【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【のんびりプカプカから急転直下】

2015年02月20日 | オムコイ便り

 春(?)の兆しは濃厚だというのに、朝の冷え込みがなかなか去らない。

 ゲストと一緒に熱い薬草茶を啜りつつ焚火を囲む。

 朝飯も、朝日が当たる裏のベランダで日向ぼっこをしながらだ。

 もともとは私の書斎を作るはずだったベランダ、今は物干、物置、犬の寝場所、さらには鶏の産卵場所と滅茶苦茶な状態なのだが、

「ゲストは家族みたいなものだから、マイペンライだよね」

 女将の能天気な言葉に、サヨコさんも「かえって嬉しいですよお」

 この状況を楽しんでくれている様子だ。

 普段は煙草は吸わないというのに、試した村の手巻き煙草がすっかり気に入ったサヨコさん、食後は番頭さんと一緒に日だまりの中でのんびり、ぷかぷか。

 そう言えば彼女、村の薬草入り焼酎にも惚れ込んで毎晩楽しんでいるんだよなあ。

     *

 昼過ぎになって、ネットチェックを兼ね町のコーヒーショップに。

 昼食は、交差点角の食堂でひとり歩きではなかなか食べられないラッナー(とろみスープ平麺)を持ち帰りにした。

 夕方になって、古い竹橋を渡るミニ・トレックに。

 棚田を突っ切りながら、田植えや稲刈りの様子を説明する。

 将来の農営をめざすサヨコさん、時間をみては各地の農作業の手伝いに出かけているそうなのである。

 今日も雲ひとつないオムコイ晴れだ。



 渓谷沿いでは、すでに新緑盛んな樹木も見られた。







 クライマックスは、かなり傾いてきた竹橋渡り。

 怖々と渡り終えたサヨコさん、「これはスリルがありますねえ」

 それでも、公開できないのが残念なくらいに楽しそうな笑顔の写真も撮れたのだった。
 
 晩飯は豚ハム、豚ソーセージと各種の野菜をレモン味であえたヤムサラダ。

 これまた好評だったのだが、またまた写真を撮り忘れたわいなあ。
   
      *

 さて、これは私事なのだが、2日前にハンドンに住む甥っ子の嫁から衝撃的な連絡が入った。

 甥っ子が危篤状態だというのである。

 数ヶ月前に発症したのだが、甥っ子が「皆に心配させたくない」と頑なに家族への連絡を拒み、そうこうするうちに医者にも見放されてしまったのだという。

 ラーが家族や親戚の間を走り回り、医者に連絡を入れ、ともかくも村に連れ帰るしかないという結論が出た。

 翌朝、ラーが数人の家族と共にハンドンへ向かった。

 サヨコさんも心配しきりなのだが、ともかく再びネットチェックに。

 その後、彼女は町をぶらぶらしたり、町外れのワット・セントーンへ行ったり、一人歩きを楽しんだそうだ。

     *

 3時過ぎにラーから戻ったという連絡が入り、甥っ子の嫁の実家へ走った。

 ふとんに横たわった甥っ子の姿を見て、愕然となる。

 すでに、口もきけない状態だ。

 こちらの医者も、手の打ちようがないという。

 そこへ今度は、隣村の親戚が亡くなったという知らせが入る。

 ラーが子供の頃に世話になった老人で、こちらの通夜にも走らねばならない。

 サヨコさんにも手伝ってもらい晩飯を済ませ、ラーとサヨコさんが通夜に向かった。

 念のために私は家に居残り、サヨコさんには博打で賑わうカレン族独特の通夜の様子を見てもらおうということになったのだ。

 ところが、10時前になって甥っ子の家族から連絡が入る。

「たった今、息を引き取りました」

 な、なにい!?

 まさか、こんなに早く・・・。

     *

 翌朝、一睡もせずに疲れ切ったラーが家に戻ってきた。

 家族や親戚が葬儀の準備のために押しかけてくる。

 あたりがざわめいて、サヨコさんも落ち着かない様子だ。

「・・・もっと居たかったんですけど、邪魔になるのも悪いので午後のバスでチェンマイに戻ることにします」

 ゲストには、実に気の毒なことになってしまった。

 しかし、この雰囲気では無理に引き止めるわけにもいかない。

 ともかくも約束だった水曜朝市に案内し、昼過ぎに町まで送った。

 ラフ族の野菜売りなどで賑わった水曜市見物を、大いに楽しんでくれた様子がせめてもの救いとなった。

 これに懲りず、機会があったらまた田植えの時期にでも!

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