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Imaginary Dock

"作ることを伝える"をテーマに
プラモデル製作を紹介しています
動画もあわせてごらんくださいませ

[MSN-00100] HYAKU-SHIKI「百式」 #3-1

2011-12-01 23:21:05 | MSN-00100 Hyaku-Shik

《かつて、お気に入りのジーンズに塗料をこぼしたことがあります…》
作品のテーマ:「さりげない精密感と使用感」

「ベースホワイト」が乾燥して塗装の準備が出来ましたので、いよいよ塗装の工程に入ります。
作品のテーマの『使用感』を塗装で『さりげな~く』表現します。
前作のQUBELEYでは、光沢仕上げにたっぷり時間をかけましたので、今回は『使用感』にこだわって仕上げたいところです。
今回の記事では、『塗装の準備と金属表現』についての工程をご紹介します。

<塗装工程について>
さて、実際の作業に入る前に、塗装工程を整理しましょう。
塗装の工程は次の手順で行います。

・塗料の調色
・同じ色で塗るパーツの整理
・マスキング
・塗装

ここは前作同様の手順ですね。

HYAKU-SHIKIはなんといっても、金色にメッキ処理された鏡のようなパーツが特徴的です。
しかし、そのまま組み上げると「おもちゃっぽい」感じになりそうなので、メッキパーツにも塗装を施して他のパーツとうまく溶け込むように仕上げます。

(メッキパーツの塗装については、後の記事でご紹介します。)


<塗料の調色>
今回の製作で使用する塗料はあらかじめ、必要な分を調色しておきます。
塗装には模型用に市販されている「ラッカー系」塗料を使用します。

機体の配色は組み立て説明書で指示されている配色にしますが、説明書にある通りに調色すると少し暗い感じになりそうなので、パッケージのイラストを参考に少し鮮やかな色に調色します。


※調色の配合はおおよその目安と考えてください。
~胴体~
胸部とバックパックのパーツは若干赤みがかった暗い青にします。
塗装後は「つや消し」と「半つや消し」の間くらいの「3/4つや消し」を目指します。

***カラーレシピ***
 ○70%:キャラクターブルー/GSIクレオス
 ○17%:ミッドナイトブルー/GSIクレオス
 ○ 8%:色の源シアン   /GSIクレオス
 ○ 5%:色の源マゼンダ  /GSIクレオス
 ○適量:フラットベース  /GSIクレオス

~腕と足~
腕の一部と足には調色した赤を塗装します。
この赤は後述の「重ね吹き」による赤とは異なります。

***カラーレシピ***
 ○87%:マルーン   /GSIクレオス
 ○ 8%:モンザレッド /GSIクレオス
 ○ 8%:色の源マゼンダ/GSIクレオス
 ○適量:フラットベース/GSIクレオス

~内部フレーム~
内部フレームは「ブルーグレー」を基調に、明るさを変えた塗料やで立体感の表現を目指します。
また、外から見えそうな所には、色分けをしていろんな装置が組み合わさっている感じを表現します。
この色を基準に明るさを変えて吹き重ねるので、少し多めに作っておきます。

***カラーレシピ***
 ○100%:ミッドナイトブルー/GSIクレオス
 ○ 1滴:クロームシルバー /GSIクレオス
 ○適 量:フラットベース  /GSIクレオス

~スラスター/動力パイプ~
機体の数カ所に配置されているスラスターと動力パイプには「金属色+クリアカラー」の吹き重ねによって透明感のある金属表現をします。
前作QUBELEYでは「手、あしくび、パイプなど」に使用した技法で、今回は「クリアレッド」を塗装します。
すでに調色されたものが市販されていますが、赤紫に近い色だったので、原色塗料を混色して原色の赤に近い色にします。

***カラーレシピ(クリアレッド)***
 ○ 60%:色の源マゼンダ    /GSIクレオス
 ○ 40%:色の源イエロー    /GSIクレオス
 ○クリアー(上記の約5割量を添加)/GSIクレオス

~火器~
ライフルとバズーカには磨くと金属光沢を放つユニークな塗料で塗装します。
これは、エアガンの塗装に使用する塗料で、コンパウンドで磨くと鈍くも美しい金属表現が得られます。
通常の「メタリック塗料」と異なり、磨いたあとは金属粒子があまり目立たないうえに、触っても曇りにくいのが特徴です。

