【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【鶏たちの急変】

2011年01月09日 | オムコイ便り
 
 昨夜は、珍しく雨が降った。

 だが、ぱらぱらという程度で、お湿りにはほど遠い。

 今朝7時の気温は、16℃。

 畑の水やりは大変だが、さほど寒くないのはありがたい。

     *

 数日前から、ひよこがバタバタと息絶え始めた。

 唯一残った一羽は、頭の毛がすっかり抜けて禿げ坊主だ。

 ぐったりと弱った一羽の若鶏も締めて、ひよこたちと一緒に土中に埋めた。

 動きの鈍くなった雄鶏は、すかさず締めて鶏鍋にした。

 残った一羽の雄鶏と2羽の雌鶏、8羽の若鶏には、いまのところ異変は見られない。

     *

 近隣の鶏が死に始めたという話は、ひと月ほど前から耳に入ってきた。

 頭に浮かぶのは、当然「鶏インフルエンザ」である。

 獣医や役所には連絡してあるということなのだが、特に対策がなされた様子はない。

 まあ、ウチの黒羽たちは元気だからマイペンライ。

 そう暢気に構えているうちに、ジョーの鶏も、向かいの鶏も次々に死んでいく。

 そして、ついにわが家の鶏たちにも異変が及び始めたという次第である。

      *

 この寒い時季、鶏は毎年死ぬんだという話もある。

 昔からあった流行り病で、そのうちに治まるという古老もいる。

 だから、村の衆にはさほど慌てた様子もなく、弱り始めた鶏を締めて、そそくさと喰ってしまう。

 わが家もそれに倣い、でかい雄鶏は鶏鍋にしてしまったわけだが、特に体調に変化は見られない。

 鶏を喰って、誰かが病気になったという話も聞かない。

 いくらのんびりした土地柄とはいえ、「鶏インフルエンザ」のことは誰でも知っているし、獣医や役人もそれほど間抜けではあるまい。

 ということは、古老の言うようにそれほど騒ぎ立てることもないのだろうか。

     *

 去年の一時期、牛が急死するという事件が相次いだ。

 数ヶ月前には、近所の牛が数頭頓死した。

 幸いなことに、わが家の牛には異変は起こらず、2頭の豚たちも丸々と太って、暮れには1頭が無事買い取られていった。

 そして、このところ、牛や豚が頓死したという話はまったく聞かない。

 鶏の急死騒ぎも、こうした経緯をたどってくれればよいのだが。

      *

 それにしても、10羽ほどいたひよこが次々に息絶えていくというのは、なんとも切ない。

 餌を求めてピヨピヨ鳴き騒ぐ彼らの姿を眺めているだけでも心が和むし、やはり先の楽しみというのが一番大きい。

 それが、急に体を丸めて元気をなくしたかと思えば、翌日には庭の片隅で冷たくなっている。

 事態の急変を理解できない母鶏が、怯えたような仕草で残った雛を羽の下に抱え込んでいる姿は、人間とさほど変わらないのである。

 親鶏たちよ、家族を急に失って辛いだろうが、この異変を無事乗り切って、また元気な雛を生んでおくれ。

 若鶏たちも、病気なんかに負けるんじゃないぞ。

 そして、この父ちゃんにおいしい卵と鶏鍋を食べさせておくれ。

 元気と雄太よ、いくら土中に埋めた骨に近づいたからといって傷心の鶏たちを追い回していると、そのうち犬鍋にして喰っちまうからな。

*写真はジョー自慢の鳴き鶏なのだが、これもあえなく昇天してしまった。合掌。

☆今日も応援クリックを、よろしく。
タイ・ブログランキング




 

 
 

 
 

 

 

 
 

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【メーサリアンでも自給自足】 | トップ | 【ピー様の話】 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

オムコイ便り」カテゴリの最新記事