寒さが、段々厳しくなってくる。
寒がりのラーは、ついに「長年の夢だった」という羊毛布団を私に黙って買い込んできた(私に相談すると「日本に較べれば全然寒くない」と却下される)。
厚い掛け布団との二枚重ねを、ご丁寧に毛糸の帽子までかぶった頭からひっかぶり、猫のように丸くなって眠る姿をみると、
「いったい何年山岳民族をやっているんだ?」
と言いたくもなるが、防寒具の足りないさらに山奥では急な冷え込みで老人が亡くなったりするから、彼らにとってはこの寒さを侮ることはできないのだ。
だが、私にとってこの二枚重ねは暑すぎて、ときおり掛け布団をはがしてしまうので、明け方にかえって寒い思いをする羽目になる。
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本当の寒さを実感したのは、3日前の夜の水浴びからである。
家の貯水タンクはポリ製だからそれほどでもないのだけれど、店の方はコンクリート製なので、嫌になるほど冷たくなる。
体と髪を洗って、最後に頭から水をかぶるときは、思わず「ウウッ」と声が出て胴震いするほどだ。
この情けない「ウウッ」が気に入らないので、昨夜は自ら「エイッ!」と大きな声で気合いをかけてみた。
うん、この方がずっと男らしいし、震えもこない。
なんだか、『剣客商売』のワンシーンみたいでカッコいいぞ。
すると、裏庭でそれを聞きつけたラーが水浴び場のドアを叩いて大騒ぎする。
「どうしたの?大丈夫?何があったの?鍵をあけてよ!」
「どうもしないよ、ただの気合いだよ」
日本語でそう言っても、ラーに通じるはずがない。
“気合い”を英語で説明するのも面倒だし寒いから、「なんでもない、心配するな。あとで話す!」と怒鳴ったら、やっと静かになった。
水浴びを済ませ焚火を囲むと、「病気で倒れたのかと思って、本当に心配したんだから!さっきの声、いったい何だったの?」
日本よりも全然寒くないと威張っている以上、「水が冷たいから気合いを入れた」なんて口が裂けても言えない。
「ああ、あれか?まあ、サムライの修行みたいなもんで、日本の強い男はああやって大声を出して精神を鍛えるんだよ。まあ、寒がりのお前さんには分からんだろうがな」
「嘘だよ、寒いからに決まってるでしょ。さてと、あたしはクンターみたいに意地は張らずに、あったかいお湯を沸かすことにしようっと」
ニヤニヤしながら、水を満たした鍋を火にかけた。
ま、まずい。すっかり、読まれていたのか。
しかし、冷水をかぶったあとは体がぽかぽかしてくるし、このところ体調がよく風邪もひかない。
心無しか、腹も引き締まってきたような気がする。
まあ、来年2月になれば気温は上がり出し、子供たちは早くも川遊びを始める。
わずか、一ヶ月少々の辛抱、もとい「修行」である。
今夜はラーに気取られないよう、「ムッ!」という無音の気合いで冷水に対抗した。
いやはや。
男は、辛いよ。
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個人支出でアジア各国の貧困地域に次々と学校を建設しているのですが、
この度オムコイの小学校でも、新校舎の建築と旧校舎の補強を手掛け、
今月の15日に完成引渡し式が執り行われたと海外報道で目にしました。
(哀しいことに日本では、絶対に報道されませんが・・・)
安倍元総理も式に出席されたそうですが、クンター知ってましたか?
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前にコメントしたか忘れてしまいました。
いつもクンターさんのオムコイ便りを楽しく読ませて貰ってます。
オムコイの水浴びは寒そうですね。
私は今は茨城に居ますがチェンマイに家を持っていて嫁さんと娘が住んでます。
家では温水シャワーですがランプーンの嫁の実家に泊まりで行くと水浴びです。
冷たい水が苦手なのでヒィヒィ言いながら浴びてます。
クンター様も風邪に気をつけて下さいね(^O^)
1月下旬から1ヶ月くらいチェンマイに滞在予定なので、宜しければお会いしたいです。
私も何度か、なかなか熱くならない、あるいは最後まで冷たいままの『電気温水器』の被害にあったことがあります。そんな思いをするよりも、初めから冷たいと分かっていた方が“気合い”が入りますよね。
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家康さん
町の小学校に通っている息子に聞いたところ、そんなことはなかったという答えでした。あったとすれば、大騒ぎになったことでしょう。たぶん、郡内の他の村の話ではないでしょうか。
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アシュトンさん
応援、ありがとうございます。今後とも、よろしく。
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シンシンさん
いつも、ご愛読ありがとうございます。チェンマイで年越しをすることになったので、水浴びが楽でいいなあと喜んでいるところです。
1月下旬は仕入れでチェンマイに来るかもしれませんが、時間があればオムコイにもお立寄りください。なお、いただいたメールアドレスは私のパソコン(MacOS)では識別できないようです。他のアドレスをいただければ幸いです。
あれこれネット検索をしてみたところ、
「アジアの子供たちに学校をつくる議員の会」というHPを見つけました。
http://www.k3.dion.ne.jp/~tour/
この手のHPに有りがちな寄付金募集の項目がないので、本当に自費で活動してるみたいです。
それによると、オムコイ村の先20KMの山岳地域と書いてありました。
クンターのおられる地域とは離れているのでしょうね。