ただ、この塗料は塗膜が厚くなり易いので、テスト吹きをしてあまり塗膜が厚くなるようなら、ラッカー塗料に切り替える予定です。


<そのほか>
~フラットベース~
フラットベースとは、塗料のツヤを抑える効果がある塗料添加剤の事です。
乾燥すると光沢を放つ塗料に混ぜると「つや消し」表現が出来ます。
混ぜる量でツヤの具合を調整するので、塗装しながら追加する事もあります。
こちらは、GSIクレオスの「フラットベース」です。


~カラーレシピの1滴について~
前述の「1滴」とは「調色スティク」のスプーン1さじ分のことです。
この「調色スティク」は両端が「計量スプーン」「撹拌ヘラ」になっているもので、調色の時には便利な道具です。




さて、塗料の準備が完了です。
それでは、さっそく始めましょう!


<金属表現>
さて、塗料の準備も整いました!
さっそく塗装に入りましょう。
まずは、メタリック塗料を使っての金属表現です。
対象のパーツはこちら。


いきなりですが、まず全体に「黒」を塗装します。
使用するのは「ウィーノブラック」という光沢のある黒です。

「なぜ、銀を塗るのに黒を塗るの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は、メタリックは隠蔽力(他の色を覆い隠す強さ)が高い塗料なのですが、塗装下地の色と平滑さの状態によっても仕上がりが変わるのです。
白い色の上から吹き付けると、「アルミ」っぽい軽い色合いになり、黒い色の上から吹き付けると、「ステンレス」の様に重厚な仕上がりになります。
また、光沢のある下地に吹き付けると「磨いた金属」の様になりますし、ざらざらの表面に塗装すると「鋳物」の様な仕上がりになります。
同じ塗料でも、吹き付ける量/吹き付ける回数/下地の状態で様々な素材感を表現する事が出来るので、表現の幅が広がります。
ここでは、後に「クリアレッド」重ね吹きするパーツもあるので、しっかりと金属色が出るように塗装をしておきます。



ブラックが乾燥したらシルバーを塗装します。
使用するのは「クリアレッド」を重ね吹きするパーツには「スーパーファインシルバー」それ以外のパーツには「スーパーチタンシルバー」です。


パーツの方向を変えて、薄く何度も吹き重ねて塗装します。
1回目。凹んだ部分を狙って塗料が溜まってしまわないように吹き付けます。


2回目。1回目で吹き残した部分に吹き付けます。


3回目。全体的に吹き付けてムラをなくすように吹き付けます。


こちらの写真は「スーパーファインシルバー」をベースホワイトの上から塗ったもの(左)と、「ウィーノブラック」に「スーパーチタンシルバー」を塗ったもの(右)です。

分かり辛いのですが、実際にはベースホワイトの上から塗った方はほんの少し青みがかかったように見えます。


<クリアーレッドの重ね吹き>
「スーパーファインシルバー」を吹いたパーツに「クリアーレッド」を吹き重ねます。
ポイントは吹き重ねるごとに色が濃くなるので、吹き付ける回数に気をつけることです。
対象のパーツはこちら。


パーツに「クリアーレッド」を吹き付けます。
この時のポイントは、始めの2,3回は薄く吹き付けて乾燥させてからもう一度塗るようにすることです。

いきなりたっぷり吹いてしまうと、乾燥する前に「クリアーレッド」が下のシルバー塗面を溶かして、シルバーの粒子がクリアー層に浮き出すことがあります。
こうなるとせっかくの金属感が損なわれてしまうので、始めのうちは「薄く」何層か塗ったら、目的の色合いを目指すのがコツです。

根気よく吹き重ねるごとに、目指す色合いになりました。


写真では真っ赤に見えますが、実際にはメタリックな赤です。。。
始めのうちは数えていたのですが、うまく発色してくれたので嬉しくなってしまい、何層重ねたか分からなくなってしまいました。。。
おそらく、9層くらいは塗っていたと思います。

