【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【経済地殻変動の予感?】

2011年01月16日 | オムコイ便り
 
 昨夜の晩飯どき、当然のごとく話題は憎っくき「セブン」に集中した。

 お菓子好きの3男は、案の定瞳をキラキラさせ、すでに開店情報をつかんでいた次男は、意味不明のニヤニヤ笑いを浮かべている。

「あのなあ、セブンには人の欲望をくすぐるピー(霊)が潜んでいるんだ。別に買いたいものもないのに、店の中を歩いているうちに、ついついいろんなものを買い物籠に入れたくなってくる。だから、くれぐれも気をつけるんだぞ。できれば、半径100メートル以内には近づかない方がいい」

「だって、チェンマイではしょっちゅう買い物に行ったけど、ピーなんかいなかったよ」

「だから、お前さんたちは知らず知らずのうちにピーの映画VCDやくだらんゲームをいっぱい買わされて、怠け者になってしまったんだ。チェンマイとオムコイとでは、ピーのパワーが全然違う。甘くみたら、あかんぜよ」

 最後に古い日本語の凄みを利かせてみたが、むろん、子供たちに通じるわけがない。

      *

 いや、充分に通じたのか、次男がすかさず話題を転じた。

「クンター、セブンって大きな会社がやってるんでしょ?」

「うん、もともとは日本のスーパーマーケットが始めて、それが日本中、そして世界中に広がって行ったんだ。タイにも元締めのような会社があって、オムコイでも誰かがその会社にお金を払って、あの店を始めたんだろう。儲かってるように見えるけど、元締めに払う金が高いから経営はなかなか大変らしい。なにせ、店の人は夜中も眠れないんだからなあ」

 昔聞きかじった怪しげな知識をひけらかしながら、最後にはマイナス面を強調して予防線を張る自分がいじらしい。

 かつて住んでいた埼玉の某市でも、近所の酒屋や米屋が次々にコンビニに転業した。

 そして、狭い地域で競合を繰り広げた末に、その中の数店が疲弊して転売したり、店を閉めたりしたものだ。

 オムコイでもセブン第一号店が成功すれば、同じような現象が起きかねない。

     *

「あれ、そういえば、セブンができる店は、もともと何屋さんだったんだろう?」

「えーとね、同級生がやってる家具屋の2軒隣りだけど、あれ、何屋さんだったけ?」

 ラーも、すぐには思い出せないようだ。

 実は、このところオムコイの町では店舗の改装や新店舗の開店ラッシュなのである。

 古い食堂がこぎれいになったり、小さな総菜屋が荒物屋に姿を変えたり、洒落たコーヒー屋が出現したり、かなり目まぐるしい変貌ぶりだ。

 店舗の賃貸料も、急激に値上がりした。

 かつては、大きな市が立つ水曜日にのみ賑わっていた町に、しょっちゅう山奥の村から人が押しかけるようになってきた。

 心なしか、“寒さ体験”にやってくるタイ人観光客の姿も増えてきたようだ。

 タイの経済が、徐々に上向いているのか。

 そういえば、つい最近、小商い向けの少額融資制度がどうのこうというニュースを耳にしたような気もする。

 その経済刺激策が、このオムコイの地にまで及んでいるのだろうか。

      *

 うーむ。

 なにやら、地殻変動の予感。

 麺屋再開を先延ばしにしながら、暢気にコンビニ戦争の行く末など案じている場合ではないのかもしれない。

 こうしては、いられないぞお。

 とりあえず、売れ残ったフーちゃん(黒豚)に、買い手の食欲をそそる愛想笑いでも仕込むことにしよう。

*写真は、ついにその全貌を現した「オムコイ・セブン第一号店」。今日は、商品の運び込みが行われていた。その横には、こんなトラックが停まっている。オムコイですなあ。




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