散歩と読書を中心にして、岩浅さんの時間はゆったりと流れていく。
ネットチェックを兼ねて案内した土産物屋では、お土産用のカレン織布画像をメール添付して奥様に確認するという微笑ましい光景も。
ひとり居残った町では、由緒ある仏像のあるワット・セントーンまで足を伸ばしたそうだ。
夕方早めには、お湯を沸かしての水浴び。
冷え込む朝晩には、焚火のそばでの食事。
ナムプリック(唐辛子味噌)やマカームの実で味付けした花野菜スープなど、素朴なカレン料理に舌鼓を打つ。
飼い犬の元気や雄太と遊び、放し飼いの地鶏を眺める。
夜になるとビールと村の焼酎でほろ酔いになり、満点の星を仰ぐのである。
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5日目には、短期滞在では案内できないとっておきの棚田一望スポットへ。
高床の作業小屋にあがりこみ、涼やかな山風に吹かれながらのリラックスタイムだ。
6日目の昨日は、町の水曜朝市へ。
華やかな色柄の民族衣装をまとったラフ族の野菜売りの前で記念撮影。
珍しい野菜や魚、刃物、生活用具、ランパーン焼きなどを眺めつつぶらぶらと。
朝食後には、村はずれの滝と棚田遠望へ。
そして、これまたなかなか案内することのできない別の集落に入って幼稚園へ。
ちょうど昼食の時間で、居室前の椅子に二人ずつ向き合ってずらりと並んだ子供たちが女教師の指導で「お百姓さんが作ったお米を大切に食べましょう」という食事前の挨拶を唱和しているところだった。
唱和が終わって近づいてみると、元気にパクパクやりながら人懐っこいワイ(合掌礼)と笑顔を送ってくる。
4~5歳の2年間をここで過ごし、6歳になったら約2キロ離れた町の小学校に入るのだそうだ。
「いやあ、珍しい光景を見ることができました」
子供たちを見やる岩浅さんの眼差しが優しい。
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そして、7日目の朝になって。
先に予定している遺跡見物の日程がそろそろ気になってきたということで、午後2時のバスに乗り込むことを決めた。
「ほんまに、のんびりさせてもらいましたわ」
そんな柔らかい関西弁を残して、岩浅さんの悠々、淡々たる6泊7日の旅が幕を閉じたのだった。
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