2種類の金属表現塗装が終了しました。
クリアーレッドを吹き重ねたパーツは独特の透明感を放っています。
メッキパーツには透明感のある金属色がよく映えそうです。


さて、まだまだ塗装を待っているパーツはあります。
次回は火器類と内部フレームパーツの塗装工程をご紹介します。

お楽しみに!
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[MSN-00100] HYAKU-SHIKI「百式」 #2-2

2011-11-22 00:52:26 | MSN-00100 Hyaku-Shik

《創作の秋はプラモをつくろう!》
作品のテーマ:「さりげない精密感と使用感」

加工したパーツに下地塗装の工程と、パーツのちょっとした追加工作をご紹介します。
下地塗装の目的は、パーツの合わせ目消しをしたときや、バリやヒケ取りで発生した微細な加工キズを埋め、後の塗装で塗料の定着と発色を良くすることです。

下処理の段階で合わせ目を消した時に使用したパテは、パーツの樹脂色が異なる場合があります。
そのまま淡い色などを塗装すると、パテの色が透けて発色に影響します。
これを避ける為に下地塗料の色で一旦「色を揃える」というわけです。

<下地塗装 (サーフェイサー吹き)>
さて、今回は塗装下地に「ベースホワイト」という下地塗料を使用します。
仕上がりとしては、「キメの細かいサーフェイサー」といった感じです。
スプレー缶に入っているのですが、今回はこれをエアブラシに移して吹き付けます。

対象のパーツはこちら。



<スプレー缶塗料の移し替え>
前作QUBELEYの下地塗装をした時に感じたのですが、ガンプラには複雑な形状のパーツが多数あるので、スプレー缶だとすみずみまで塗料が届きにくく、下地塗料が厚くなってしまう事がありました。

そこで、今回はエアブラシによる下地塗装を行います。
移し替える方法はいくつかあるのですが、手っ取り早いのはエアブラシの塗料カップに吹き付ける方法です。
(見えやすいように、「グレー」タイプのサーフェイサーで行っています。)

移し替える前に、エアブラシに大きめの「塗料カップ」を装着して、スプレー缶の噴出口を塗料カップのヘリに当てます。


スプレー缶のボタンに入れる力を「じわじわと強めて」押して、塗料カップの中に集めます。

「スプレー缶のボタンを押す力加減(じわじわと)」と「塗料カップの1/3くらいで止める」こと、「塗料カップの淵に沿って吹き付ける」にさえ気をつければ、飛び散らずに塗料を集める事が出来ます。

今回は、下地塗装が必要なパーツは全て、エアブラシに移し替えた塗料で行いますが、複雑な形状のパーツだけこの方法で採取した下地塗料を使って、あとはスプレー缶で全体を吹くと効率的です。

<下地の吹き付けの手順>
下地塗料の準備が出来ました。
吹き付けの手順は次の通りです。

・全体に軽く吹き付ける
・吹ききれなかった入り組んだ所に先ほどより厚めに吹き付ける
・全体に均一に吹き付ける

まず全体に軽く吹き付けます。
エアブラシとパーツを離し気味にして、一カ所に吹き付き溜まってしまわないように気をつける事がポイントで、粉を吹いたみたいな状態にします。


つづいてパーツの角に吹き付けます。
パーツを動かさず、エアブラシの方を動かして吹き付けます。

あまり濃く吹き付け無いことがポイントです。

そして、全体に吹き付けます。
エアブラシ塗装は「一定方向に同じ早さ」で吹き付ける箇所を少しづつ、ずらして塗るのがコツです。
例えるなら、「写真をプリントアウトしているときの、用紙とプリンターヘッドの動き方」といった感じです。

平面は直線的に、曲面は曲線的に塗装する面に追従するように動かすとムラ無く仕上がります。
「ベースホワイト」は乾燥が早いので、別の角度を吹いている時には始めのころに吹いた部分が乾燥しかかっています。
なので、乾燥時間は取らずに吹き付けます。


