【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【パソコン修理と釣り堀の相関関係】

2016年03月02日 | オムコイ便り
 
 ああ、パソコンなんぞに出会わなければよかった。

 出会っていなければ、バッテリー交換のためにわざわざチェンマイに出る必要はないし、朝立ち、もとい朝発ちのために3時に目が覚めることもなかったのだ。

 まあ、ろくな修理屋のないオムコイなんぞに住んでいる自分が、一番悪いんだけどね。

 いきなり魚の写真を載せておいて、何の事やらとお思いだろうが、まあ、そう焦らずにのんびりとお付き合いくださいな。

     *

 チェンマイ門そばのタイウエイ・ゲストハウスに入ると、すでに友人のウイワットが車で迎えに来ていた。

 以前、パワーアダプターが壊れたときに、彼が安めの新古品を探してバスに乗せてくれたパンティッププラザ内の某修理屋に話をつけてくれているのである。

 交換費が3,500バーツだと聞いた彼が、目を丸くして言う。

「そんだけ払うくらいなら、新型の中古を買った方がいいよ」

 まあ、マックの場合は少数民族みたいなもんだから、ある程度の覚悟はしていたものの、「中古なら6,000バーツくらいでたくさんある」と言い張るのである。

 たぶん、それ、マイクロソフトだろうなあと思いつつも、番頭さん、ちょっと心が動いた。

 そこで、まずは彼の案内でスパーハイウエイ沿いにある「CMコンピュータ」という電気街ビルに向かうことにした。

    *

 あるにはあったが、旧式のマックブックが9000バーツである。

 それに、最新型も含めたすべてに最新のOSが入っていて、起動にやたらと時間がかかる。

 これじゃあ、せっかちな番頭さん待ち切れない(むろん、新品なぞ買えないし)。

 そこで、店員にOSやワードのバージョンアップについて訊ねてみると、すぐ先の店を指差した。

「それなら全部、あそこでコピーしてくれるよ」

 な、なにい、歴代のOSやワード入りofficeまでコピーしてくれるのかい?

 しかも、数百バーツでえ?

なんたる海賊版天国。

 かつては著作権に関する連載も持った事がある番頭さん、大いに憤慨してみせたものの、実は内心で、大いにほくそ笑んだのだった。

    *

 とりあえずは、消耗したバッテリーの交換である。

 パンティップブラザに行くと、ついているはずの話がついていない。

 何やらをバンコクから取り寄せるために、翌日の午後まで待ってくれろというのだ。

 しかも、なぜかパソコンは今すぐ預けてくれろという(ああ、今夜はyoutubeで映画が見られんなあ)。

 ともかく、ここはやっぱりタイランドなのであった。

 そして、ともかく、のんびりと待つしかない。

 喜んだのは、そんな環境の中で生まれ育ったウイワットである。

 彼は今日はホテル勤務が休みで、昨日から友人に釣り竿を借りて、私を釣り堀に連れて行くという計画を立てていたのだ。

 完全寝不足の番頭さん、ちょっと迷ったが、せっかくの若い友人の好意と休日の楽しみを無下にはできない。

 午後2時過ぎのうだるような暑さの中、10分ほど走ってから、どんよりと濁った水辺の東屋に逃げ込んだ。

     *

 ビールや食事を注文したあと、ウイワットが手にしたのは巨大なビニール袋に入った食パンの屑である。

 そして、トランクから取り出したのは、ちゃちなリール竿だ。

 しかも、1本だけ。

「ここは初めてだから、何が釣れるか分からんけど、とにかくやってみよう」

 そう言いながら、小さな針にでっかい食パンの屑を握り込んで付けた。



 ドボン!

 そのパンの団子だけが、竿の先から飛んでゆく。

 やっぱり、こいつはタイ人だあ。

 しかし、そのドボンの先では、なにやら巨大な魚がバシャンと跳ね上がった。

 そして、すぐさま隣の人が70センチくらいの白っぽいナマズのような魚を釣り上げた。





     *

 こちらは、一向に釣れない。

 ビールとまずい飯で、腹だけが膨らんでゆく。

 隣の人に仕掛けや餌を見せてもらうと、針の上にパンの団子を固めるための小さな籠があり、餌にも自分で工夫したという香油のようなものを混ぜている。

 そして彼は、親切にもこちらの餌まで作ってくれたのである。

 しかし、釣れない。

 どうにも釣れない。

 そのうち、ウイワットのやつ、スマホで遊び始めた。



 番頭さんも、餌を付けるたびに香油で手がベトベトになって面倒になり、まったくやる気が出ない。

「おい、ウイワット。そろそろ、交代しよう」

「いや、俺は初めから魚なんてどうでもいいんだ。クンターとふたり、こうして水辺で憩っているだけで楽しいんだよ」

 なんだか、泣かせることを言ってくれるではないか。

     *

 午後5時に竿を収め、宿まで戻った。

 一緒に晩飯を食べるつもりが、二人ともビールで腹が一杯だ。

「せっかくの休みなんだから、今日は家族と一緒に遅めの飯を食べて、夜はかあちゃんを可愛がってやれよ」

「それが、ダメなんだよ。11歳の娘がいるからね、変な気配を感じさせたら、嫌われてしまうよ」

 それが、他の理由の言い訳なのかどうかは、分からない。

 しかし、彼と知り合った頃にはまだ3歳だった娘が、なんとそんなに成長したのかと、そちらの方に気を取られた番頭さんだった。

 それなのに、こちらは一向に成長せず、いまだパソコンなんぞに翻弄されているんだもんなあ。

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