【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【半歩、前進?】

2009年11月11日 | オムコイ便り
 11月5日、朝。

 整備も名義変更も済んだのだから、今すぐにもクルマを引き取ってもろもろの買い出しに走りたいのであるが、なにせ、縁起をかついで“私の誕生曜日である明日金曜日の午前8時59分に引き渡しを行う”という話になっているので、どうにも身動きがとれない。

 不信心な私が強引に事を運ぶのは簡単だが、信心深いラーやせっかく段取りをつけてくれたピムの心配りを無碍にするわけにもいかないだろう。

 そこでやむなく、雑然とした店の中をうろうろしては、調理場所や什器の配置、売れ筋商品の発掘(?)などを頭の中でシミュレートすることになる。

        *

 初めは、シャッター左側の店先で調理をし店内で食べてもらうという計画だったのだが、あれこれ話しているうちに、ラーが屋外の屋根付き駐車スペースで調理した方がいいのではないかと言い出した。

 彼女は、村の富裕層の若者や娘たちにリサーチをかけて、「多少値段が高くても、流行りのジーンズやすぐに破れないしっかりした女性用下着がほしい(タイ製の下着は洗濯機にかけるとすぐに破れるらしい)」という声を拾っており、それらの衣料品も扱おうと考えているのだ。

 そこで、店内で調理をすると衣料品に匂いが移ってしまう。

 しかも、前にも書いたように店先には一日中日が差して調理には向かないし、村の人たちも屋内よりも風通しのいい屋外での飲食を好むというのである。

 調理スペースも飲食スペースも屋外にしてしまえば、ビールや焼酎を飲む客たちを裏庭の飲食スペースにも誘導しやすい。

 そうすると、下着類をあがなう若い女性たちも酔っぱらいの好奇の目にさらされることなく、安心して商品を選ぶ事ができるというわけだ。

 うーん、なるほどなあ。

       *

 そうこうするうちに、家主である雑貨屋の旦那がスコップを手にぬっと現れた。

 そして、私たちが借りている店舗と隣り合ったもう1軒の貸家(まだ借り手がついていない)の間の屋根付きスペースの地ならしを始めた。

 

どうしたんですか?」

「いやね、クンターがクルマを買ったと聞いたから、むこう側の駐車スペースにはクルマを停めてもらって、こっちでクッティアオ屋をやればいいかなと思ったんだよ」

「え?だって、ここは隣家用の駐車場じゃないの?」

「そのつもりだったけど、向こう側にも土地は余ってるから問題ないよ」

 この話を聞いて、ラーは大喜びだ。

「それは助かるなあ。こっちの方が、裏庭にも行きやすいしね。クンター、ここをクッティアオの店にしようよ」

 まあ、雰囲気としては、竹の借景がある駐車スペースの方が優れているが、向こう側の隣家の庭には豚が飼われているし、トイレ用の浄化槽も近いことを思えば、飲食店の条件としてはこちらの方が勝るかもしれない。

 第一、目隠しの工事をする手間が省けるではないか。

 それにしても、家主夫婦のこのところの心遣いには頭がさがるばかりだ。

 もしかしたら、商売の右も左も分からない私たちの右往左往ぶりに、自分たちが見知らぬ土地で商売を始めたころの姿を重ね見て、放ってはおけない心境なのかもしれない。

 そういえば、扱う商品が雑貨屋とバッティングしないように気を使っているラーに対し、おかみさんは「そんなこと気にしないで、売りたい物をうればいいんだよ」と太っ腹を見せてくれたそうだ。

         *

 麺屋の配置が決まれば、あとは屋外にふさわしい木材や竹を使って、調理台や椅子・テーブルを作ってもらえばいい。

 あいにく、稲刈り・脱穀の真っ最中で、大工のノイヌックや手先の器用な従兄弟のマンジョーには時間がない。

 彼らに手伝ってもらい、開店にこぎつけるまでは、もう少し待たねばならないだろう。

 私自身も、すでに2週間にも及ぶネット不通問題を解決する必要があり、17日には“90日以上滞在届け”をイミグレに提出しなければならない。
 
 そこで、こんな計画を立てた。

 明日か明後日にチェンマイに向かい、数日かけて買い出しや仕入れを行う。

 “90日以上滞在届け”は、指定日の前後7日間は受け付けてくれるので、10日にイミグレで手続きを済ませ、オムコイにとって返す。

 そして、今月中旬の開店をめざす。

 まあ、何が起こるかしれない村の暮らしだから、計画どおりに行くかどうかは不明だが、これでともかく“ただ待つだけの日々”には終止符が打てそうだ。

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