新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ロングセラー商品⑭~山崎製パン「ランチパック」

2011年03月19日 | ロングセラー商品
手軽に持ち運べて、食べやすい元祖”携帯食”が1984年発売の山崎製パン「ランチパック」である。定番のジャムやクリームはもとより、惣菜に至るまでさまざまなフィリング(具材)をサンドした菓子&惣菜パンで、今やご当地(地域限定)商品を含めると約60アイテムに上り、約3億7000万個を売り上げるガリバー商品だ。
年間50アイテムを発売するが、発売以来変わらぬ人気No.1が「ピーナッツ」で、以下「たまご」「ツナマヨネーズ」とベーシックな商品が続く。ヒットの主因は、”中身の具材がこぼれにくい、適度な厚みで食べやすい、手を汚さずに食べられる”という利便性だ。加えて、中身はシンプルでもガッツリ系具材でも、サンドイッチ感覚でちょっとお洒落で小粋な食シーンを演出してくれる要素が女性からの支持を得た。「忙しくてゆっくり食事はできないが、ちゃんと栄養は補給し美容・健康を気遣っています」というメッセージがイケてる女性を醸し出すのだ。また、毎月ご当地商品を含めた新商品を絶えず投入することで話題性や次いで買いを促し、シリーズの陳腐化を防いでいる。商品コンセプトとマーケティング戦略は菓子パン市場随一で、進化するロングセラー商品の代表格と言っていい。
具材の水分・油分がパン生地に染み込むのを防ぐためのキメ細かい専用食パンの開発、食パンのスライスから個包装まで1分40秒間のフレッシュ製法、包装時にエアーを注入し型崩れを防ぐなど”美味しさ”を裏付ける品質設計も見逃せない。