哲学・後悔日誌

現代英米圏の分析的政治哲学を研究し、自らもその一翼を担うべく日々研鑽を重ねる研究者による研究日誌

自律と道徳的責任

2010-04-11 21:07:57 | Weblog
Arpalyの本の4章5章は、自律autonomyが道徳的責任(精確には、moral praiseworthinessとblameworthiness)の必要条件ではないとする議論を展開している。通常われわれは、道徳的責任を帰す条件として当事者が自律的に行為をしたかを重んじるように思われる。それは哲学者も変わりはない。マイケル・スミスはその一人だし、他にも合理的熟慮の役割を重視するC. コースガー . . . 本文を読む

Moral Worth

2010-04-03 12:41:09 | Weblog
雑事に追われてなかなか更新できないでいたが、Arpalyの議論の核心に迫ってゆきたいと思う。前回では行為が合理的であるというために、必ずしも意識的な理由づけを伴う熟慮が必要不可欠というわけではない、という議論について一瞥した。われわれはそこまで意識していなくても、あるいはその時点で下しうる最善の判断と反するとしても、善き理由に適った行為を行うことがたびたびある。Huckleberry Finのケー . . . 本文を読む