新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ロングセラー商品⑨~伊藤園「お~いお茶」

2009年12月05日 | ロングセラー商品
緑茶飲料の代名詞といえば、今年で発売20周年を迎えた伊藤園「お~いお茶」である。発売当時、これほどまでに緑茶飲料が売れると誰が予測しただろうか。今や急須で淹れて飲むのではなく、買って飲むのが当たり前という、緑茶の持つ文化的な側面を含めた新しい飲用習慣を提供し、根付かせてきた。2000年10月にはホット対応のPETボトルを投入、通年で支持されている緑茶飲料のトップブランドだ。
ウーロン茶を日本で初めて紹介したのも同社である。81年発売の缶入りウーロン茶が大ヒットしたことで、缶入り緑茶の開発を急いだ。レトルト殺菌やタンニンの酸化による風味劣化の技術的課題を克服し、遅れること4年、缶入り緑茶の発売にこぎつけたが、緑茶ブームに火がついたのはさらに4年後、商品名を現在の「お~いお茶」に変更してからである。
「自然が好きです。」という企業理念に基づき、発売当初から、無香料・無調味、無添加を守り、茶葉本来の味や製法にこだわってきた。良質な茶葉を長期的、安定的に確保するための茶園育成事業も手懸けており、飽きのこない美味しさとそのナチュラル志向、本物志向に取り組む商品開発・企業姿勢に対する圧倒的な信頼感が長年支持されてきた所以である。竹をイメージしたデザイン、商品名の書体、季節・地域限定商品の投入など常に商品訴求力を高める商品開発・マーケティング力も見逃せない。