【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【元気よ、どうした?】

2012年02月07日 | オムコイ便り

 元気の様子が、どうもおかしい。

 年が明けて、体調はすっかり元に戻ったように思えたのだが、ここ数日、見た目にも動きが鈍くなってきた。

 餌を食べず、好物のミルクさえ飲もうとしない。

 ぐったりと寝そべって、ラーのバイクのあとを追うときも決して走ろうとはしない。

 仰向けにさせて体を探っていたラーが、

「やっぱり、子宮の病気かなあ。でも、おっぱいが膨れているような気もする。ひょっとしたら、赤ちゃんができたのかも知れない。元気、あんた一体どうしたの?」

 去年の暮れは流産の兆しで、今度は妊娠?

 なんだか、訳が分からない。

     *

「つべこべ言っていないで、とにかく病院に行くぞ」

 町の動物病院につれていくと、獣医は電話の通じない山奥に入っていて、いつ戻るか分からないという。

 助手が詳しい症状を書き取って、「戻って来たら、至急連絡を入れる」ということになった。

 最近、近所のオムコイリゾートでは、BJという名のラブラドール犬が死んでしまった。

 何かの細菌が、頭に回ったらしい。

 主人のゴンは、大枚をはたいて力を尽くしたようだが、最期は安楽死を選んだという。

 その話を聞いたばかりだから、ラーはおろおろするばかりだ。

 なにしろ、その犬はわれわれの知り合いであるチェンマイ在住のアメリカ人からゴンが買い取ったもので、仔犬の時から知っているものだから、とても他人事とは思えないのだろう。

     *

 だが、獣医がいないのだからどうしようもない。

 店に連れ帰ると、いくら誘ってもクルマの荷台から飛び降りようとはしない。

 もともとグータラの横着者なのだが、やはり何かをかばっているだろうか。

 しかし、抱き降ろして歩き出した姿を見ると、普通に見える。

 顔の表情も、いつものとぼけ顔だ。

 なにかが苦しい、という感じはまったくしない。

 うーん、これは一体何なんだろう?

 ともかく、獣医が早く戻って来てくれないと、ラーの大騒ぎでこちらが病気になってしまいそうだ。

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