到着初日の午後は、棚田を突っ切ってゆくミニトレックに案内した。
遅れていた田植えもすっかり終わって、村の集の姿がほとんど見えない。
だが、水に姿を映す黄緑色の苗が風に揺れる様は、実に美しい。
後続のエルザとエミリエムが、フランス訛りのある英語で「ビューティフル!」を連発してくれるので、番頭さん、鼻高々だ。
機械化されているのは耕耘機だけで、田植えも稲刈りもすべて手作業であることなどを下手くそな英語で説明しながら、小川を渡り、川沿いの狭いあぜ道を歩いてゆく。
後ろからは、由美さんと女将のラーが愉快そうに笑いながら話を交わしている。
最後尾は、藤間さんと彼にすっかりなついた飼い犬の雄太である(冒頭写真)。
晩飯のおかずは、薬草、香草をたっぷり使ったキノコスープと酸味のあるマカーム(タマリンド)の実をベースにしたパッカチョン(花野菜)スープ。
ベジタリアンのエルザに配慮したメニューである。
もっとも、カレン料理は基本的に野菜料理が多く、この二つのメニューはたいていの日本人ゲストの口に合うようだ。
さて、フランス人の二人にとってはどうか?
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冷蔵庫には、1ダースのビールがどんと控えている。
「今夜は宴会ですね」
由美さん、かなり強そうだ。
エミリエムとエルザも、相当に飲むらしい。
乾杯のあとで、フランス人カップルの反応を見ると。
「どちらもおいしい! アリガトウゴザイマ~ス」
日本語混じりの嬉しい感想が飛び出してきた。
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訊けば、エルザは日本の「MANGA」の大ファンなのだそうだ。
映画では、北野武監督の「花火」がお気に入り。
エミリエムは日本にも行ったことがあり、黒澤明監督の「七人の侍」のファン。
日本刀をお土産にしようとしたが駄目だったことなどを話してくれた。
ついでに言うと、エルザは獣医の卵。
ギリシャ系のエミリエムは、家族と共に居酒屋レストランを経営しているそうである。
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例によって、女将のラーが村の焼酎を供す。
エミリアムもエルザも由美さんも、ぐいと一気飲み。
そして、「これはおいしい」とにっこり。
やはり、強いわ。
普段はご飯を食べながら飲む藤間さんも、その勢いにあおられたか、今夜はビール一本槍の宴会モードだ。
番頭さんもほろ酔いになり、普段は使わない英単語や言い回しに苦労しながらも、愉快な時間を過ごしたのだった。
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フランスはパスツールの国ですねぇ.
獣医師会でお世話になっている先生が,若かりし頃パスツール研究所に所属をされていて,ワインと女性を勉強してきたと仰っていました^^)
愚妹は,ギリシャで居酒屋をやっているのです.
何となく,親近感を感じた次第^^
フランスとギリシャ、不思議な縁ですね。