【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【ダイラムゥーン!】

2011年04月07日 | オムコイ便り


 今朝は、近隣で「ダイラムゥーン!」の大合唱である。

 音頭をとっているのは、むろん、いたずら者のわが嫁だ。

 なんでも、同級生の未亡人スージャに言い寄る男が現れて、焼酎や食べ物をさかんに貢いでいるのだという。

 スージャは、大いに飲みかつ喰ってわが世の春を謳歌している様子なのだが、午後8時過ぎになると決然とカレン語で宣言する。

「ダイラムゥーン(とっとと帰れ)!」

 すっかり酔いもまわり、腹もくちくなった。

 あたしはこれから、夜の連続ドラマを観るんだから、邪魔をしないでくれというわけだ。

 その彼女の叫び声は、すでに近隣で知らぬ者はなく、朝飯の支度をしながらラーが「ダイラムゥーン!」と叫んだところ、みんなが笑いながらそれに唱和したという次第である。

 なんともたわいのない話とはいえ、ラーと仲違いしていた近所のウーポーまでがニコニコしながらわが家に顔を出したくらいだから、そのレクレーション効果は大と言わざるを得ないだろう。

    *

 そこへ、当のスージャが顔を出した。

「サバイ、サバーイ(ああ、気分がいい)!」

 なんとも、さっぱりとした顔つきである。

 言い寄る男にさんざん貢がせたあげく足蹴にしたのだから、さぞやいい気分に違いあるまい。

 そこへ、ラーが突っ込みを入れる。

「あんた、昨日男を追い出すどさくさに紛れて、“お前はラーと結婚しろ、あたしはクンターと結婚するから”って叫んでたけど、覚えてる?」

「そんなの嘘だよ。あたし、そんなこと言ってないよ」

「いいや、あたしも確かに聞いたよ」

「うん、俺も聞いた」

 いつの間にか台所に集まっていた親戚連中が、ニヤニヤしながら迫る。

「クンター、タマダー(冗談だよ)。酔っ払っての話だから、勘弁してよ」

 記憶が少しずつよみがえってきたらしく、照れた顔で詫びを入れる。

 仕方がない。

 タマダーには、タマダーでお返ししよう。

「スージャ、ダイラムゥーン(とっとと出て行け)!」

 そこで、大爆笑になった。

      *

「ダイラムゥーン、ダイラムゥーン♪」

 ラーが、おどけて踊り出す。

 昨夜も不安に襲われたのだろう、絶え間ない独り言でわれわれを眠らせてくれなかった母親までが、「ダイラムゥーン♪」と節をつけて歌い出した。

*写真は、裏庭で切り落としたバナナの房。心なしか、バナナまでが浮かれて踊っているような朝であった。

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2 コメント

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お戯れ (クンター)
2011-04-08 13:14:35
しんちゃん

 夜間見廻組長官ともあろうお方が、左様なお戯れを。むふ、むふふふ・・・。
返信する
ウッヒャひゃ (しんちゃん)
2011-04-07 23:17:04
クンター屋、オヌシモ悪よのー。もてモテじゃ。ウん?、何でオッちゃんが。ウッヒャひゃー、元気が一番(犬じゃないぞ)おっとアブナイ。ウラヤマシイぞ。
返信する

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