」の2文字を付けただけで
9800円前後の高額商品が2万本捌けてしまうとくれば、
メーカーが限定版商法を止めないのも道理である。
そう言えば、会社が傾きかけた頃のアトラスは
限定版ばかり出していた気がする。

しかし、大手が仕掛ける予約特典競争の激化と共に、
ギャルゲーは今や血中ギャルゲー濃度の高いユーザーにしか
付いて行けない市場へと変化してきてしまった。
限定版のみが数千本売れて終わり、というパターンも増えてきた。
「通常版」があってこその「限定版」
という概念そのものが危うくなってきたのだ。

限定版とは数が少ないからこその限定なのではないのか。
通常版より限定版が売れてしまったら、もう通常版の存在意義はないだろう。
しかし、このところこのパターンが実に多いのだ。
先週発売になったPS2の「Monochrome」もその典型で、
発売直後の売り上げは限定版が5400本、通常版が1700本となっていた。
通常版の需要はもうないようにも思えるが・・・

そんな私の疑問を解消したのが
「ラーゼフォン」を発売したバンダイであった。
このソフトは限定版という形はとっておらず、
豪華版と通常版の2種類を製作した。
豪華版にはDVDが付いているが、通常版はDVDなしと分かりやすい。
他に違うところと言えばジャケットの絵柄が違うぐらいだ。
誰の目にも「これ、通常版要らないじゃん」と映ったはずなのだが、
さすがはキャラクタービジネスに長けたバンダイ、
私のような業界の末端にいる忍には予想もつかない読みを披露してくれた。

「この『ラーゼフォン』という商品はですね、
 とにかく濃いファンが多いんですよ。
 もう『ラーゼフォン』と付いたら何でも買っちゃう、
 みたいなファンがいまして。
 だから通常版も数枚は仕入れといて下さい。
 通常版のジャケットのデザインが違うでしょ?
 もうこれだけで買ってくれますから。
 豪華版は開けずに置いといて、遊ぶ用に通常版を買う人も絶対いますから。
 開封して遊ぶように豪華版2個、通常版1個ってのも有り得ますね。
 そういうファンに支えられたタイトルですから。。。」

要するに、通常版は今や「もうひと稼ぎ」の為のアイテムというわけだ。
私からすれば阿漕としか言いようがないのだが、
結局は買った本人が満足していればそれでいいわけで、
ギャルゲーファンは皆金持ちであるな、という結論に達した。
ユーザー1人あたりの業界貢献度No.1は間違いなくギャルゲーファンだろう。
毎度ありがとうございます。


*『ラーゼフォン』はギャルゲーというよりキャラゲーだとは思うが、
 販売スタイルの一例として挙げさせてもらった。
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モーニング娘。化の進む「サクラ大戦」の今後。

2004年08月27日 | 業界四方山話
もうお腹一杯である。
「サクラ大戦V EPISODE 0 ~荒野のサムライ娘~」
の発表会場に集まった”豪華”出演者の集合写真を見た私は、
軽い胸やけと共に溜息が出た。

SS時代にはセガの看板だった「サクラ大戦」は、
DC時代に関連商品を乱発し一気にブランド力が低下、
PS2にフォーマットを移した現在も復調の兆しは見えていない。
(「熱き血潮に」は20万、「ミステリアス巴里」は10万、現在どちらも投げ売り中)
売り上げの下がる一方で関連商品のリリースはますます増える傾向にあり、
「信者の数が減ったなら一人当たりの負担額を増やせば良い」という、
どこぞの新興宗教のような展開で下り坂に歯止めをかけているのが現状だ。
今後も付き合いきれなくなった信者が次々に脱落していき、
早晩「サクラ大戦」は終わってしまうだろう。
先日発表された今後の「サクラ大戦」関連ソフトのリリース予定は

■サクラ大戦5~さらば愛しき人よ
■サクラ大戦5・Action
■サクラ大戦物語・帝都編
■       ・巴里編
■KOUMA/降魔
■桜姫錦絵巻

となっており、この6本に上の「V」を入れると、
実に7本もの「サクラ大戦」関連ソフトが発売されることになる。
発売時期は「V」以外は未定となっているが、出し過ぎであることに変わりはない。

本編リリースに力を入れず、外伝的な物で時間と小銭を稼ぐやり口は、
即席ユニットを次々に発表しているモーニング娘。と激しくかぶる。
広井王子はゲーム業界のつんく♂なのか。
ミュージカルにご執心なところも似ているし、
本業以外の分野とのコラボレーションにやたら積極的なところも似ている。
「サクラ大戦」本編は母体であるモーニング娘。であり、
「花組コラムス」や「ミステリアス巴里」は派生ユニットだ。
売り上げも評判も良かった「花組コラムス」はミニモニ、
出たかどうかも忘れ去られている「オンライン」などはROMANSといったところか。

人気凋落と言えども集金力はまだまだあるわけで、
1作品ごとの売り上げを落としながら今後もリリースは続くのだろう。
ただ、「熱き血潮に」「ミステリアス巴里」のダブルパンチで
問屋、ショップ共に「もうサクラは恐い」という認識が確実に芽生えているはずだ。
一度落ちたイメージを回復するのは難しい。
今の「サクラ大戦」の望まれているのは、苦笑いを誘う声優の歌謡ショーでもなければ
浪漫堂に置くグッズを拡充することでもない。
身の丈に合った販売計画を立てることだ。

志茂田景樹のようなカラーリングをしている場合ではないぞ、広井。
コメント (1)
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