入り組んだ部分にもムラなくキレイに吹き付ける事が出来ました。

こんな感じで他のパーツにも「ベースホワイト」を吹き付けました。



<追加工作>
製作方針では「ストレート組み=無改造」としていたのですが、組み立ての都合で「足首のパーツ」に追加工作が必要になりました。

上の写真左は「足首」のパーツです。
このパーツに『ここ。』とマークした部分には、右側の写真にある「油圧シリンダー」のようなパーツを挟み込む様になっていた。
ただ、「足首」パーツは合わせ目を消して、「油圧シリンダー」パーツとは別の色に塗装をしたかったので、後から「油圧シリンダー」パーツを組み込めるようにします。
追加工作といっても『切除』のマークをしてあるピンを切り取り、プラ棒を後から差込むことが出来るように加工するという簡単なものです。

ピンをニッパーでパッチンして、その跡の中心に「ピンバイス」で穴を開けます。


差込むプラ棒は、ピンの幅とほぼ同じ2mm幅です。これを先ほどの穴に差込んで、とりあえず長めに切って完了です。



下地塗装と追加工作が完了しました。
大きなトラブルもなくスムーズに作業が進みました。

次回からはいよいよ塗装工程をご紹介します。
お楽しみに。
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[MSN-00100] HYAKU-SHIKI「百式」 #2-1

2011-10-30 23:02:06 | MSN-00100 Hyaku-Shik

《パーツが奇麗に仕上がると、テンションが上がります》
作品のテーマ:「さりげない精密感と使用感」

前回に「バリ」処理をしたパーツは洗浄してから、乾燥させておきました。
今回の記事では、パーツの加工と一部組み立てをします。



<パーツの加工>
組み立て説明書と完成写真をよく見てみると、分割されているパーツの合わせ目がキレイに消されている部分があります。
合わせ目を消す作業が必要なパーツは、今の段階で組み立ててパーツの合わせ目がわからないように削り込んでおきます。
対象のパーツはこちら。


<膝パーツの加工>
膝は3つのパーツで構成されていますが、このうちダクトが付いているパーツは別の色で塗る必要があります。

マスキングも考えたのですが、工数ばかりかかりそうなのでダクトの付いたパーツの一部を切り離して、後から組み付けられるようにすることにしました。
切り離す位置を決めたら「エッチングソー」という薄刃のノコギリで切り離して、ピンを差し込む穴が「Uの字」になるように切り込んでおきます。


切り離したダクトを後から差込めるように加工できましたので、これで複雑なマスキングを必要とせずに済みそうです。
ダクトは塗装工程まで保管しておきます。

<パーツの接着>
組み立ては接着剤を多めに塗って、圧着し乾燥を待ちます。
少しはみ出すくらいに塗って、後から削るという目論見です。


火器もこの段階で組み立てておきます。
このキットにはライフルとバズーカが用意されていますが、比較的長いパーツなのでそのままはめ込むとモールドがズレたりする可能性があります。
そこで、はめ込みピンを切り離してモールドを合わせながら、接着剤を流し込んで組み立てることにします。

接着剤で溶けた樹脂がはみ出していますが、乾燥後に削り落とすので、このままそっとしておきます。

続いてライフルですが、メッキのパーツを挟み込んで組み立てる様になっていました。

こちらはメッキパーツにマスキングを施して組み立て、塗装後にこのマスキングを剥がすことにします。
「マスキングゾル」をすこし厚めに塗り、乾燥したら組み立てます。

こちらも接着剤を多めに塗って乾燥を待ちます。

<合わせ目消し>
接着剤が乾燥したのでペーパーをあてて、合わせ目を消します。
ペーパーをあてる時のコツは、削りたい部分がある面の全体にまんべんなく削れ具合を見ながら均一な面を目指す様にあてることです。
合わせ目を消す事だけを意識しすぎてペーパーをあてると、その部分だけが削れた形になってしまいます。

