【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【超簡単初詣で】

2011年01月02日 | オムコイ便り

「クンター、おなかが空いたよお」

「・・・俺は、空いてない」

「じゃあ、市場に買い物に行こうよ」

「・・・ひとりで行ってこい」

「ねえねえ、もう朝の7時過ぎだよ」

「・・・」

 時計を見ると、まだ4時半。

 こらあ!

 どうやら、彼女も二日酔いから甦ったようである。

 昨夜はふたりともネットラジオを聴きつつ8時頃には寝入ったはずだから、まあ目覚めても仕方がない時間ではあるのだが、本音を言えば、三日酔いのままもう少し静かにしていてくれた方が助かるのだがなあ。

      *

 甦ったのは、私の方が先だった。

 昼過ぎになってアイスクリームを舐め、スイカを二切れほど食べてから、少しばかり外を歩いた。

 そして、屋台で買ったカオトゥム(タイ式おかゆ)を啜り込むと、汗が吹き出し、やっと胃袋も動き始めたようだ。

 驚くべきことに、ラーは死にそうな顔をしながらもラープ(血まぶし豚肉叩き)とカオニョウ(餅米)を少しだけ食べたのであるが、これでは胃袋がたまらないだろう。

 当然のごとく、夕方過ぎても頭痛と吐き気を訴え、ぐったりしている。

「夕べはあんなに楽しくハッピーだったのに、今日は苦しくてちっともハッピーじゃなくなった」

 人の制止も聞かずあんなに飲んだんだから、当たり前だあ。

 四の五の言うのを、無理矢理1階の温水シャワー室に引っ張って行ったのだが、それでもしゃきっとしない。

 私の方はこれでさらに食欲が増し、再びさっきのカオトゥムを二人分求め、ついでにゆで卵も追加して、完全復活を遂げたのだった。

 それでも、また8時過ぎに寝てしまったということは、やはり年なのであろう。

     *

 結局、早朝の買い物に付き合わせられた。

「お正月だから、托鉢のお坊さんにタンブンしようか」

 ラーがそう言い出したのだが、私はタイの人々のように僧侶を全面的に信頼しておらず、素性も知らない僧侶の前に膝まづく気にはなれない(年輩の人たちがまだあどけない顔の小坊主の前にしゃがみこんでいる姿も珍しくない)。

 そこで、宿前にある祠に“初詣”をすることになった。

 ラーが用意したのは、各自7本の線香である。

 まずは、階段の下で2本に火を着け、それを脇に供える。

 そして、祠にあがりこんで仏像に水や牛乳、お華などを備え、残りの5本に火を着け、これを両の掌にはさみこんでお祈りをする。

「仕事の成功、日本の家族の健康、わが家の健康と繁栄、それからあたしたちふたりのこと、あれこれしっかりお祈りしてね」

 いつも、私のお祈りがあまりにも短いので、予防線を張っているのである。

 いつものように、ラーはあれもこれもと欲張りなほど長々とお祈りを始めた。

 そして私は「どうぞ、よろしく」と仏様も拍子抜けするほど簡単に。

 先に祠を出ると、後ろで待っていた人がそそくさとラーの横に座った。

 お祈りを終えて横を向いたラーが、私じゃないので驚いたようだ。

「クンター、ちゃんとお祈りしたの?」

「ああ、したよ」

「なんて?」

「お前さんがこれから毎日、昨日のように静かにいてくれますようにって」

「もお、またそんな意地悪言って。でも、これで気持ちがすっきりしたね」

「ああ、そうだな。きっと、いい年になるだろう」

 さて、そろそろ荷物をまとめてオムコイに戻ることとしよう。

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