以前にも紹介した庭のスモモが、かなり赤く色づいてきた。
「もう熟れたんじゃない?」
女将のラーは、今にも食べたそうだ。
だが、番頭さん、熟れたのならもっと赤くなるだろうし、実ももっと柔らかになるのではないかと、なかなかオーケーを出さない。
「放っておくと、鳥が食べちゃうよ」
そう脅されても、頑なだ。
実をいえば、番頭さん、スモモの食べごろというものを知らない。
日本で何回か食べたような気はするのだが、それが正しくスモモだったのか、また庭の実が本当にスモモなのか、それすら分からないのだ。
うーむ。
などと唸りっているうちに、鳥に食われたらどうしよう。
内心では、そんな不安も抱えているのである。
*
えーい、面倒だ。
試食してみるか。
そう言うと、ラーはすぐさま賛同した。
一番熟れていそうなヤツをもぎ取って、齧ってみた。
うへ、酸っぱい。
中身は、深い紅色だ。
見た目は、熟れた感じ。
だが、甘みのかけらもない。
スモモというくらいだから酸っぱいには違いないのだろうが、どこかで読んだ記述には「甘酸っぱい」という表現があったような気もする。
まだ早かったのかなあ。
そこで、齧りかけをラーに手渡すと。
「うーん、おいしい」ときた。
これがかあ?
*
全部で9個生った実が、試食だけのためにすでに6個になった。
このまま、鳥に食われる恐怖に耐えつつ、甘みを待つか。
それとも、それは悔しいから、全部ラーに食わせてしまうか。
番頭さん、夜も眠れぬ悩ましい心境なのである。
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2センチくらいの小さな実ですから、日本でスモモを植えているゲストのアドバイスで、実をもいでから完熟を待つことにしました。