合わせ目が平面上にある時は、その面全体を均一にする様にペーパーをあてると「シャープ」な印象になります。


ペーパーをあてていると、消しきれない合わせ目が見つかりました。
「パテ(白)」を盛りつけて、乾燥後ペーパーをあてておきます。



<溝つけ加工>
パーツと完成写真をにらめっこしている内に、脛のパーツは合わせ目消しをしない事にしました。
パーツ片方の合わせ目に溝を彫り込んで段差を作り、合わせ目をモード化してしまおうと言うものです。
前作QUBELEYを制作した時に「なるほど」と思ったところで、こうすればパテのお世話にならずにすみますし、バラバラに近い状態で塗装が出来るので、細かいマスキングが出来そうです。


早速加工を行います。
使用するのは「デバイダー」という製図に使用されるコンパスのような文具です。
脚の先端が両方とも針状になっているので、等間隔の線をケガくのに重宝します。


彫りたい溝の幅を決めたら、慎重にケガいて、ケガいた横側からケガいたところまでナイフを入れて段差を作ります。


段差部分にペーパーをあてて、滑らかにしておきます。


キレイに段差が出来ました。右が加工前で、左が加工後です。


さらに、バックパックも複数のパーツがあります。

このうち、ダクトが刺さる部分に溝をつけておきます。



パーツの加工と一部パーツ組み立てが終わりました。
加工後のパーツには、削った粉や手の油分が付着しているのでよく水洗いして乾燥させます。

次回は、ちょっとした追加工作の工程と「サーフェイサー」を吹き付ける工程をご紹介します。
お楽しみに。
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[MSN-00100] HYAKU-SHIKI「百式」 #1-2

2011-10-12 23:40:23 | MSN-00100 Hyaku-Shik

《バリ処理した後に掃除機をかけ忘れると、裸足で踏んだ時にチクい思いをします》
作品のテーマ:「さりげない精密感と使用感」

前回の記事で切り離したパーツに残した「バリ」をカッターナイフで削ぎ落として、「紙ヤスリ=ペーパー」を使用して切り口を整える作業をします。
(カッターナイフはよく切れる物を使用しますので、怪我には注意して作業しましょう。)

今回の作業で使用する道具類です。

※写真の上から
・カッターナイフ(折れ刃式)
・デザインナイフ(柄を短く切って取り回しし易くしたもの)
・プラバンに貼ったペーパー(1000番と800番をそれぞれ両面に貼ったもの)
・800番のペーパー
・1000番のペーパー
・ニッパー


<ペーパーについて>
すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、「ペーパー」について少し…

「ペーパー」とは紙や布に研磨粒子を定着させた「紙ヤスリ」のことです。
用途は素材の形を削って整えたり、滑らかに磨き上げる為の消耗品です。
模型専門店はもちろん、ホームセンターの日曜大工コーナーなどで販売されています。

この研磨粒子には粒の大きさがあります。
その大きさ(目の荒さ/細かさ)は「番手」という数字で表されており、数字が大きくなるほど細かい研磨粒子がつけられています。

「番手」の数字が小さいものほどよく削れますが、削りキズも深くつきます。
主に大まかな形を削りだす際に使用します。
逆に「番手」の数字が大きいものほど削れにくくなりますが、削りキズがつきにくく、滑らかな仕上がりになりますので、こちらは仕上げの研磨に使用します。
また「ペーパー」には「番手」の他に用途に応じていくつかの種類が用意されています。

・木工などに使用されるもの (いわゆる木工用 紙ヤスリ、水に濡らすと研磨粒子がはがれる)
・使用時に水や油をつけて使用するもの (いわゆる耐水ペーパー、水を垂らして使用して目詰まりを抑える使い方が出来る)
・台紙に布を使用して耐久性を高めたもの (耐水ペーパーの台紙が丈夫な布製)

プラモデル制作には「耐水ペーパー」を多用しています。

一カ所に1種類の「番手」を使用するより、荒いもの→細かいものの順に使用すると、滑らかな表面になってゆきます。
私がプラモデルを制作する場合、使用する順番としては…
ヒケや形状補正には600番→800番
塗装の下地処理には800番→1000番
塗装後のスプレー痕消しや、鏡面仕上げには1500番→2000番
の順で使用しています。
※ 鏡面仕上げは「コンパウンド」を使用しますが、これについては別の機会にご紹介します。


