さて、ホートで「謎の置き去り事件」に遭遇したサヨコさん。
実は、アンコールワットを訪ねたシェムリアップでわが宿の噂を聞いたのだという。
たまたま見つけた「かものはしプロジェクト」というNGOの運営する手芸品の店を覗いたところ、ボランティア・インターンをやっている若い女性が「いいところみたいですよお。わたしもぜひ行ってみたいんですけどねえ」と言い出したのだそうな。
「かものはしプロジェクト」といえば、つい先日わが村の娘の結婚式のために再訪してくれた美麗さんがインターンをやっている団体ではないか。
ということは、その女性はあの美麗さんの仲間ということになる。
うーむ、なんとも不思議な巡り合わせだなあ。
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仲間のお膳立てに乗せられて、さしたる計画もないまま弾みのように初の海外、そして初の一人旅に出た。
とりあえずバンコクに着いて、カンボジアのアンコールワットへ。
それからなんとなくラオスに入り、ゆったりと北上する旅を続けていたら、いつの間にか1ヶ月が過ぎていた。
そろそろタイへと思い、国境の町フェイサイからわが宿に問い合わせのメールを送る。
こちらからの返信を見て、すぐさま対岸のチェンコーンに移動しチェンマイ行きのバスに飛び乗ったのだという。
そして、一泊後、午後2時のバスでオムコイへ。
中間地点のホートでドタバタ騒ぎのあったことは、前回の記事に書いた通りだ。
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翌朝は、この時期には珍しいほどに冷え込んだ。
この数日、昼間は気温が30℃を超え、まるで春一番のような熱風が吹くのだけれど、朝方の気温がなかなか上がらない。
去年同様の異常気象が続いている様子で、ラオスの北部もかなり寒かったそうである。
寒がりの女将ラーが、さっそく裏庭の手入れを兼ねて焚火をおこす。
サヨコさんも熱い薬草茶のカップを手に焚火のそばに。
その熾火を使って、青唐辛子、大唐辛子、ミニトマト、ミニ玉ねぎなどを焙る。
カレン料理の定番ナムプリック(唐辛子味噌)の下ごしらえである。
日本では昔ながらの和食の店に関わったこともあるという彼女から「村の人が普段食べている食事を」というリクエストがあったのだ。
あれこれと手伝ってもらい、できあがったナムプリックに温野菜を浸して食す。
北タイの代表的おかずサイウア(薬草入り腸詰め)と昨夜大量に作ったトムジュッも添えた。
「あ、おいしい! いろんな味が混じり合っている感じですねえ」
辛さ抑えめとはいえ、なかなかの食べっぷりだ。
こりゃあ、今後が楽しみだなあ。
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当日は、日曜日。
食後は、わが村訪問のきっかけにもなった教会での日曜礼拝に案内した。
クリスチャンでなくとも、カレン服で盛装した人々が集まってくる様はなかなかに壮観なのだ。
戻ってきた彼女に話を訊くと、今日はメーホーソーンにおけるカレン族難民キャンプのビデオ上映がメインで、教会バンドに乗せた賛美歌演奏は締めの1曲だけだったそうな。
普段は、振り付きの演奏と愉快な説教がふんだんに楽しめるのだが、あいにくだったなあ。
その後、彼女は割り竹のテラスに寝転んで読書など。
昼食は、村の入り口にある麺屋でクッティアオ(タイラーメン)を、焼きもの屋でサイクロー(発酵米の腸詰め焼き)を共に平らげたそうだ。
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夕方になって、川向こうの棚田と展望台に。
途中の橋下では、投網を打つ村人の姿が見られた。
東京生まれ、東京育ちでこうした農村風景には馴染みがないそうだが「なんとなく懐かしい感じ」がするという。
360度の山並み風景を眺め、山風に吹かれつつ遠くから響いてくるカウベルの音に耳を澄ます。
サヨコさん、村の農作業や暮らしに関するひととおりの説明を聞いたあと、ひとりで高台の散策に向かった。
いずれは日本のどこかで農業に挑んでみたい。
そんな夢をもつ彼女だけに、胸中にいろんな思いが沸いてきているのだろうなあ。
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その日の晩飯は、丸茄子とミニ玉ねぎ、プラトゥヌン(鯵に似ている)をベースに各種薬草、香草、唐辛子で和えた北タイ料理。
かなりの辛さなのだが、サヨコさん、やはり「おいしい!」を連発。
「見かけはシンプルだけど、やっぱりいろんな味が混じり合った複雑な味わいですねえ。日本の料理はそれぞれが独立した味わいなんだけど」
さすがに専門家らしい意見で、ご飯のお代わりもしっかりと。
食後は昨夜から戻って来た満天の星を仰ぎつつ、ラオスの旅の話など。
日本ではマウンテンバイクやカヌーを趣味にしていたそうで、カヤックをやっていた番頭さん、久々に御岳や長瀞、四万十川など懐かしい流れの情景やパドルの手応えを懐かしく思い起こした次第。
いやいや、まことにもって不思議な巡り合わせではある。
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ああ、そうだったんですね。「みれいさんじゃなかった」という話だったんで、お仲間かと思っていました。彼女、オムコイがすっかり気に入って、今朝は水曜朝市を楽しんでいましたよ。
この方、多分私がお店でオムコイのことを紹介した方ですね!確かオムコイへ行った直後で、お店に立っていたら彼女がいらっしゃって、バックパッカーということで少しだけ話をさせていただいたんです。
オムコイきっと好きですよ、っておすすめした記憶があります。
どうか楽しんでいただけますように!