【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【雄太よ、早く空に昇れ!】

2015年10月13日 | オムコイ便り

 雄太が逝ってから、ちょうど一週間が過ぎた。

 別に喪に服していたわけでもないのだが、心のどこかにぽっかりと穴が空いたようで、ブログを書く気にもなれなかった。

 飯どきになると、ついつい彼のための餌を準備しようとしては深い溜め息をつく。

 それでも、元気の場合は死因になった激越な癲癇のような症状をこの目で見ているし、行方不明になってひと月ほど経ってから、遺骸を見たという情報が耳に入ってきた。

 諦めのつく時間はあったし、実際にその遺骸は目にしていないので、「山奥のどこかで空に昇ったんだなあ」と思うことができたのである。

 ところが、雄太の場合はあまりにも突然のことだったし、その遺骸をこの手で裏庭に埋めたものだから、今になっても彼が空に昇ったような気がしない。

 実際に今もまだその体は土中にあるわけだし、魂もまだそこいらに漂っているように思えてならないのだ。

     *

 この一週間近く、女将のラーはほとんど泣き暮らして、ご飯も喉を通らない様子だった。

 昨日あたりからやっと食欲も少し戻ってきたようだが、さっき昼飯どきにふと元気や雄太の話題が出ると、またもや泣き出してしまった。

「気分転換に野外に出たらどうだ?」

 そう勧めると、絶対に嫌だという。

「魚獲りやキノコ採りに行くと、いつも一緒に付いてきた元気や雄太のことを思い出して悲しくなってしまう」

 そう言うのだ。

 そりゃあそうだろうなあ。

 番頭さんだって、近くに買い物に行ったり、ゲストを屋外に案内するたびに、元気や雄太の姿がないので、不意に寂しくなってしまうのだ。

 さほど犬好きとは言えない私にしてそうなのだから、元気を娘、雄太を息子と呼んで可愛がっていたラーにとっては、半身を引き裂かれたようなものだろう。

     *

 彼女が泣いたところで、私には慰める言葉もない。

 あとはただ、唯一の薬である「時の流れ」にその役割を委ねるしか手はなさそうだ。

 ともかくも雄太よ。

 父ちゃんと母ちゃんのことは心配しなくていいから、早く空に昇って、元気姉ちゃんと一緒に楽しく遊べよなあ。

 もしも、元気が空でも方向感覚を失っていたら、しっかり支えになってやるんだぞお。

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4 コメント

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Unknown (ishi)
2015-10-13 23:53:06
辛いですよね.
僕でも半年ぐらい,ああすればよかったとか,くよくよ考えることがあります.
とは言え,病院に来る飼い主さんには「早く次の子を迎えるのがいいですよ.空いてしまった穴は埋まらないけれど,次の子を世話することで,気持ちが楽になりますよ」とお勧めしています.
居なくなると寂しいですから,
ご参考まで.
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突然な悲報を聞いて (ジェ)
2015-10-16 02:24:21
吃驚しました。
あぁ。元気も雄太も
なんて言ったら良いんでしょうか!
タマリンド木の下で一緒に微睡んでた
君達を枕にして貰ったりしてごめん
反省!


ラーさんが早く悲しみは忘れて元気だしたら良いですね
遠くから応援します。
吉田さんは大丈夫ですか?
夫婦一心同体では?
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切ない (チョビ)
2015-10-16 21:11:34
早くラーさん元気になると良いのですが・・・・
我が家の庭に三匹の愛犬が眠っています。
それにしても切ないですね。
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ありがとうございます。 (クンター)
2015-10-20 12:37:53
ishiさん

 昨日のブログに書いたような具合で、まだ迷っているようです。確かに、気は紛れるでしょうね。

    *

ジェさん

 お久しぶり! 私はもう吹っ切りましたが、ラーはまだちょっと。タマリンドの木の下で、確かに枕にされても平気で一緒に寝てましたね(笑)
 ラーが会いたがってますよお!

    *

チョビさん

 ありがとうございます。庭に三匹、それも切ないですね。

    *
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