【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【カレンvsコリアン異文化のプチ衝突】

2013年04月02日 | オムコイ便り

 4月に入って、いろんな種類の蘭の花が咲きだした。

 それにしても、今日は暑い。

 午後1時半の室内気温は、なんと37.5℃。

 心地よい山風が吹きおろす裏のベランダは、35℃。

 そして、これを書いている玄関口のテラス土間とバンブーハウスのテラスは、34℃。

 つまり、少しでも涼しいところを求めて家中をあちこちうろついているわけだが、扇風機もなしに「ああ、ここは涼しいなあ」などと言いつつパソコンに向かう私に、寒がりで暑がりのラーは、奇妙なものを見るような目つきを向けるのである。

 まあ、日本の夏なら、日陰の屋外テーブルとはいえ34℃の中でモノなど書けばすぐに倒れてしまうだろうが、わが村の34℃などは快適なものである。

 それを助けているのが、標高1,000mに近い山からの風であることは言うまでもない。

 むろん、風がぴたりと止まれば、さすがに頭がボーッとはなるけれど。

 やっぱり、俺、変人なのかなあ。

     *

 さて、韓国からの旅人キムさんである。

 彼も暑さには相当強いらしく、早朝から午前にかけてはもちろん、日中にもひとりで村の中を歩き回っている。

 夕方に戻ってくると、首も腕も真っ赤に焼け、全身汗まみれだ。

 そんな大変な思いをして、一体何をしているのかといえば、村人の写真を撮りまくっているらしい。

 今回のオムコイへの旅の一番の目的は、前回の滞在中に撮った写真をプリントして村人たちに配ることにあった。

 韓国からわが家に送ろうとも思ったのだが、住所やメールアドレスを紛失してしまった。

 そこで今回は、わざわざミニプリンターを持参して、撮ったらすぐに相手に手渡すという作戦を考えついたらしい。

 しかし、ミニとはいえ、それなりのサイズと重量がある。

 こんなかさばるものを、いかに目的があるとはいえ旅の荷物の中に組み込むという情熱と律儀さは、私などにはかけらもない。

     *

 噂はすぐに村中に広まったらしく、昨夜は見知らぬ女の子が親戚に付き添われてわが家にやってきて、ぜひ写真を撮ってくれという。

 あいにく、バッテリー切れで今日に遅延となったのだが、こうなると撮る方も大変だろう。

 なんだか、レックさんによる「凧づくり教室」の人気を思い出して可笑しくなった。

     *

 それにしても不思議なのは、どうやって村の衆とコミュニケーションをとっているのかという問題である。

 彼はタイ語が話せないし、英語も日本語もわずかな単語を知っているだけである(日本の古い歌謡曲は歌える)。

 私とラーが二人がかりで相手をしても、何が何だかさっぱり分からないことが多いのだ。

 重要な日程などについては、カレンダーや筆談で何度も確認する必要がある。

 それでも、近所の雑貨屋ではすっかり馴染みになったようで、飯どきになっても戻らない彼を探しに行くと、店先で軽食をとりながら日記をつけたりしている。

 家に戻る際には、数冊の分厚いノートを店の冷蔵庫の上に載せて預かってもらうという念の入れ用だ。

 晩飯の間に雑貨屋の女房の名前を連呼していたから、おそらく大歓迎してもらっているのだろうが、私が行くまで彼らはキムさんをちょっと変わった日本人と思い込んでいたのだった。

     *

 まあ、カメラを構えて写真を撮るポーズをすれば必要最低限の意思は通じるのだが、それ以上のことはおそらく、相互勘違いの積み重なりという気がしないでもない。

 というのは、今朝になってラーのもとに「彼は村人や子供の写真をタダで撮りまくって、それを韓国で売りさばこうとしているのではないか」という苦情が数件寄せられたのである。

 村人もインターネットのことは何となく知っているから、そうした懸念が出てくるのも無理はないだろう。

 なによりも、相手の言っていることは互いにさっぱり分からないのだ。

 いくら私やラーの客人とはいえ、不審に思う人が出てきてもおかしくはない。

 そして、「売るんだったら相応の撮影料を払え」と直裁に言えないところが、村の衆の奥ゆかしく、かつまたややこしいところなのだ(皆が公然とそう言いだせば、どこにでもある観光村になっちまうが)。

 間に立ったこちらも、対応に困るのである。

 彼の善意と積極的な交流姿勢は疑いようがないが、村人全員に対してそれを保証することなんぞできるわけがない。

 そこへ、折りよく彼が戻ってきた。

「一部の人に誤解されているようだから、村人の写真を撮るのを控えてくれないか」

 そう言いたいのだが、彼が理解できるのは英語と日本語の中では唯一「シャシン」だけなのである。

 だから、ラーが「みんなに文句を言われて頭が痛い」というジェスチャーを示し、私が「シャシン」と言って両腕でバツ印を作るくらいしか方法がない。

 「OK?」

 右手の親指を突き出しながら、そう念を押すのだが、頷いたようなそうでないような。

 少し複雑な表情で何やら韓国語を口にして、また暑い中を外に出て行った。

     *

 さて、明日の午後から5日間のテレビ取材が始まる。

 しばらく更新ができなくなるかも知れないが、その場合はフェイスブックで簡単な報告を試みたい。

 どうか、悪しからず。

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2 コメント

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Unknown (ishi)
2013-04-05 12:44:48
言葉が通じる方がおもしろいでしょうが,通じなくても何とかなるんですもんねぇ.
ウィワットと話しているときも,意外と通じてないけど,マイペンライな感じで,一緒に食事をしたりしてます.
もうすぐソンクラーンですね.
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ソンクラーン先取り (クンター)
2013-04-06 09:44:24
ishiさん

 本当に、その通りですね。こちら、撮影で早くもソンクラーン気分を味わっています。
返信する

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