<道具の自作>
冒頭にある道具の写真に「プラバンに貼ったペーパー」がありますが、これは自作の道具で、直線的に形を整えるときに使用しています。
なくても良いものではあるのですが、ペーパーをかけるときにフリーハンドで行うと、「パーツの角」が丸まってしまい易いので、シャープな仕上げをしたい所に使用しています。
両面に荒さの異なるペーパーを貼ってあり、消耗してパーツが削りにくくなったときには、交換出来るように工夫してあります。

~材料~
・プラバン(5mm厚)
・マスキングテープ(17mm幅)
・ペーパー800番と1000番


~作り方~
いたって簡単です。
マスキングテープの幅に切り出したプラバンにマスキングテープを貼っておき…


両面テープでプラバンに貼り付け、余分な部分を切り取るだけです。


交換する時はマスキングテープごと剥がしてしまえば、キレイに貼り替えることが出来ます。



<パーツの切り口を整える>
道具の準備ができたら、さっそく切り離したパーツの切り口を整えます。

まずは「バリ取り」です。
前回の記事で切り離したパーツは余裕を持ってカットした為に「バリ」が発生してます。
これを3方向からナイフを入れて丁寧に削ぎ落とします。

コツは「刃を押し当てるのではなく、刃を引いて切り取る」ことです。
また、削ぎ取る時はパーツ側に向かって刃を進めると、刃がパーツにめり込んで余計な部分まで切り取って凹みになるので、パーツの外側に逃がすように引くようにします。
「バリ」の根元からパーツの外側へ向けて刃を滑らすように引きます。

上の写真では見えづらいのですが、ナイフを当てている「バリ」のすぐ下側には「すでに削いだバリ」があります。
この「バリ」は横から見ると直角三角形の形をしています。
こんどは反対側から同様に削ぎ落とします。
すると「バリ」は山形になるので、「バリ」のついている面に刃を平行にあてて、滑らすように削ぎ落とします。

なぜ、三回もカットするのかというと、「バリ」を一度に削ぎ落とそうとすると、切り取れる寸前にパーツの部分が一緒にちぎれてしまう場合があるためです。
太い「バリ」ほどこの傾向があるようですので、手間はかかりますが三方から「バリ」を削ぎ落としています。

写真は別のパーツですが、サーフェイサーがかかっていない「四角形」が「バリ」あった所です。

続いてペーパーを当てて、ナイフでは削ぎきれなかった部分を均一にならして、ついでに「ヒケ」取りをします。

このバリのある面に「ペーパー」軽くあててみます。


サーフェイサーが削れている所と、そうでない所が判別出来るようになります。
つまり、削れていない部分が「ヒケ」ている(僅かにくぼんでいる)と言うことになります。

今回はこの「ヒケ」をキレイに処理する為にあらかじめ薄くサーフェイサーを吹いておいたのです。

サーフェイサーが見えなくなるくらいまで、削り込みました。
「ヒケ」ごと「バリ」を削り取ることで均一な表面になります。

ペーパーをなるべく直線的に動かして「角」が丸くならないように気をつけることが、シャープな仕上がりへのコツです。
このように、平面に見える部分には「バリ」取りと平行して「ヒケ」取りも行っておきます。

前作QUBELEYに比べれば複雑な曲面が少ない分、「ヒケ」取りは手際よくすすむ気がします。

パイプ状のパーツは細長く切ったペーパーの両端をもって、のこぎりをひくような感じで「パーティングライン」を消しておきます。


「バリ」取りが終了し、外観に影響しそうな部分の「ヒケ」も取りました。
作業後のパーツは削りカスが付着しているので、中性洗剤を少量加えた水の入った容器に漬けておきます。



なんだかパーツが少ないなと思っていたら、メッキパーツと「ABS樹脂」パーツが残っていました。
これらのパーツは、後の工程で処理をします。

次回は「ヒケ」を取ったパーツの一部組み立てと整形をご紹介します。
お楽しみに。
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[MSN-00100] HYAKU-SHIKI「百式」 #1-1

