昨夜は雨がパラパラッときたけれど、今朝は爽やかなオムコイ晴れである。
淡い色の青空の下を、白い雲が流れてゆく。
午前9時の気温は、23℃。
山からの微風が心地よい。
タイは初めてだという宿泊ゲストが、こう洩らした。
「雨季というのは、日本の梅雨のように毎日雨降りなのかと思っていました」
しかし、ここ数日は午後のスコールすらない。
田植えのためにまとまった雨を心待ちにしている村の衆には悪いが、少なくとも朝のうちはこんな爽やかな天気が続いてほしいものだ。
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週に一度の水曜市で、ラーが高価なクンタレー(海エビ)を仕入れてきた。
なにせ、チェンマイからやってきた冷蔵トラックが店開きをするのだからガソリン代が上乗せされてしまうのである。
目を剥いて口から泡を吹いていると、
「うふ~ん、クンターのためにおいしい料理を作ろうと思って」
甘い声でこんな言い訳をするときは、自分が食べたかったのに決まっているのである。
今朝になって、いつもより早く登校する息子を学校に送って家に戻ってみると、すでに海老の下ごしらえにかかっている。
干した赤唐辛子、ニンニク、塩、ウコン、根生姜、香葉などを小臼に入れ、すりこぎ状の片手杵でコンコンコンと搗くのは私の仕事だ。
だが、大好物の完成を待ちきれないのかラーは私の手から杵を奪い取り、ガンガンガンと搗き始める。
臼から唐辛子は飛び出す、搗き汁は飛び散る、ときにはその汁が目の中に入って激痛に大騒ぎすることになるから、結局はのんびりと搗いた方が効率的だったりするのではあるが・・・。
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搗いた具と海老を一緒に煮込み、各種の調味料やレモンを搾って味を整えてゆく。
筈だったのだがレモンが足りず、「レモン、レモン、レモン」と大騒ぎだ。
花棚への水やりを中断して裏庭に走り、ようやく実ったレモンをちぎろうとしたら、トゲで指先を思い切り刺してしまった。
イテテテ!
まったく、もう。
「だから、最初に具材を全部揃えてから調理を始めろといつも言ってるだろ!」
なんて言っても仕方がないのである。
調理をしながら、足りない具材に気づいたらば庭や近所から調達してくるというのが村のやり方なのである。
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うーん、いい匂いがしてきたぞ。
そろそろ、完成だ。
「味見をして」というから、味見をした。
レモン味が少々足りないと思ったからもう1個搾ろうとしたら、ベーヤオ(カレン語でもう充分)だという。
「だったら、初めから味見なんか頼むなよなあ」
なんてむくれてはいけない。
味見をしたら心を虚しゅうしてただニッコリと微笑み、而して深遠な面持ちにて「うむ」と深く頷くことこそが家庭円満、世界平和への道なのである。
*
食卓を囲み、まずはスープを啜ってみる。
辛酸っぱい独特の風味が口中に広がって、耳下腺のあたりがキュンと鳴った。
うーん、オイテテ!(カレン語でうまい)。
やっぱり、レモン味は充分だったようだ(どうです、この涙ぐましい気の遣いよう)。
片手間に写真を撮ったが、スープの下に潜り込んでぷっくり、むちむちの海老ちゃんの姿が見えない。
まあ、別に読者に食べてもらうわけではなし、このおいしさはゲストも除外して二人で独占するのだから(嘘です、嘘です)、そんなもん知ったこっちゃない。
カメラを放り出し、自家製トムヤムクンの豊穣かつ玄妙(ちと大げさ)な味の世界に没入した。
あ~、朝から幸せ。
たとえ、数秒後にわが家計が破綻し、この世界が崩壊したとしても、僕はひたすらこのスープを啜り続けたい。
ん?
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深夜に写真をみると、トムヤムクンのスッパさが口の中に広がってしまいました(笑)
またタイ料理の写真楽しみにしています。
お裾分けができて良かったです。写真、心がけておきます。ついつい食べるのが先になって、ついつい撮るのを忘れてしまいます。
初めまして。お問い合わせ、ありがとうございます。チェンマイからオムコイまでは全面舗装道で、約180キロです。これまで何人もの方がバイクでやってきましたが、だいたい4時間くらいだそうです。詳しくは、当ブログ左枠内にあるブックマークで、宿の御案内や道案内などをご参照ください。
では、お会いできる日を楽しみにしております。
すみません、今までスマホ版でのみ見ていませんでしたので、PC版の道案内等に気が付きませんでした。
大体方角的にはわかりました。以前バイクでドイ・インタノンには行ったことがありますので、その途中から右折していく感じみたいですね。
あとは、行くか否か決断するだけです。もし決断したら、また予めご連絡させていただきます。
p.s.
テレビは見ていて別に違和感はありませんでした。
ただ、奥様がちょっと豪快な感じに見受けられました。
いろいろ実際と相違しているのでしょうね。
まあ、バスもありますのでどうか無理をなさらずに。何かありましたら、またお問い合わせください。テレビの件、じゃじゃ馬はじゃじゃ馬なんですけどねえ(苦笑)。是非、その目でお確かめください。