【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【村にもどって】

2009年11月09日 | オムコイ便り
 さて、書きためておいた記事の大放出である。

        *

 10月24日、土曜日。

 朝6時発のミニバンに乗り込み、9時にオムコイに着いた。

 バイクで家に戻ると、ひまわりの花が6個も咲いている。

 オレンジ色と黄色の金鳳花(きんぽうげ?)も満開だ。

 誰も遠慮して食べなかったらしく、オクラの実は20センチほどに伸びている。

 留守の間に大雨が降ったようで、鶏小屋のテント屋根に水が溜まって梁代わりの竹が折れかかっている。

 もちろん、貯水タンクは満杯だ。
 
 ひよこが孵っているかと期待していたのだが、卵の数が4個から10個に増えただけで、母鶏はまだ抱卵に入っていなかった。

       *

 いつものように、愛犬の“元気”と“雄太”がじゃれついて、なかなか放してくれない。

 家の中にまで上がり込みわれわれの側を離れないので、荷物を片付けるのもひと苦労だ。

 「魚釣りについてきた“雄太”が、増水した川にはまって溺れかけたんだよ。それからね、凄い風が吹いてハンモックのひもがちぎれちゃった」

 3男のポーが、興奮気味に留守中の“大事件”をラーに報告している。

 そこへ、甥っ子のジョーが牛の世話から戻ってきた。

「クンター、ジョーが雄の子牛を2頭売ってしまったって言ってるよ」

「え、どうして?」

「勝手にあちこちの田んぼに入り込んで、収穫前の米を食べるから苦情が殺到したんだって。それに、2頭で喧嘩するわ、とんでもない山奥に逃げ込むわで、他の牛の世話はできない、田んぼの草取りもできないから、すっかり疲れてしまったらしい」

「うーん、それなら仕方ないなあ。雄の子牛というと、“武蔵”とジョーの持ち牛の“名無しくん”か?」

「うん、2頭ともすごく可愛がっていたから、ジョーもがっくりきてるよ」

 “武蔵”というのは、我が家の雌牛が初めて生んだ雄の子で、背中に北タイ牛独特のこぶを持っており、成長を楽しみにしていたのであるが、米の収穫前にこんな騒動を起こしたのでは、ジョーの措置を責めるわけにはいかない。

 2頭の売値は、7,760バーツ。

 これで我が家の雄牛は2歳の“ハーレムキング”1頭になってしまったけれど、、田んぼに入り込んで米を食う牛は、これから毎年同じ騒動を繰り返すことになるのだから、買い手がつけばまだ増しなのである。

        *

 村に戻って、床下の材木や家まわりを点検したり、悲喜こもごもの報告を受けていると、チェンマイでの“パソコン騒動”などは、すでに遠い過去のできごとのように思えてくる。

 一時は、「オムコイなんぞ、二度と戻るもんか」と本気で思い詰めもしたのであるけれど、ひとりでチェンマイなんぞに居残っていたら、さぞかし退屈したことだろう。

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