2011-10-01 21:48:32 | MSN-00100 Hyaku-Shik

《イメージが膨らんで、気分はエンジニアです》
作品のテーマ:「さりげない精密感と使用感」

<パーツの下処理と整形>
さて、いよいよ制作開始です。
メッキパーツはキズがつくのを避ける為に、使用するときまで購入時の袋に入れて保管しておきます。

それ以外のパーツは、今回はパーツを切り出す前に「サーフェーサー」を吹き付けるため、事前に中性洗剤で洗浄しておきました。

プラモデルは金型に溶けた樹脂を流し込む事によって、製造されています。
このとき金型から取り出し易くする為に、離形剤が使用されておりパーツに付着しています。
この離形剤は塗料の定着を悪くする原因となりますので、中性洗剤と歯ブラシでゴシゴシとよく洗い、水垢が残らないようによく乾燥させておく必要があります。
私の場合は、エアブラシで水滴を吹き飛ばしてから乾燥させています。


<サーフェーサーの吹き付け>
今回はパーツを切り出す前に一部のパーツに「サーフェーサー」を薄く吹付ける事にしました。
これは、前作QUBELEYを制作した時に感じた事なのですが、このキットにも「ヒケ」がずいぶんと存在するんです。
塗装にかかってから発覚すると、その修正の間塗装出来なくなってしまうので、下処理の一環としてあとで困らないようにする為の工夫です。

「ヒケ」を処理するときに分かり易くする為の物なので、塗装下地のようにたっぷりとは吹き付けず、軽く樹脂の色が透けて見える程度に留めておきます。
それと、パーツを切り離したあとに出来る「バリ」を目立たせる目的もあります。

対象のパーツはこちら。

クリアパーツも一緒に成型されていました。
このパーツは「ランナー=枠」ごと切り離して保管しておきます。


使用した「サーフェーサー」はグレータイプの物で、エアブラシに移して全体的にごく薄く吹き付けました。
ムラがあるように見えますが、この後の工程でほとんど削り落とす事になるので、今回はこの程度にしておきます。


「サーフェーサー」を吹き付ける箇所は、「ヒケ」が発生しそうな平面と、パーツと「ランナー」の間にある「ゲート」と呼ばれる付近です。

樹脂色のままでは分かりにくい「ヒケ」や、製造段階で金型の合わせ目に流れ込んだ樹脂による「パーティングライン」が判別し易くなりました。



<パーツの切り離し>
「サーフェーサー」が乾燥したので、パーツを切り出してゆきます。

まず、いったんパーツを切り離してから「バリ」を処理しますので、パチパチと景気よく切り離してしまいます。
この時のコツはパーツのギリギリのところで切り離さずに、矢印でしめしたあたりを切り取ります。
これはパーツのギリギリに切り離すと、場合によっては切断面が「えぐれる」ように切れてしまう事があるためです。


先ほどの矢印のあたりにニッパーを忍ばせて…「パチン!」です。


切り取ったパーツはこのように切り残しがあります。
「バリ」と呼ばれるこの部分は、後の工程でキレイに削ぎ落としてしまいます。


小さいパーツなどは、切った拍子に飛んでいってしまう事があるのですが、パチパチと小気味よく切り離すこの作業はとっても楽しいです。
このとき、左右の別があるパーツであとで判別がつかなくなりそうなパーツには裏面にパーツ番号を書き込んでおきます。


パーツを切り出すときは、無くさないように、いったんおかしのトレーに入れています。


今回の作業では、いくつかのパーツは切り出さずにそのままにしてあります。

上の写真で右半分と上部に位置する「ポリキャップ」と「クリアパーツ」は組み立て時に使用するまでこのまま保管しておきます。
同写真左側のパーツは「ABS」という「衝撃に強い樹脂」で出来ています。
「ABS」は模型塗料に触れると「もろくなる」性質があるので、他のパーツと区別するために、今の段階では切り出さずに取っておく事にしました。

パーツの切り出しを終えて、袋に入れて保管です。


切り離すと、箱にすっきり収まりますね。

完成へ歩みだしたパーツ達が、次の加工を待っています。この感じが何となく好きなのは私だけでしょうか。。。

さて、次回の記事では「バリ」を「ナイフ」と「紙ヤスリ=ペーパー」で奇麗に整える作業をご紹介します。
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