以前、智積院のポスターをいただき、「麦つき不動明王 (座像) 」が「どーん」と大きく載っていたのですが、同時期に、東寺から寺宝のパンフが届き、その中の「イシャナ天 (12大天の1尊) 座像画」が紹介されていて、「そっくりだな」と思いました。
12大天の一尊、イシャナ天は元々、インド神話において「火」や「風」をつかさどる重要な神でした。これが仏教に取り入れられると、大自在天の忿怒の化身とされました。大自在天 (シヴァ神) とは、元は別々の神と言う説もあります。
ウィキペディアより、『壒嚢抄12』に「ある説には、第六の魔王(第六天は他化自在天といい、そこに天魔である波旬がいるとされる)とは伊舎那天の事なり」と、あります。
イシャナ天が、第六天の神であるのは間違いないようで、第六天とは仏教における天のうち、欲界の六欲天の最高位(下から第六位)にある他化自在天をいう (ウィキ) そうです。
天上界のうち、六欲天の中では、最高位の天上界です。インドラがおられる三十三天よりも上です。弘法大師が今修行されているとされる「兜率天」よりも上です。最上位の天だから、「天魔・魔王」と言うのでしょう。(梵天のおられる世界は、まだ上です。色界十八天だそうです)
他化自在天ですから、大自在天とは本来別です。
そのイシャナ天が、同じ座像で見比べると、「よく似ている」。イシャナ天は三眼ですが。
持物が違うだけでよく似ている。
よく、不動明王の源流は、「インドのシヴァ神」と言われます。
本来は違うけど、仏教では同一視された「シヴァ神」と「イシャナ天」。
不動明王のご真言も「破壊したまえ破壊したまえ」と、障礙を破壊する意味の真言なので、「破壊神シヴァ」が仏教に取り入れられて、不動明王と成ったとも考えられます。ただ、日本に伝わった不動明王像は、シヴァ神 (イシャナ天) だけでなく、後背の大火炎は「ガルーダ (迦楼羅) 」、右手の利剣は「倶利伽羅龍王」と、複数の神々が合わさった御姿に見えます。
日本では、真言・天台の両密教において、日本の古代の神々と習合して、「最強」となった不動明王・・・。
補足ですが、お釈迦様が成道前、戦った魔群のうち、最後まで抵抗した「第六天魔王」が、イシャナ天なのかどうかは判りません。
魔王パーピマン・・・お釈迦様の二大弟子の一尊「モッガラーナ尊者」も、パーピマンに憑りつかれて、パーピマンを静かに諭すシーンが、原始仏典にでてきます。
モッガラーナ尊者が、「パーピマンよ出てこい。汝を知っているぞ。汝は私を知らないだろうが、私は、汝をよく知っている」と。
どこかで詳しく書きます。
ではまた。
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