1884年発売の天然鉱泉水「三ツ矢平野水」をルーツに持つのがサイダーの代名詞であるアサヒ飲料「三ツ矢サイダー」だ。誰もが少年少女時代、その爽やかな喉越しに魅了された、言わずと知れた国民的飲料だが、1990年代半ばに入ると健康志向の高まりから、サイダーを含む炭酸飲料は”高カロリー”と敬遠され縮小していく。
時あたかも500mlPET容器の自主規制が緩和されて、容器の主流は缶からPET容器(小型・大型)にシフトした。商品カテゴリーも健康志向、リキャップでき携帯性に優れるというPET容器の優位性に適した、経時的に味覚変化の少ない茶系飲料が主役となっていく。そうした中、炭酸飲料で伸長していたのは、カロリーオフという新しい切り口で様々な高甘味料を使用することで製品の完成度を高めていたコーラ飲料だけである。
「三ツ矢サイダー」は120余年という年月とシンプルな商品設計ゆえ、斬新な展開ができず、乳性や果汁入りなどの小手先のトライに終わっていた。炭酸飲料にとって失われた10年だったと言っていいだろう。
長い歴史と伝統、ガリバー商品だった過去の成功体験が商品開発の本質を鈍らせることがある。自戒を込めて言うと、ベテラン開発マンほどこのことを肝に銘じなければならないのだ。そして再び世代を超えて心を掴むことになったのが「三ツ矢サイダーオールゼロ」であった。自然の甘みに近い高甘味料の開発により実現したと言えるが、顧客が求めていたのはコーラ飲料と同様に”カロリーゼロ・オフ”だった。”高カロリー”というネガティブイメージを払拭することをピンポイントで狙えば良かったのだ。「三ツ矢サイダー」は今や高甘味料を使用することで、その爽快感とカロリーオフで市場を牽引するばかりか、その長い年月で得た絶対的信頼感と安心感が再びブランド力を強固にし国民的飲料の地位を不動のものとしている。
時あたかも500mlPET容器の自主規制が緩和されて、容器の主流は缶からPET容器(小型・大型)にシフトした。商品カテゴリーも健康志向、リキャップでき携帯性に優れるというPET容器の優位性に適した、経時的に味覚変化の少ない茶系飲料が主役となっていく。そうした中、炭酸飲料で伸長していたのは、カロリーオフという新しい切り口で様々な高甘味料を使用することで製品の完成度を高めていたコーラ飲料だけである。
「三ツ矢サイダー」は120余年という年月とシンプルな商品設計ゆえ、斬新な展開ができず、乳性や果汁入りなどの小手先のトライに終わっていた。炭酸飲料にとって失われた10年だったと言っていいだろう。
長い歴史と伝統、ガリバー商品だった過去の成功体験が商品開発の本質を鈍らせることがある。自戒を込めて言うと、ベテラン開発マンほどこのことを肝に銘じなければならないのだ。そして再び世代を超えて心を掴むことになったのが「三ツ矢サイダーオールゼロ」であった。自然の甘みに近い高甘味料の開発により実現したと言えるが、顧客が求めていたのはコーラ飲料と同様に”カロリーゼロ・オフ”だった。”高カロリー”というネガティブイメージを払拭することをピンポイントで狙えば良かったのだ。「三ツ矢サイダー」は今や高甘味料を使用することで、その爽快感とカロリーオフで市場を牽引するばかりか、その長い年月で得た絶対的信頼感と安心感が再びブランド力を強固にし国民的飲料の地位を不動のものとしている。